用語と省略記号の解説

 ♂雄。♀:雌

 L:全長 鳥を上向きにねかせて首をのばし嘴を水平にした時の、嘴の先から尾の先までの長さ(おむつを替える時の格好になるので脚の長さは無関係)。野外ではこんな格好を見せてくれるわけではないので、あくまでも目安。首を立てている、縮めている、脚が短い、長いなど生態的、形態的なことから、錯覚する場合もある。

 W:翼開長 翼の前縁がまっすぐになるまで両翼を拡げた時の翼の先から先までの長さ。

 上面・下面 だいたい目と翼のつけ根を結ぶ線を境にして体の上側と下側をそれぞれいう。

 横斑・横じま 体軸(脊椎)に対して直角に交る線。腹部では垂直方向になる。

 縦斑・縦じま 体軸に対して平行の線。腹部で水平方向になる。

 留鳥 ある地域で一年中見られる鳥。地域のとり方によっては漂鳥との区別がつかなくなるし、日本全体をとれば漂鳥も留鳥である。

 漂鳥 日本国内を季節によって移動する鳥。北海道で繁殖し本州中部以南で越冬するもの、高い山で繁殖して低地で越冬するものなど。

 夏鳥 春に南の地域から日本に渡ってきて繁殖し、秋には南の地域に渡去する鳥。

 冬鳥 春から夏にかけて北の地域で繁殖して、秋に日本に渡来し越冬して、春には北へ帰る鳥。

 旅鳥 日本より北で繁殖し日本より南で越冬する鳥。日本には春の北上、秋の南下の途中で立ち寄る。

 さえずり 繁殖期に主に小鳥類の雄が発する特徴のある美しい鳴き声で、なわばり宣言や雌の誘致の機能があるといわれる。表記するには困難を伴うが、聞きなしのあるものはつけ加える。

 地鳴き さえずり以外の鳴き声で、さえずりが特種な鳴き声であるのに対し、地鳴きはごく普通の鳴き声で、日常のコミニュケイションに用いられる。単調で短い。

 聞きなし ここでは鳥の鳴き声を人の言葉におきかえて聞くこと。ウグイスの「法、法華経」 コノハズクの「仏、法僧」など。

 

 本文の標題は、まず季語となる鳥名を漢字とひらがな(旧)で挙げ、煩雑な漢字をさけて、ひらがなだけになる場合もあるが、次にその季語の季節区分、種名、科名、渡りの区分、全長、翼開長の順に表記する。俳句歳時記に科名まで必要とは思わないが、誤ったものが広く出まわっているため敢えて記すことにした。全長、翼開長はその鳥の大きさを知る手懸りには便利だからつけ加えた。また、ワシタカ類、カモ類のように総称が季語の場合は、総称を季語として挙げ総括的な解説を行い、そのグループ内に季語となり得る鳥があればその種名を挙げて解説する。俗称は本文末尾にゴチック体で付記するのみとする。全長、翼開長の数値の単位はセンチメートル。

 

   標題例

青葉木菟 夏 

 アオバズク フクロウ科 夏鳥 L2730.5 W6670.5

 

私本野鳥歳時記(1)1994年5月