セントラル愛知交響楽団のホルン奏者、八木健史(やぎたけふみ)のブログへようこそ。
先日の、第186回定期演奏会で感じたこと、を少々書きたいと思います。
セントラル愛知交響楽団に入る前。
僕は山形交響楽団に10年と少し在籍しました。
そこでは、ずっと1番奏者を務めて、途中からは首席奏者という肩書きも、もらいました。
その頃から、
「自分が頑張らないといけない」
「責任を持つ」
「演奏を引っ張っていこう」
という考え方でやってきましたし、それは周りにも伝わっていたのではないかと思います。
伝わっていたのではないか、というのも「信頼してもらって、周囲が協力してくれる」感覚が、常にあったからです。
それは、セントラル愛知交響楽団に移ってからも変わりませんでした。セントラル愛知には首席制度はありませんが、入ってから常に1番奏者を務めて来ましたし。
「定期演奏会はどうなったんだよ!?」
と思われてますよね
ここまでが、前置きです
閑話休題。
なかなかに、難しい曲ばかりの回でした。
特に、ストラヴィンスキーの「カルタ遊び」と、ラヴェルの「マ・メール・ロワ」は、内容こそ対照的でしたけど、それぞれストレートに難しかったです。
リズムも音の並びも意表を突くストラヴィンスキー、全ての音が違うニュアンスを要求してくるラヴェル、という感じでしょうか。
そういう、難しい曲のコンサートの時、少なからず『頼られている感覚』があるものです。
トップに任せて付いていこう。みたいな瞬間があります。
今回のメンバーは、みんな僕よりずっと若い世代の奏者です。
おそらく僕にとって初めて、頼られるのではなく、脅かされる感覚がありました。
「これでどうだ!」という一人一人の気迫が、音に乗って伝わってくる。
一時は、僕が引っ張るのではなく、完全に3人に引っ張られました
そんな、ホルンの中だけでも、大きな綱引きが行われた演奏会が、悪い演奏だったわけはないと思います。
終わった瞬間のオーケストラと会場の空気。そして表情。
音楽の素晴らしさを全員で共有した…
そんな体験ができました。
あんまり自画自賛みたいなのは、好きじゃないんですけれど
ガムシャラに演奏し続けてるだけで、ベテラン、なんて呼ばれるような年齢になってきました。
そこで初めて若手から「ウカウカしてたら追い越すぞ」と言われた気がしたんですが、それが恐ろしいどころか、なんとも心地よく。
頼もしいなぁ、なんて感じました
まぁ、それでもまだまだ、引っ張る側で頑張りたいな、などと思っています。
明日も全力で頑張ろう。