Supply Chain Science その3 ステーションサイエンス | yahito-99のブログ

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Supply Chain Scienceの第1章、最初に示される原理は次である。

生産キャパシティに関する第一の基本的な原理:

● 生産キャパシティーの原理:システムの実生産は、その生産能力を下回る 

 使用率の原理:サイクルタイムは使用率の度合いとともに長くなり、しかも使用率が100%に近づくほど急激に増加する。

さらに、ボトルネックの定義について.

 定義(ボトルネック):定型手順におけるボトルネックは、もっとも使用率が高い工程である。

としている。

 

 生産キャパシティの原理は、あまりにも当たり前、何をいまさらである。

 使用率の原理の意味するところは、「利用率が低い場合には仕事の到着のペースに容易に対応することができるが、利用率が高い場合にはシステムは後手に回り、生産の一時的なスローダウンが常に発生する」としている。この使用率の原理は、待ち行列の理論の 混雑度ρ=サービス率λ/到着率μのいいかえである。サルではないが、愚生にもどうにかわかる、素晴らしい説明をされている下記のサイトをお勧めしたい。

 

http://objectclub.jp/technicaldoc/monkey/s_wait

 

混雑するところ行列ありで、直感的にも分かりやすい。きっと、リトルの法則の裏にはこの理屈が有るのであろう、なんて浅はかな考えを持ったりする。

 

どうにか、使用率と待ち行列というものを理解したと安堵する間もなく、第2章Variabilityで、驚くべき(少なくとも愚生には)、そして、Factory Physicsで最も重要な次の原理を登場させるのである。

 

 待ち時間による遅延の原理:待ちを作る加工対象物の数に限りがない単一ステーションにおいて、待ちにより発生する遅れは次の式で与えられる。

・(加工)待ち時間=V × U × T

 V=ばらつきファクター U=使用率ファクター 

 T=当該ステーションでの一個当たりの平均実加工時間

ここで、ばらつきファクターとされるものは、この加工ステーションに到着する対象物の到着時間と加工処理時間の不安定さ、ばらつき、統計的な分散に比例する。

 

さらに、この待ち時間に実際に加工される時間Tを加えることにより、加工対象物の加工開始から終了にいたるサイクルタイムが計算できる。

・サイクルタイム=加工待ち時間VUT+加工時間T

 

愚生の浅はかな理解では、待ち行列というのは、到着率やサービス率、上記の式でのTやUにばらつき(確率的な揺れ)がなくとも発生するとものであった。しかしながら!!、実をいうと待ち行列は、到着率やサービス率が定数、すなわち、TやUが定数の場合には発生しないのである!!! ただし、リトルの法則は成り立つ。頭の良い人たちには当たり前であろうが、大いに混乱させるものである。

 

この式を今一度見てみたい。意味するところは、対象物の流れが一定しない、そして、加工時間が安定しない生産ラインでは、サイクルタイム、即ちリードタイムが長くなる。しかもその程度は、混雑の度合いにも比例する。

 

安定した製造現場を実現するために5Sが実践される。トヨタ式生産方式はV抑え込むもの。と言える。それと、いたずらに仕事を詰め込むと破滅する。品物は遥かに納期を超えてやってくる。現場が遊んでいる、転写時間を効率的にと欲をかくと、システムは不安定となる。

 

本書では、この事例として高速道路を挙げている。

「高速道路では、道路の空の部分(すなわち車間距離)は生産キャパシティを表す。したがって、高速道路の理論的な生産キャパシティは、高速道路を速度制限で運行するトラフィックのバンパーとバンパーの問題を取り扱うものである。しかし当然なことながら、このことが不可能であることは皆知っている。トラフィックが重い場合には、移動時間が長くなることを経験が示している。高速道路が完全利用(すなわち、完全なばバンパー同士で数珠つなぎとなった)の場合のみ、トラフィックが止まることとなる。数珠つなぎで車が移動する唯一の方法は、まったく同じスピードで車が移動することである。それがレーンを変えるためのブレーキであろうが、一定のスピードを維持できないことだろうが、その類のもので生じるいかなる変動をも100%の完全利用からのかい離、低利用に結果する。 どの高速道路であろうが、変動からは免れることはできないため、すべての高速道路は生産キャパシティの完全利用よりも大幅に少ない利用率となる。」