株式会社サンバレーさんの真空管アンプキット「SV-S1628D」を組んでみようと思う。
↓完成形はこんな感じ。
(・・・だった。当初はね。いつの間にか(改)が付いたケド)

そもそもは、納戸にVT-4C(211)が眠っており、何とかしたかったのだが、Eb=1250V、Ib=175mAに耐えられる出力トランスが。。。
(山水(橋本)トランスは適合なし。タムラトランスは全品生産中止。タンゴは、価格の桁が違うんじゃね?って感じ)

そんな中、株式会社サンバレーさんの真空管アンプキット「SV-S1628D 845/211シングルパワーアンプキット」の情報が有ったのだ。



まずは少し、真空管のお勉強をしておきましょう。
211(VT-4C)と845(VT-43)は共に、大型三極管で有名ですね。
プレート損失100W、煌煌と輝くトリウムタングステンのフィラメント、全長約20cm、直径約6cmの堂々とした風貌。
真空管好きなら、1度は手にしたい誘惑に駆られた事が有るのでは無いだろうか?




VT-4C(211)は送信管として開発された球で、プレート曲線でプラス側においても、その間隔が崩れない、高周波特性の良い強力な送信管である。

一方、VT-43(845)はVT-4Cのグリッドピッチを粗くし、高周波特性を犠牲にして、オーディオ帯域用に特化(使いやすく)した電力増幅管である。
【845は送信管では有りません】
(プレート曲線でプラス側の特性も無いです)

フィラメント電圧/電流、プレート損失は同じであるが、増幅率はVT-4Cが12倍、VT-43が5倍とVT-4Cの方が大きいが、出力は12Wと21Wとかなりの差がある。
これは、グリッドバイアス電圧の差に有るようで、VT-4Cは-61V、VT-43は-155Vと倍以上違う。
この為、両者共にプレート電圧1000V、プレート電流も53mAと65mAと大差が無くても、VT-43の方が高い入力信号電圧を必要とする反面、大きい電力を得る事が出来るコトを意味している。
裏を返せば、VT-4Cは同じ出力を得る為には、小さい入力信号電圧で良く、VT-43はそれより大きい信号を入れてやらないと同じ出力が得られないというコトに成る。
オーディオアンプを設計する側から観ると、VT-4Cの方が遥かに作りやすい。って訳だ。
(VT-43もブースターアンプとしてなら、話は別だが...)
※米国軍用ナンバーで書いてしまってゴメン。
845が送信管だと言っている輩が多すぎる...
つい熱く成ってしまった。。。



話を元に戻そう。
このアンプキットは、845/211シングルパワーアンプキットと成っており、845と211を差し替えて使える様に成っている。
また、初段は12AU7のParallel。次段を12BH7のSRPPとし、出力管をドライブしている。

(盤面のスイッチを切り替える事により、845使用時は、Fixed-Bias。211使用時は、Self-Biasで動作させている)
(個人的な意見たが、回路設計時における音質傾向は、Fixed-Biasは、輪郭のハッキリした音質。Self-Biasは、温かく厚みのある音質。に成る傾向が有る。必ずしも当てはまる訳でも無いが。。。)
(845と211の俺の音質イメージは、逆なんだケドね。設計屋の考えとして設計をする時には、ある程度狙う音質が有って、それに見合った回路構成にする訳だ)


さて、実際の組み立てだが、A3判のマニュアルに詳細に記載されているので、マニュアルに沿って作業を行えば、問題は無さそうである。


個人的な意見を言わせて頂くと、欲を言えば部品表(左)と実装図(右)を付き合わせて、チェックしながら作業を進めたいので、実装図の隅っこにも、そのページで使用する部品表が欲しいトコ。
(個人的には、この辺りはエレキットの説明書の方が、解りやすいかな?)


メイン電源部はプリント基板化されているので、作業は楽々。
ヒータ電源部については、アルミ板とラグ端子でブロック化。
初段部は、ラグ端子で配線。

まぁ、マニュアル通りに作業を進めれば、問題なく完成するでしょう。

ただ、最終チェック時に、1000Vレンジの有るテスターが必要です。

調整は、845使用時のバイアス調整のみ。
ハムバランサーは、中央で良いでしょう。
(残留雑音は、1mVってトコ)

音質の方は。。。

211使用時は、元気で明るく爽やか且つ柔らか。
845使用時は、安定した低域に中高域の厚さが加わる。

211と845どちらを選んでも、記憶に深く刻まれる事であろう。。。

キットのレポートはここまで。

以上‼





----- 以下、独り言。。。 -----

・シャーシ。板金、塗装、シルク印刷、良い仕事してますねぇ。

・左側にボリュームは嫌だなぁ。

・出力トランスが5kΩかぁ。(845でB1が800Vだとそんなモン。211だと、8~9kΩだからチョット辛いかなぁ。まぁ、4Ω端子に8Ωのスピーカーを接続すれば.....)

・配線色は、何を基準に(何に準拠)してんだか。。。
 (JISの色識別では無さそう)

・シングルなのに、NFBねぇ。。。
 211の優れた高域特性をNFBで殺すってか。。。

・出力管を差し替えるのは、盤面でスイッチ1つなのに、スピーカーのインピーダンスを替えるには、裏返しにして底板外して、半田ごてが必要なのね。。。

・211のフィラメントをDC点火しているのに、ハムバランサー??? 

・ACの入力ケーブルはFG付きなのに、アンプ内のFGは無し???
 (ACインレットが2PのFGなし)
 絶縁破壊(漏電)したらどぉ~すんだぁ?
 電線スイッチは、金属のトグルスイッチだべぇ。
 (電源ON-OFFの時、手で触るとビリビリするから、漏電すれば解るだろ?ってか?)

・出力トランスの一次側のケーブルって何を使っているのかなぁ~ぁ。
 設計値だと810Vかかるしねぇ。
 品川電線さん。
 難燃規格、VW-1。
 ULファイル、No.E42933ですねぇ。
 良いケーブルですねぇ。
 電線の定格は...ん? 600V???



3000Vで試験しているケーブルなので、810Vは大丈夫です。ってか?違くね?
そもそも、定格が600Vのケーブルで定格不足だから、ガラス繊維チューブを付けて配線しろってか?
それは違うだろぉ~ぉ。
じゃあ、トランスの中は平気なん?

・取り付けるヒューズ10Aねぇ。



 ACインレット、電源スイッチは15A物でOK。
 ヒューズボックスは10Aで定格ギリでOK。
 AC入力ケーブルの定格は7Aで失格っ!!
 (ヒューズが切れる前に、ACの入力ケーブルが焼き切れるから、アンプはヒューズ含め壊れません。ってか?焼き切れたAC入力ケーブルと、焼けたお家を交換して下さいってか?)
 そもそも、10Aは妥当な数値なのかねぇ?

まぁ、販売(お金を頂戴)するからには、もっと裏付けされた様々な膨大なデータが有って、絶対に安全だ!大丈夫だ!と言えるから、販売(お金を頂戴(諭吉さん14人))しているんでしょうケド。。。

音質は二の次だべ。
まずは、安全第一でしょ。
(いくら音が良くたって、ビクビクしながら聴きたくねぇし)

何を考えて設計してんだかなぁ。。。
誰かが設計した回路のデッドコピーの組み合わせかなぁ。
シングルなのに、不要なNFBをかけるクセの有る(見覚えの有る)回路。
DC点火なのに、不要なハムバランサー。
定格割れの部品。。。
FG接続なし。。。

だんだんと人間不信になるオイラです。。。
キットだからノーマルのまま、チョチョイッと組んで終わりにしようと思ったのに。。。

株式会社サンバレーさんですかぁ。
なるほどね。
ISO14000は取得しているけれど、ISO 9000は未取得なのねぇ。
物を作るならまず、ISO 9000だろぉ。
 (安全を裏付けするデータも、大丈夫だとチェックする機構も無さそうだなぁ)
 (まぁ、トヨタ(グループ)は、未取得だから、仕方ないですな)

 (まぁ。日産、スバルが無資格検査で問題になった。。。ISO管理項目の資格取得の管理がまずかった(台帳に名前が無かった)ダケだろうに。。。)

今すぐにでも、この忌々しいキットを焼却(爆破)処分したいが。。。

保証規程は・・・と。
「キットに保証はございません」かぁ。
そもそも、間違いがない、大丈夫であると認めて、責任を持って、製品として出荷してんだろうケド。(それを保証って言うんだケドね)
まぁ、こんな低レベルの設計や部品選定で保証されたくも無いがね。

大金出してコレとはなぁ。
今まで色々なキットを作ってきたケド、ここまで酷いキットは、初めてだなぁ~ぁ。

なぁ~ぁん だかなぁ~ぁ。
どぉ~すっかなぁ~ぁ。。。

しょうがねぇ。
やるかぁ。



以下、キットの改造に成ります。
悪い子や、お馬鹿な子は、真似しないでね。
(きっと、良い子は真似しない・・・)

まずは、3PのACインレットと、定格15AのACケーブルを別途購入。


(左がキット付属のケーブル。太さが全然違うし)


どうせヤルなら、安そうな電源スイッチも、安そうなスピーカー端子も全部取り替えちゃえ!

何でチェック端子が白(プラス)と黒(マイナス)なんだね。
葬式じゃあるまいし。

配線もJISの5色や9色でも無さそう。。。



ヘアラインシルバーアルマイト処理されたアルミパネルと、取っ手、2mmのアルミ板を購入。


キット付属のシャーシは、穴加工。
(綺麗なシャーシには、加工したく無かったが・・・)


鉄シャーシは加工すると、赤サビが出るのが嫌なので、下地が出たトコは、黒サビ加工しておきます。
(ここまで、ボコボコと穴加工するとは、思わなかったなぁ。この加工が嫌(面倒)だからキットを買うのだが・・・)

さぁ、やっと部品の取り付けです。


ん?
あれれぇ???
取り付け方を間違ったか?
そんな訳無い!?
何で一個だけ高さが違う???


そもそも、ソケットの高さが違うし。

・・・ったく。
ソケットも全部、替えちまえっ!

ん?
何だコレ‼
汚ったねえトランスだなぁ。。。
仕上げがボコボコ。。。

(背面も作り替えてマス)

上側のネジと、下側のネジが同じ長さだし。。。
下側は、M5×75で良いけど、上側は、M5×70で良いんじゃね?

そんなこんなで、やっと完成。
(回路構成は基本キットのままのハズ。たぶん)

ヘアラインシルバーアルマイト加工のアルミパネルも良いねぇ。

音出し3分。
音質は、先に書いた通り。

おっ。
チャゲアスも良いねぇ。

♪あなたの愛をもっとぉ
♪ぬくもりをもっとぉ
♪あふれるほどにぃ

♪あなたの愛をもっとぉ
♪ぬくもりをもっとぉ
♪感じていたかったぁ



あっ。
完成~す‼
取っ手がとっても良いねぇ。ガーン



バイバイキーン🚀