昨日から「出国税」が導入されました。
世界的な所得格差拡大を考えれば、必要なのかもしれない制度だというのは理解できます。しかしながら以前お話した「インターネット規制」の論理と同じく、世界が同時に全ての国で導入しなければ抜本的な解決にはならないと思います。
日本だけが真面目に制度を導入しただけでは規制のない他国の富裕層が有利に。当然、その外国人は各々の祖国でもお金を使う人が大半でしょうから(消費税等で)納税することになるでしょう。

さて、出国税とは、非課税国への移住による、日本でかかるはずの現行のキャピタルゲイン約20%(復興特別所得税を含む)の課税権を確保するのが狙いです。

しかし問題点が多いのも事実です。
ひとつは、転居しただけで原則、利益に対して税金がかかるということ。日本国籍を捨てるわけでもなく、海外に永住権を得て移住するのでもなく、単に住民票を抜いただけで対象になる。(駐在員として海外に赴任する場合でも原則、一律に適用)海外の会社で採用され、働くことになっただけでも適用対象。

そして何より、私も含め海外展開したい起業家、投資家、中小企業のオーナーなどが、のきなみ適用対象に。
「有価証券等の価格が1億円を超える場合」などと条件付けされているが、ベンチャー企業に関わったり、投資をしたりしている人など、持っている株式の評価額が1億円を超えることはざらにある。
また、株式だけではなく、匿名組合の出資の持ち分も課税対象です。例えばベンチャーキャピタルへの出資などがこれにあたるほか、信用取引、デリバティブなどの含み益も対象とされています。
勿論私は制度の導入自体には賛成です。
しかしながら、日本の現役世代の海外展開を阻害するような制度であってはならないと思っています。
慎重かつ適正な条件等の猶予措置を望みます。

株式会社レックミュージシャン
八木野 太郎