しずまる。

自分の願いも、
未来の予定も、
ぜんぶ横に置いて
しずまる。



願いも湧くし、
未来を想像も したくなる。



しかし、
私は最近
よく思うことがある。




自分が願ったり
描くこと以上に
平安で
こころが深く慰められる秘訣は、

音楽ご自身が
願われていることに聴こうとし、
知ろうとすることに
あるのかもしれない

と。






毎朝食のパンを
週に2日、まとめて焼く。

夕方までレッスンがない時、
ゆったり 時間をとって
こね、
発酵させ、
焼き上げる。

合間合間に
ピアノに向き合う。


そんなお昼、
遅いお昼は、
焼きたてのパンと紅茶があれば
しあわせいっぱいの
もてなしを受けるような時間となる。




パンを割き、
バターを塗り、
簡単なスープとで
ゆっくり食事をした。



今日は夜までレッスン。
その長いこれからに
よろこびが湧いてきた。


今日いらっしゃる生徒さんに
音がどう触れてくれるだろうか。



さあ、食事を終えたら、
しばし、ピアノに向かおう。

昨日の続きのプーランクをしよう。




私の日常のメインは
レッスン。

空間を整え、
こころ穏やかに、
生徒さんをお迎えすること。




この
静かでシンプルな日々の営みのために
選択することを大切にしてきた。



家にいることを
最優先にする。




静かな時間を大切にしたい。



ピアノは
ひとりで座り
ひとりで向き合うものだから。



自分に与えられている 想い・・・
こころの深みから湧いている想い・・・



曲をとおして音の愛に浸り、
音に満たされ、
満たされた身体から
鍵盤へ。
指が触れ、
聴こえる音となって紡ぎ出される。









つい、情報の中に身を置くと
自分の不足に目が行き、  
何か、
埋めなくてはならない感覚になる。


しかし、
自分の器の小ささを認めて
受け容れることにした。

楽になった。


器が小さくても
中に注がれる音楽は
限りなく大きくて豊かだ。



そう思うと
自分の小ささが
むしろ嬉しくなった。




それから、
限られた時間と
エネルギーの使い方を 
考えるようになった。




いま与えられている  この場所で
揺るぎなく立ち、


音を見上げ、
音の愛に満たされ、
生徒さんと共に
響きあっていきたい。



ひとつでも多くのフレーズが、
自らの息遣いになり
血肉になるように。





生徒さんにも  いつも言っている
「100本ノック」。


ちいさな積み重ねも
やがて
曲と自らと楽器、
そして空間とが
一致し 深まる
最高に幸福な 実を結ぶのだから。






さいたま市