集中してくつろぐ
隙間時間。

こどもたちは
そんな時間を
持っているかな。



ゆったり
自分を
かんじることって

なかなか
ないんじゃないかな。








静かな夕方の明るさに満ちる時間。


レッスン45分のなかで
5分だけ

楽譜を持って
開け放した庭の前で
風にそよがれながら
過ごしてみた。

















楽譜を開いて
楽譜と
庭の植物との両方とを
視野に入れて
集中している。



なにか
語ろうとするが、
語らず、

植物の息吹を
身体全体に受けて


なにかを
感じているみたい。



5分って
こんなにたっぷり
なんだ。



さきまで弾いていた曲を
口ずさんでいるみたい。



わたしも
さりげなく歌い重ねてみた。



響きあう



弾いている以上に
弾いている感覚。




ピアノに  もどった。

あれっ

楽譜の音譜に
歌詞をつけ始めている。


メロディーに
ことば  が浮かぶ。



顔が一気に輝いた。


そのことばの
前後にも
ぴったりの  ことばを
探している。


文章になった。

フレーズを
歌ってみる。




息がはずんでいる。






芋づるのように

ことばが  
引き上げるように
生まれる。


すごいもんだ。


同じ曲の
ほかの場所も
歌詞をつけたくなる。




正規のレッスンの曲を
進めていきたい願いを、
わたし、
グッとこらえた。


音楽に聴き祈る。




今日はどう過ごしたら
この子の先々のピアノが
輝きますか。

ピアノだけではなく、
生涯がよろこびに満ちますか。


瞬間の祈りで決まった。


今日は 夢中になっていることを
大切にしてあげようと。








曲が
モノクロから
カラーになる。






お母さんがお迎えにきたときも
ずっと
口ずさんでいた。



自分で作った歌詞を
うれしそうに。





音と自分の心が
ひとつになる瞬間。


心のなかの風景が
紡ぎだされますように。


しあわせでありますように。