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弾くこと。

それは
私にとって 呼吸のようなもの。

いのちの糧。

祈り。




19になる歳
富山県から上京。
東京音楽大学ピアノ科に入学し、
目白台にある大学の寮に住まいはじめた。 


緑豊かな文教の地域。
側には椿山荘があり、
その前には
東京カテドラル大聖堂があった。


その頃私は文学に傾倒していた。



ロマンロランの
「ベートーヴェンの生涯」に心燃やされ、歩きながらも読む日々を送っていた。

この本は間違いなく私にとって
バイブルだった。






今頃の爽やかな春の日、
友人と散歩に出かけた。
途中に立ち寄ったカテドラル大聖堂。


入ったとたん
涙がとまらなくなった



突如  今まで感じたことのない  
やさしさが迫った。

ふるさと以上の懐かしさに満たされた。

ベートーヴェンの見ていた同じ神を
感じ知ってしまった。  








本物のバイブルへとベートーヴェンは
導いてくれたのだ。


2年生のクリスマスに
このカトリック教会で洗礼を受けた。






作曲家達が曲を書く意味に
私は惹かれ続けていた。

なぜ書いたのだろう。
なぜ書かずにはいられなかったのだろう。






ロマンロランの
「ジャンクリストフ」

エドウィンフィッシャーの
「音楽を愛する友へ」

貪り読んだ。

今尚読み続けている愛読書だ。





ベートーヴェンのいのちの鼓動
「ワルトシュタイン  ソナタ」。



渇ききった いのちを鼓舞し、
復活せしめる力があると思う。


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あの頃から20年以上経った。

私の中の音楽へ憧れは
かわっていない。




そして  今、憧れだけではなく、
神の愛とひとつになれる
神秘の時間であることも知ってきた。




弾けない日が続くと
いのちがカラカラに乾くのを感じる。
(教えるために弾くのと、ひとりで弾くのとは違う)


ひとりピアノに座り、
音の愛だけに向かう時
いのちの泉が湧きはじめる。


身体の深海から湧くままに、
次  次と湧く曲を紡いでいく。


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こんな歴史のなかで弾く時に
意識するようになったことがある。


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それは自分のすべてを捧げること。


出し切ること。



ただ音と一致するためだけに
捧げ尽くすこと。




捧げ尽くすことで空になる心に、
音の中に満ちる無条件の愛が
注がれ、満たされることを知ってきた。





しかし、その時に
自分の足りなさに目を向けると、
とたんに  そのよろこびは消える。

足りないことなど当たり前であり、
不足がなくなることなどない。


音楽は神の領域なのだから。




ただ、今持つ自分のすべてを捧げ、
曲の素晴らしさに心奪われることが秘訣であることを体験で知ってきた。




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朝レッスンがあり、
夕方からもレッスンがあるときは、
音の中にいられるよろこびに満たされると同時に、

お昼ごはんの時間も惜しみ、
たったひとり音に向き合い   
弾きたくなる。



火の気のないキッチンに立って、
何かあるものと、
美味しいカフェオレか紅茶を丁寧に淹れ、
立ったままでお腹を満たす。





キッチンのカウンターに活けたビオラが
可憐でときめいた。



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プティは朝のウォーキングで満足し、
光を身体に集めて熱くなると、
冷やすためにソファーで伸びている。



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この日常の静けさを 
幼い頃から
私の魂は  きっと夢に見てきたのだと思う。


求めてきたのだと、今はっきりわかる。




音だけ見て生きる。
音の愛だけで充分である。





この日常は
「断捨離」を知り、
学びはじめたことをきっかけに、
現実に生きやすくなってきた。


やましたひでこさんの考え方に
励ましを頂いてきた。



時間もエネルギーも限りがある。

何を優先にするか。

優先事項を大切にするためには
いやおも、
選択と非選択が必然となる。





断ち
捨て
離れる


ことを知り、
その実行に
罪悪感を持つことをやめ始めることができた。





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耳が裏返っているよ。プティ。 


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なあに。

さっきから  きいてたのよ。
かたったわね、
きょうは。



そうそう、
ちょっと  さいきん  ひきすぎよ。

整形のおいしゃさんに  おこられるよ。

やすみながら  ひきなさい、
と  いわれてるでしょ。

やばいよ。

腱鞘炎、 ゆだんしたら  だめよ。





再び痛みはじめた左手。

私の子供のような小さな手、
怪我で大きく痛めた後遺症を抱える
小さな手。

知恵と工夫、
たゆまないトレーニングで
揺るぎない
しなやかな筋肉を育てていきたい。


身体や腕と対話しながら
音じかん  を過ごしていきたい。


弾くことは
祈り  であり  呼吸は
生涯続くのだから。





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