逗子市議会議員の「やぎの太郎」でございます。
市議会の透明性を少しでも高める為、本日も私の本会議場での公式な質問及び要望の一部をご紹介させていただきます。
今回は防災・減災対策についてです。逗子は海と山に囲まれる自然豊かな地であることは皆様もご存知のことと思います。
しかしながら、それは同時に自然災害のリスクも高いといえます、即ち逗子市では特に災害に対する敏感な対策が必要だと考えております。
今回記載の一般質問をし、改めて縦割り行政の矛盾を突き、改革していくことが議員の責務だと考えさせられるきっかけになりました。
お読みいただければ幸いです。

第八回「ヤギの議事録 防災・減災対策編」(平成26年第3回定例会より)

◆16番(八木野太郎君)
防災・減災対策について2点ほどお伺いします。
一つ目は、災害対策の比較・検証・見直しについてお伺いします。
昨日、同僚議員から同様の質問がありましたが、私は別の視点から、土砂災害対策について、再度確認させていただきます。
東日本大震災をきっかけに、行政の防災・減災対策の見直しが行われ、逗子市津波ハザードマップ等を作成、来る9月27日には逗子市総合防災訓練、避難所運営訓練が予定されており、地震、津波に対する防災対策が実施されます。
一方で、今年の夏は、広島市で局地的豪雨による土砂災害が発生しており、最近では、札幌市や東京都内においても、大雨による浸水被害が発生しております。気候変動によるものなのか定かではありませんが、観測史上最大、記録的短時間大雨、これまでに経験したことのない異常事態との言葉を耳にします。
昨年の10月には、お隣の鎌倉市で台風26号の影響で住宅の裏山が崩れ、大きな岩や住宅や乗用車を直撃した災害が発生したことは御存じのことと思います。逗子市津波ハザードマップと同時に、逗子市土砂災害等ハザードマップが作成されていますが、今回の広島市での土砂災害を目の当たりにして学ぶべきところはあったでしょうか。土砂災害等ハザードマップや緊急時対応、避難指示や防災無線などの規定・基準、責任体制の防災対策を比較検証し、見直すべきものはないのか、確認しておられるでしょうか。
また、逗子市唯一の河川である田越川の洪水対策と護岸対策の現状について、改めて比較検証していただきたいと思いますが、お考えをお聞かせください。
二つ目は、津波避難路の安全対策についてお伺いします。
避難路における暗い、狭い、滑るの解消は、地域の住民の方々と協議し、優先度の高いものから整備を進めるとのことですが、地域住民との協議の場はあるのでしょうか。協議した実績があれば、今後の参考としてお示しいただきたいと思います。
また、優先度評価は誰がどのようにして実施しているのかも併せて御回答ください。

◎市長(平井竜一君)
防災の関係で、広島市の土砂災害を踏まえて、市としての今後の対応ということでありますけれども、今回、様々、広島市としての対応についての課題等も指摘されてはおります。私としては、この災害を踏まえて、自助、共助、公助の在り方ということをしっかりとそれぞれが認識を改めて問い直す必要があるというふうに思っております。
市としては、こうした災害が起きたときに、いかに前もってできるだけ的確な情報を的確なタイミングで発することができるかと。空振りを恐れないということも昨日指摘されましたけれども、そういったことを踏まえて、まずしっかりと情報の伝達を徹底するということが最大の課題だろうなというふうに思います。
一方で、公助にも限界があるということは認めざるを得ないので、市民の方にとっては、自分の命は自分で守るということを日頃から意識していただいて、土砂災害については、今、自分が住まわれている場所というのがどういう区域にあるのかと。逗子市としても、土砂災害のハザードマップを全戸配布して、あるいはホームページでいつでも見られるという状況を作っているわけでありますので、その意味ではそうしたことを確認いただき、万が一、そういう大雨が降ったときにどういった異変を察知することが可能なのかと。それによって逃げるといった場合に、どういった場所で命を守るのかということを改めて再認識いただければなというふうに思いますし、日頃から地域の中で、そういった場合にどうやってどこを通って逃げるのかと。あるいは、避難が困難な方ももちろんいらっしゃいますから、そういう中でお互いに助け合う地域の関係づくりというものが日常生活の中で培われていくことが大変重要だということを改めて認識したところです。
行政として対応すべきことということでは、いわゆる防災計画の見直し等々については、既に平成25年度に改定が行われているということでありますので、そういったものをしっかりと踏まえて周知を徹底していくということになるでしょうし、今後、共助という意味では、今、地域自治の取り組みがスタートしておりますけれども、自治会、自主防災組織を中心に、より地域の連携というものが広がっているということをこれからも市としてもバックアップしていきたいというふうに考えております。
それから、田越川等については、担当のほうから御説明させていただきます。
津波避難経路についてなんですけれども、この間、地域の要望などを踏まえて、順次、優先度の高いところから整備を行ってきました。今後について、先般の八木野議員の質問を踏まえて、これから更に優先順位を付けながら、必要な整備は行っていかなければならないということでありますけれども、具体的にこれをやるには、やはり地域との連携・協議というものが求められていくというふうに思っております。したがって、自主防災組織の立ち上げ等々も促しながら、地域との今後の協議というものをまずは進めていきたいというふうに思っておるところでございます。

◎環境都市部長(田戸秀樹君)
私のほうから、防災・減災対策についての田越川の洪水対策、護岸対策の現状ということなんですけれども、こちらにつきましては、現在、改修率については、県管轄の二級河川の部分が71.6%、市管理の準用河川部分が92.0%、また県管理の砂防指定区域につきましては98.3%が改修されております。整備目標の時間雨量につきましては、市管理の準用河川が暫定で40.7ミリ、時間当たりです。県管理の二級河川が時間当たり50ミリでありましたけれども、将来計画は50年確率で時間当たり80ミリということで、当面、50ミリの時間に向けて、今整備を行っている状況でございます。

◆16番(八木野太郎君)
日頃より、しっかりとした対応していただいていることは大変理解できております。今回あえて確認させていただいたのは、繰り返しになりますが、観測史上最大、記録的短時間大雨、これまでに経験したことのない異常事態という状況になっても大丈夫であると。田越川の管理部分は92%を達成しているということですが、市民の安全は確保されるんだということをいま一度、解釈してよろしいのかどうか、お願いいたします。

◎環境都市部長(田戸秀樹君)
計画的な水量につきましては、安全は確保されていると考えております。

◆16番(八木野太郎君)
了解しました。
災害は、当然、起こってほしくはないんですが、近い将来、発生し得る可能性は否定できません。万が一、不幸な事態が発生した後に、想定外、異常事態だったので仕方なかったとの言葉は聞きたくありませんので、確実なる対応が取られることを期待しております。
今回、私が重ねて質問させていただいたのは、広島市の土砂災害で逗子市民が漠然と抱いている、逗子市は大丈夫なんだろうねといった不安を払拭していただきたかったからにほかありません。改めて市長のほうから、逗子市は大丈夫だと言っていただけないでしょうか。

◎市長(平井竜一君)
災害の規模が、これまでの感覚とはちょっと掛け離れた、時間100ミリを超えるような雨が降るということは、今、何%の整備率というお話がありましたけれども、それでは実は賄い切れない雨量だと思います。したがって、まずはそういう実態であるということを多くの方に共有していただく必要があると思います。万々が一、この逗子に時間100ミリを超えるような雨があったら、間違いなく洪水になると思います。そのときにではどう対処するかということを改めて、昨今、東京都とかでもそういった集中豪雨がありますけれども、逗子市として地域の皆さんと共有しながら命を守ると。まずは命を守るということを絶対条件として今後連携していかなければいけないなというふうに思います。

◆16番(八木野太郎君)
分かりました。ありがとうございます、お考え聞かせていただきまして。
続きまして、津波避難路の安全対策についてお答えいただきました。優先度に関して、明確な基準がないようで、その都度に決めていると、要望があったときに決めているだけということで、大変驚いております。基準を明確に決めるべきだとは思いませんか。お答えください。

◎環境都市部長(田戸秀樹君)
避難路につきましては、基本的には9,000番台の道ということで、ハイキングコースや山道ということになっております。そういうところで優先度というのを一律に決めるというのはなかなか難しいものがあると考えております。

◆16番(八木野太郎君)
前回の定例会において、9,000番台道路及びハイキングコースの機能が失われないよう整備するのが難しいということで聞いております。私は時々、鎌倉ハイキングコースや大山にハイキングに行きますが、要所要所には、人工の滑り止めや階段、手すりが設置されています。逗子市においてもやればできるんではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

◎環境都市部長(田戸秀樹君)
おっしゃるように、ハイキングコースとしての整備ということで、機能を損なわない程度のものというのは可能だと考えております。

◆16番(八木野太郎君)
例えば、鎌倉市との市境である大切岸への道は9,000番台ということですが、鎌倉市側の部分も含め、滑り止めや階段がしっかりとつくられています。改修を逗子市が実施したのであれば、市内の9,000番台道路・避難路にも同様な方法でできるのではないかなと思っております。
また、大切岸からハイランド側への道の改修も今後逗子市が実施する予定であるということですが、優先基準が明確に定められていないのであれば、命に直結する避難路のほうの整備を優先していただけないでしょうか。

◎環境都市部長(田戸秀樹君)
大切岸の道路整備といいますのは、名越切通の整備事業ということで、文化財保護のほうの関係で、一連の整備事業として行っておりますので、これはまた避難路の問題とはちょっと別だと考えております。

◆16番(八木野太郎君)
別とはいえ、これはしっかりと、一刻も早くやってもらわないと、避難路が一番、命の問題が一番大切なので、ぜひ何とか優先してしっかりとやってほしいと思います。
私は、全ての避難路を実際にこの足で歩いてみましたけれども、ちなみに部長さんは、桜山7丁目や小坪5丁目付近の避難路及び大切岸のハイキングコースを実際に歩いて御覧になったことはありますか。

◎環境都市部長(田戸秀樹君)
桜山の小古瀬のところに行ってきましたが、私、桜山7丁目に住んでおりましたので、よく通っておりました。小坪保育園裏につきましては、上のぼんばた橋のほうから行って、下までは降りてはいませんけれども、見たことがあります。大変申し訳ありませんけれども、大切岸のほうは行ったことがございません。

◆16番(八木野太郎君)
限られた予算であること、9,000番台道路やハイキングコースであること、道路整備計画対象外と、多くの制約の中で整備・維持されていることは理解しております。しかしながら、桜山7丁目や小坪5丁目の避難路と大切岸ハイキングコースの整備状況を実際に歩いて比較してみますと、納得しがたいものを感じます。観光のためか、鎌倉市側の整備までも逗子市の予算を使い、引き続き、ハイランドまでの区画も整備するとのこと。一方では、避難路においては、9,000番台、ハイキングコース、整備対象外との理由で整備が十分に行われていない。
私は、観光よりまずは、繰り返しになりますが、命を優先していただきたいと思っています。市長の御決断一つでこれらの避難路の道路整備計画というものができれば、大手を振って整備のほうができるのではないでしょうか。市長に御意見をお伺いします。

◎市長(平井竜一君)
道路整備という観点からは、当然、生活道路においても、潤沢に予算が配分できているかというと、必ずしもそうではありません。限られた予算の中で毎年、必要なものを措置しているということでございますので、命を守るという意味での避難路の整備ももちろん重要ではありますから、この間、まずは必要なところを優先的に整備してきたということでありますので、八木野議員が全て歩かれたというのは大変敬意を表しますけれども、先ほどから申し上げているとおり、地元の方としっかりと調整しながら、まずは必要なところを順次やっていくということで御理解いただきたいと思います。

◆16番(八木野太郎君)
ありがとうございます。
市長のお話の中にもありますように、小坪5丁目から小坪6丁目への避難経路にぼんばた橋と住吉トンネルがありますが、ぼんばた橋は、湘南道路をまたぐ歩道橋で、完成は東京オリンピック開催の昭和39年であります。湘南道路の道路橋は、神戸の大震災以降に耐震工事を実施済み。住吉トンネルは、地域住民からトンネル自体の耐震強度並びに小坪6丁目側出口付近の崖の崩落の危険性が指摘されています。特に住吉トンネルは通学路にも指定されており、早急なる対応をお願いしたいと考えていますが、現在の行政側の把握状況と今後の対応をお伺いします。

◎環境都市部長(田戸秀樹君)
現在の橋りょうにつきましては、長寿命化修繕計画に基づき、今年度から修繕工事を行っていく予定になっております。
トンネルにつきましては、まずは神武寺トンネルの実施設計を今年度行い、平成27年度、28年度の2か年の継続工事において実施する予定になっております。また、ほかのトンネルの点検につきましては、道路ストック総点検補助メニューを活用させていただきまして、順次点検を実施していく予定でございます。
耐震補強につきましては、その点検に基づいて検討する予定になっております。

◆16番(八木野太郎君)
ぼんばた橋については了解いたしました。地域住民に安心していただけるよう、なるべく早く周知をお願いいたします。
住吉トンネルについては、対応のほうを急いでいただきたいと思っております。
職員の皆さんも含めて、ぜひ住吉トンネルのほうには実際に行ってみていただきたいなというふうに思っています。
続きまして、避難路滑り止めへの廃材の再利用についてちょっとお伺いしたいんですが。
御存じのとおり、鎌倉側のハイキングコースの滑り止めに、廃材再利用の木材チップを使用されていると思います。ごみ処理経費削減の観点からも、今後更なる廃材再利用の木材チップの利用が望まれるところであります。また、今年度からせん定枝の分別収集と処分を新事業として実施し、処分を外部委託しているとのことですが、このせん定枝の処理に関して、今後の市側の計画をお聞かせください。

◎環境都市部長(田戸秀樹君)
おっしゃるように、大切岸のほう、昨年度、チップを200平方メートルぐらいまいている実績がございます。木材チップにつきましては、市内の公園など、ぬかるみ防止、段差解消、雑草防止に活用して、今でも利用者に大変喜ばれております。ハイキングコースへの利用につきましては、とても有効であると考えておりますので、要望があれば、ぜひ実施していきたいと思っております。
植木せん定枝なんですけれども、こちらにつきましては、昨年まで、事業者の持込み分について燃やしていた部分を、今年度から全部、環境クリーンセンターのほうで一旦引き受けて、なるべく処理し、処理し切れなったものを自区外の資源化業者のほうに委託して、資源化していただいております。
ですので、こちらとしましても、市内のほうで植木せん定枝のチップ、その辺がいろいろ活用できるという道が開けるというのは大変ありがたいと考えております。

◆16番(八木野太郎君)
了解いたしました。せっかく資源循環課や環境クリーンセンターが一生懸命、頑張っておられるのですから、廃材再利用をより積極的に9,000番台道路及びハイキングコース整備に使用することにより、相乗効果でごみ処理経費削減と道路整備費削減に寄与できると思っております。私自身も、これからの計画について期待しつつ、見守っていきたいと思っています。


次回定例会につづく...