愛人
私はあなたの愛人です
あなたのうえに色を重ねた
充分に膨らんだバラの蕾のような濃い赤を
傍目には恐ろしく濁って見えるだろう色を
いけないこととはわかっていますなんて
今更殊勝なことをいうつもりはないわ
どうせ気付けばいつか必ず
あなたも私もここにはいないでしょう
でもね好きな気持ちに罪はないから
誰に詫びるつもりもないわ
それよりあなたに謝って欲しい
刻まれない時間の罪を
手に入れられてもいないのに
いつか失わなければならない 理不尽を
（恋愛詩集『手をつなぐ』より）
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