激情の悲劇 | 福岡の弁護士 矢口耕太郎のブログ

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3月20日、東京家裁の1階の玄関で女性が刺されて亡くなった。

 

刺したのは米国籍の夫で、離婚調停中の女性を待ち伏せしていたという。

離婚事件では、思いどおりにならないという感情の溜め込みが生まれやすい。

 

特にDV事件などになると、「会えばわかるはずなのに、それをさせてもらえないのは弁護士のせいだ」などと弁護士が憎悪の標的になることもある。

 

人間は感情的になると思わぬ行動を取る。たとえいつもは紳士淑女であったとしてもである。

完全に不合理、するはずのない行動であっても、激情に支配されると思わぬ行動を取ることもある。

 

離婚事件は特に感情的になりやすい部分もある。激情による悲劇が起こったのはこれまで一度や二度ではなく、弁護士や事務員が襲われて亡くなった事件もあった。

 

家裁では事前の調査票で、安全のため、会わなくてもよいようにと色々と工夫しているが、まだなお足りないと感じることもある。

今回の待ち伏せ事件も、たとえ調停開始時間をずらして会わないようにとしていても、刺した夫側の方が後から始まる場合には待ち伏せ防ぐことができない。

 

先日、私も直接本人に会いたいと裁判官から言われたが、それでも本人を連れて行くと相手と会う可能性があるので連れて行けないと断った事件があった。

 

こういった悲劇が起こると、やっぱりまだ安心とは言えない。どう運用が変わるかを見ていきたい。