失うことに対する嫌悪と破産の種 | 福岡の弁護士 矢口耕太郎のブログ

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破産や個人再生の相談を受けているときに

 

「生活の質を一旦上げると、中々下げることができなくなってしまいました。給料が減っても生活の質が下げられずに借金が膨らんでしまって返せなくなった」

ということが原因に上げられるときがあります。

 

確かに、自分に置き換えてふと思いますと

一旦上げた生活水準を下げるのには、中々抵抗があるなあ

と考えてしまうところです。

 

この感覚はなぜなんだろうと考えていましたら

 

行動経済学の理念に「保有効果」というものがあります。

これは「わたしたちは常に自分の持ち物の価値を過大評価する」というものなのですが、重要なのはその理由です。

 

私達は、ものの考え方として「手に入れるかもしれないものよりも、失うかもしれないものに注目してしまう」という発想があります。

だから失ってしまうことの価値を不当に高く見積もって、過大評価してしまうわけですね。

 

「失うことに対する嫌悪」

 

良い生活水準を一旦手に入れると、それを失うことに嫌悪感が出てきて、無理をしてでも続けてしまう。

これが、借金が膨れ上がったとしても、生活水準を下げられない要因かなと思います。

 

保有効果の意識から逃れるすべは中々ないそうです。固い決意が必要になります。

 

仏教では「こだわらない」ことの教えを大切にしていますが

人間のこういった習性があるからこそかもしれませんね。