リスニングは、外国語学習の中で最も苦労する技能なのではないでしょうか。
なぜならば、僕がそうだからです。
僕が苦労していることは、みんなも苦労してなきゃイヤだ!やだやだ!
拙著「外国語の筋肉」でも触れさせていただいておりますが、リスニングが難しいと感じる原因は、「聞き取り」「単語」「文法」「反応スピード」といった、複数のスキルが必要になってくるからであります。
音声を拾い、単語を認識し、文構造を把握し、そして文全体の意味を理解する。
外国語の筋肉 より
使い慣れた日本語ではあまり意識することはありませんが、不慣れな外国語において、いきなりその全てを同時に行おうとしてるのですから、そもそもが無謀な話だったのです。
本日はそんな外国語学習最強最悪最難関のリスニング学習において、僕の気づきをお伝えしていきたいと思いますよ!
「リスニングのコツ」ではなく「リスニング学習のコツ」
今日お話するのは、「リスニングのコツ」ではなく、「リスニング学習のコツ」です。
残念ながら僕は、外国語の聞き取りが劇的に改善する魔法のようなコツは心得ていません。
あったらむしろ教えて欲しいくらいですわ。
結局、リスニング・トレーニングを地道に積み上げてゆくしかないのです。
ただ、リスニングトレーニングに取り組む際に、意識していると遠回りを防げるコツのようなものはみなさんに教えることができます。
「リスニングのコツ」ではない、「リスニング学習のコツ」というのが本日の味噌でございます。
文全体を聞き取ろうとしない
実際、リスニング学習に手応えを感じられなかった時期は、自分がこの「文全体を聞き取る」という姿勢でリスニングしていました。
文全体を聞き取ろうとするリスニング法が全くの間違いというわけではありませんが、このやり方には、大きなデメリットがあります。
それは、「聞き取れない部分を意識し難い」というデメリットです。
リスニング学習をしているみなさんも経験があると思いますが、聞き取れる単語が出てくると、その単語が自然と耳に入ってきますよね。
そうすると、聞き取れる箇所にばかり耳と意識がいってしまい、聞き取れなかった箇所には意識がふんわりとしかいかないわけです。
一度聞き取れた箇所はそれ以上繰り返し聞く必要はないので、本来であれば、聞き取れなかった箇所に重点を置くべきですよね。
それなのに、耳と意識は聞き取れる箇所にいってしまう。
学習効率という意味では、若干無駄のある状態です。
本来は重点をおくべき「聞き取れなかった箇所」に意識がいかないため、繰り返し聞く回数ばかり増えて、聞き取れない箇所は永遠に聞き取れないまま時間ばかりが過ぎてしまうのです。
リスニング学習のコツ1:文は前から聴解しよう
ポイントは、「前から」と、「聴解」です。
僕の「外国語の筋肉」を読んでいただいた外国語学習ダイナマイト・完全・スーパーエリートのみなさまでしたらもう説明の必要はないと思いますが、「単純な聞き取り」と、「聴解」は別物として考えます。
リスニング力とは聴解力です。
聴解力とは読んで字のごとく「聴いて」「理解する」ことです。
それに対して聞耳力は、音声を拾い上げる能力のみを指します。
そのため必ずしも意味の理解を伴うとは限らないのです。
外国語の筋肉 より
音声を拾い上げるだけなのが「単純な聞き取り」で、ちゃんと意味も理解しながらリスニングするのが「聴解」です。
リスニング学習のコツ2:聞き取りが追いつかなくてもOK!!
「文を前から、理解しながら聞き取ろうとすると、外国語音声がどんどん先に進んで追いつかなくなるんですが。。。」
僕のやり方を実践すると、こんな現実の壁にブチ当たってしまうと思います。
でも、これでいいんです!!
むしろ、これは正しく「前から聴解リスニング学習」を行えている証拠です。
例えば、こんな英文があったとします。
The first bouquet of flowers I've ever gotten. It's too bad they were a going-away gift...
(初めてもらった花束。それらがお別れの贈り物だったのはとっても残念です)
千と千尋の神隠し より
これを「前から聴解」しながら聞き取りをした場合、初学者などリスニングに慣れていない人で、例えば以下のようになったとします。
The first bouquet ●● ホニャホニャ ■■■ ◯◯ ▲▲▲. □□□ ◯◯ △△△ ◆◆ ●●●.
「The first bouquet(最初の花束)」までしか聴解できなかったよ。。。
なんてガッカリするかもしれません。
しかし、これで十分なのです。
むしろ、「単語を2つも聴解できた」と喜んで下さい!
リスニング学習のコツ3:聴解できる単語を、前から少しずつ増やしていこう
The first bouquet ●● ■■■ ◯◯ ▲▲▲. □□□ ◯◯ △△△ ◆◆ ●●●.
一回目の聴解チャレンジで、「The first bouquet」まで聴解できたとしましょう。
したら今度は、続く ●●や■■■の部分も聞き取れるように挑戦していきましょう。
The first bouquet of flowers I've ever gotten. It's too bad they were a going-away gift...
「of flowers」が新たに聴解できた!
「I've ever gotten」まで聴解できたぞ!
といったように、いきなり文全体を聞き取ろうとするのではなく、聴解できる部分を、前から少しずつ増やしていくこと、それが山羊山流リスニング学習のコツなのです。
リスニング学習のコツ4:文の途中から追いついてもOK
長い文の場合、以下のように文の途中からまた単語を拾えることがあります。
The first bouquet ●● ■■■ ◯◯ ▲▲▲. □□□ they were ◆◆ ●●●.
これでもOKです!!
「The first bouquet」の意味を考えている間に音声が先に行ってしまっても、「they were」が聞き取れたなら、そこからまた「前から聴解」をしていけばよいです。
音声が聞き取れたら、とにかく意味を考える。
どんどん流れていく音声はもう諦めて、とにかく聞き取れた音声の意味を考える。
この繰り返しがリスニング力アップにつながってゆくのです。
前から聴解のメリット1:重要な要素を逃し難い
みなさんが取り組んでいる外国語の特性にもよりますが、主語や述語など、重要な要素は文の前方に置かれる傾向が強いです。
つまり、「文の最初から聴解するぞ」と身構えていると、文の中の重要な要素を逃し難いということです。
前から聴解のメリット2:苦手な部分に気づきやすい
先ほども少し触れましたが、文全体を聞き取ろうとすると、聞き取れた単語に耳と意識が向いてしまうため、聞き取れない箇所は聞き取れないまま素通りしてしまう傾向にあります。
つまり、いつまで経っても、何回リスニングを繰り返しても、聞き取れない箇所が聞き取れないままになってしまうということです。
一方で、「前から聴解」の場合だと、前から順番に聞き取っていきます。
そのため、聞き取れない箇所にぶつかると先に進めません。
それゆえに、「ああ、自分はここが苦手なんだ」と明確に気づくことができるわけですね。
と、いうわけで
山羊山流、文の前から聴解リスニングでした。
それなりに時間を費やしてリスニング学習に取り組んでいるけれども、なかなか手応えを感じられない。
その原因は、一文を最後まで聞こうとしているからかもしれません。
リスニング学習に行き詰まりを感じているそんな方は、ぜひこの「前から聴解」試してみて下さい。
意外と新たな発見があったり、なかったりするかもしれませんよ!
そんなわけで以上、聞き取りと聴解の違いを理解して、山羊山流リスニング学習!!でした。
本日の参考図書