震災で国からいくらお金をもらえるのか | 福岡の弁護士 矢口耕太郎のブログ

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こんにちは!弁護士の矢口です。



だんだんと春らしくなってきましたね!



今日は、今回の大震災で被害にあわれた方が、法律によって国からいくらお金がもらえるかということをお話したいと思います。



今の法律からわかる国のスタンスは


大前提として、



国は、基本的に地震によっておこった個人の財産の減少には関わらない



ということです。



ですから、国の個人に対する支援は、基本的には低金利でお金を貸し付ける融資や、払わなくてはいけないお金をしばらくの間待ってあげる支払の猶予によっています。


しばらくの間は貸しを作って助けてあげるから、地震が起こってしばらくして大丈夫になったら、頑張って返してくださいねというスタンスです。



ただ、人が亡くなったり、重い障害を負ったり、家に大きな損害を被った人に対しては、あまり金額は大きくありませんが、お見舞金を交付しています。今日はそれを見ていくことにします。



まず、①災害弔慰金の支給等に関する法律という規定があります。



この法律によって、死亡した方の遺族、重い障害を負った方に対して、「災害弔慰金」「災害障害見舞金」というお見舞い金が支給されます。



一家を支えている生計維持者亡くなった場合には、最高で500万円重い障害を負った場合には最高で250万円が支給されます。



その他の方が亡くなった場合には、最高で250万円、重い障害を負った場合には最高で125万円が支給されます。



金額が多い、少ないについて皆さんはどう感じるでしょうか。



個人的には、金額については何とも言えませんが、亡くなった場合よりも両眼が失明してしまったり、寝たきりになってしまった場合のほうがその後のお金がとてもかかるので、重い障害を負った場合が亡くなった場合の半分しか出ないというのは違和感があります。




次に②被災者生活再建支援法という法律があります。



これは、まず自分の家が全壊したか、大規模に半壊したかという場合に分けてお金がでます(基礎支援金といいます)。



全部壊れた場合には100万円、大規模半壊した場合には50万円がでます。



次に、どうやって再建するかで分けてお金がでます(加算支援金といいます)。



家を建てる、買う場合には200万円、補修の場合には100万円、借りる場合には50万円(ただし公営除く)がでます。



例えば、住宅が大規模に半壊して、補修しようとする場合には、50万円の基礎支援金と100万円の加算支援金になりますので、150万円の支援金を受け取ることができます。



実は法律で国から純粋にお金がもらえるのは生活保護を除けばこれだけです。


一家の生計維持者がなくなって、家まで壊れてなんとか家を建て直そうとする最悪の場合でも最高で800万円を受け取れるにすぎません。生計維持者がなくなって家を新しく買うことはあまり考えられないでしょうから、実際には600万円を超えることは少ないと思います。




今の法律は、とても複雑な割には、やれることに限界があります。



震災の被害者は、家が壊れても住宅ローンがそのまま残ってしまう二重ローンの問題など、お見舞金が一気に吹き飛んでしまうほどの負の連鎖が襲い掛かってきます。



法律を作ることができるのは国会議員です。政治家の能力が問われるときが今まさに来ていると思います。