<記事の見出し> 通姦罪違憲即刻失效 32女立刻釋放出獄 ★民視影音2020530

――《日本語訳》 「姦通罪は違憲!」 台湾司法 五名の男女受刑者を即時釈放

 

 

大戦前から85にわたり施行されてきた刑法の「姦通」につき、台湾=中華民国の憲法裁判所が違憲と判定し、直ちに同罪は失効した。

 

判断によると、「姦通罪」は中華民国憲法保障する「比例原則」および「平等権」に違反する。法律により国民の婚姻を維持することは困難。いわゆる「不倫」は民事上の争議であり、裁判官が刑法をもって裁く対象ではないとした。

 

この判断を受けて、台湾行政院法務部矯正署は、「姦通罪」で拘留中の全島33受刑者のうち、男性3名、女性2名を釈放した。

 

台湾政府司法院許宗力院長は、国家権力が国民の婚姻関係に介入することは好ましくない。かえって負の影響が大きいとした。

 

同じく司法院秘書長は、「不倫」事件が発生した場合、妻が配偶者を許し、相手の女性のみを提訴する例がもっとも多い。そのため実際に罪に服するのは、男性より女性が多く、決して平等な刑罰とはなりえていないとする。

 

台湾の司法府内部で、一定の合意形成の上、この前近代的な刑罰の廃止に踏み切ったとみられる。

 

しかし儒教道徳への崇拝が根強い台湾社会では判定を不服とする動きがある。

 

そのため行政院は、とくに声明を発し、「姦通行為」は今後とも許容されず、なお民事賠償責任を負うべしと告知することになった

 

台湾では、亭主の浮気相手は俗に「小三と呼ばれる。

 

従来、台湾では、不倫の疑いをもった奥さんが「小三」を追い詰めるため、警察に通報する事件が少なからず発生し、その顛末が立派な新聞記事になったりもしていた。すなわち浮気の現場に警察官が乗り込み、ご亭主と「小三」を逮捕するのであるが、現場をおさえても、法廷で「性交事実」を証明することは、なかなか難しく、現在監獄にいる33名の姦通罪受刑者は、むしろ立件、立証が成就した希少例ともいえる。

 

とにかく以降、台湾のお巡りさんは、浮気現場に動員される苦行からとりあえず解放されることになった。

 

現在アジアでも、イスラム諸国や北朝鮮・カンボジアなど一部の地域に生き残るのみであるが、かつては日本を含む多くの国々に「姦通罪」が存在した。女性配偶者に、確実に自身の子を産ませるために、有史以来男性はいろいろな対策・刑罰・道徳をつくってきたともいえる。

 

2020年になって、夫婦関係に国家警察の強制力は及ばないとする近代の法則に、台湾は大きな舵を切った。

 

「姦」という漢字からもわかるように、もともと中国では女性への蔑視を背景に生まれた観念であった。「儒教」を国教ともしてきた「中華民国」にとって歴史的決定となった。