メルトダウン 高嶋哲夫 | 今、考えていること

メルトダウン 高嶋哲夫

メルトダウン/高嶋 哲夫
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3月15日以降発行されたメルマガの記事を時系列で載せます。
時系列で読んでみると事態が悪化しているように見えてきます。


よく比較される「スリーマイル島原発事故」。今日のメルマガで書きましたが、レベル5とされるこの原発事故は、9日後には終息して、10マイル以内の屋内退避勧告は解除されています。
しかし今回の福島第一原発事故はまだ放射能漏れも続いていていつその放射能漏れが止まるのかのめどもたっていません。


時間がなかったので、リンクはそのままURLを書きました。

すいません、計画停電が始まっちゃうもので。


3月15日(火)

さて、昨日の「輪番停電」は、わたしの地区は結局実施されませんでした。
しかし、今日もですが、実際に実施された地区があります。
かなり限定された地域ではありましたが、実際に行われたというのは、今回の事態がかなり厳しい状況であることを意味します。

この状況は、今後火力発電の能力が上がらない限りは供給量が増えることはありません。
つまり、少なくとも首都圏、関東地区の全体的な活動を25%みんなで下げるしか方法はないのです。

また、現在一番の問題は、福島の原発の問題です。

今、アルジャジーラの放送を見ているのですが、「どうなるとメルトダウンが起こるのか」と図入りで説明しています。
そして日本の報道は「放射能漏れ」と言う言い方をしませんが、現実にかなりの量の放射能漏れが起きています。
埼玉で通常の40倍とか50倍、横浜で9倍が現時点で増加しています。
確かにこのぐらいの数字で即健康被害が出ることはありませんが、今でもその放射線が漏れ続けていて、その放射線漏れが止まるめどは立っていないのです。

現在福島原発近隣住人の非難範囲は20キロ圏内です。
風向きにもよりますが、200kmぐらいまで非難範囲を広げないととんでもないことになるかもしれません。

海外報道は、今はもうこの「原発放射能漏れ」に関心は移ってます。
ヨーロッパでは、原発反対の世論に拍車がかかってます。
これで、日本の原発は2度と作られることはなくなりますが、ちょっと遅かった。

株価が続落していますが、まあこれは仕方ないですね。
しかし、「原発放射能漏れ」をうまく解決しないとその下落は永遠に続くでしょう。

今必要なのは、この放射能漏れがどの範囲にどの程度広がっているのかを明確にすることと、手遅れにならないように、早急に非常事態宣言を発令することかもしれません。

しかし、何故円高になるんでしょうか?
今、81円50銭ぐらいでしょうか。
今までならたぶん円安だったでしょう。
有事のドルですから。しかし今は違うようです。
「日本企業が復興費用や保険金支払いのために、海外投資金を取り崩して日本に戻す流れが起こるため」に円高になるようです。
もちろん、実需だけでなく、ここに投機的な流れもあるんでしょうが。

民間備蓄原油の放出を決めました。
日本には、国と民間合わせて164日ぶん、6888万キロリットルの備蓄があります。
そのうちの民間備蓄70日分の中から3日分である126万リットルが放出されます。
現実問題として、今回震災にあった製油所分の精製能力は減りますが、全体需要を大きく下回る心配はありません。つまり無理やり今、ガソリンスタンドに行かなくてもなくなることはないのです。

今回の震災は自然災害としては100年どころか、1000年に一度のものですね。



3月16日(水)

このメルマガは約150名の方に、bccで配信させていただいています。
中には、海外にいらっしゃる邦人の方も何人かいらっしゃいます。
もし、お時間があるようでしたら、かの地で今回の「Disaster」をどのように報道されているのかをお知らせいただければ幸いです。

こんなことを何故書くかと言いますと、どうも日本のテレビ報道は、どういう形でなのかはわかりませんが、「規制」されているようなのです。
まだ活字媒体やラジオはましですが、へたをするとそっちもいつ規制がかかるかわかりません。日本国内で、アルジャジーラのほうを信用するような状況ってのはちょっとおかしいですよね。

ご存知の通り、福島原発の状況は、日に日に悪化しています。
悪化しているというより、暴走を止められないのです。
「この程度の放射線量では健康に全く問題はない」と原子力関連の権威のある「コメンテイター」が発言していますが、言えば言うほど不安が募るという悪循環です。
現実に原発が暴走して止められないで、毎日放射能を撒き散らしているのはみんな知っているのですから。

東京や神奈川といった地区の放射線量は観ることができます。もちろんその値が通常の10倍とか、20倍でもすぐに健康被害が出ることはないでしょう。しかし、非難区域の20km圏内では実際どれくらいの放射能が観測されているのでしょうか。30キロ圏では?50キロ圏は?

ご存知の通り、海外から日本に駐在している外国人の方は少なくとも関東圏から非難を始めています。関西に逃れる方もいれば、日本を離れる方もいます。本社機能を東京から移すところもでてきています。
それは当たり前のことで、もし現在いるところの安全性が低下すれば、より安全性の高いところへ逃れるのは必然だからです。ただ、皆が皆そうできるわけではありません。しかし、そうできるのなら、出来る人はそうすればいいと思います。

安全性の低いところから、安全性の高いところへ非難することと、今、現実には必要もないのに、ガソリンや食糧を買い貯めることは違います。

気持はわかります。関東地方でも計画停電が実際に起こってますから、明日はどうなるかわからない。ひょっとしたら富士山が爆発するかもしれない。だから、今買えるものは買っておこうと。

少なくとも、ガソリンや軽油、灯油に関しては足りなくなることはありません。昨日も書きましたが、164日分の備蓄があるからです。もっといえば、備蓄分を使わなくても十分廻るだけの原油は確保できるでしょう。確かに、北日本の精油施設は災害に遭いましたが、日本にはまだ多くの製油所が他にもあるのです。最近は需要の減少で精油所はオーバーキャパシティーだったのです。

今も地震がありましたが、原発の不安と同時に、これからも大きな地震が起こるのではないか。それも震源地を替えた誘発地震の心配はないのか?

今回の地震はこれまでのものに比べてかなり特殊です。つまり震源の範囲が極端に広いのです。それに合わせて地震の範囲も広くなっています。

HAARPによるものなのかはわかりませんが、これまでの地震とは明らかに違うことであることがわかります。ということは、今までの常識は疑ってかかったほうがいい。原発もそうですが、今までの常識とされることを一度ちゃらにして、何があるかわからない、何が遭ってもおかしくないと考える。だから、行政、政府は考えられる最悪の事態を想定して対策を立てる必要があります。しかし個人レベルでは、なるようにしかならない、というある種諦観の境地に達してもいいような気がします。特に五十路を過ぎたような人は、この先そう長くないわけですし。(笑)

計画停電がわたしの住んでいる地域では15時20分から予定されています。
昨日は、午後7時ぐらいから9時ぐらいまで2時間しっかり停電になりました。
だから、停電になる前に配信したいと思ってます。

昨日は夜の停電だったので、何しろやることがなくなっちゃうんですね。
最初は、ラップトップのパソコンでテニスのDVDを観ていたんですけど、バッテリーが弱っているんでしょうね、たったの15分でまるで急な停電のように、すーっと、落ちました。その後はもう寝るしかない。まあ、健康的ではありますね。

それではまた明日。



3月17日(木)

昨日から今日、どうも明日もらしいのですが、寒くなってきました。
節電ということで、極力ファンヒーターを控えていたのですが、控えられる寒さではなくなってきました。
今日は、12時20分から16時までが我が地域の停電時間です。
午前中に配信を済ませてしまわなければなりません。

福島第一原発の件ですが、下記のサイトをご覧ください。
既存のメディアの情報を信じるか、サイトの情報を信じるかは皆さん次第です。


http://www.funaiyukio.com/ikedaseiji/index_1103_02.asp


普段あまり見なかったテレビを見るようになりました。(笑)
間違いなく規制が掛ってますね。
でも、これって、観る人が観るとわかっちゃうんですね。茶番劇を見ているようで、
何だか、局アナさんとかが、可哀そうになってきます。

原発関連ではワイアードの記事も参考になります。
アメリカでは、1500km以上も離れた場所での心配もしているんですね。


http://wiredvision.jp/news/201103/2011031621.html


最近の朝日新聞もわたしは信用していません。最近何度も書いてますが。
昨日も書きましたが、新聞もこれからは間違いなく報道規制の対象になります。

わたしの環境では、電気が止まると、ネットに接続できなくなります。
その時にどれだけ正しい情報が取れるか?
それがちょっと心配ですね。

昨日の呼びかけに応じて、イタリア在住の方からメールをいただきました。
イタリアでももちろんこの大震災がトップニュースだそうです。
そしてひとつ日本のメディアには載らない情報をいただきました。
「さてイタリアの国会で3月11日 地震発生以降の日本商品を輸入しないと決定しました。 詳しく見ていなかったのですが おそらく食品関連は間違いないです。」

今後、イタリアだけではなく世界各国に広がるでしょうね。
日本の政府は、一生懸命、原発事故をまるで、「一過性」の事故、(事故じゃなくて、事象なんて言い方を最初してましたが)にしたいらしいですけど、海外では、地震そのものより、この原発事故のほうが大変なことだと受け止めています。

しかし、これが真っ当な反応です。
海外が輸入したくないような「モノ」の心配を日本ではされてない。
あえて、触れないようにしているのか?本当に不思議ですよね。
必要以上に人心を乱す必要はありませんが、真実は伝えなければいけない。

現在、原発現場で作業されている方は決死の覚悟というか、「アルマゲドン」のブルース・ウイリスと同じ立場に居るのです。彼らの「覚悟」を無駄にしないためにも、わたしたちは、真実を知って、わたしたちができる精いっぱいのことをする時が来たと思います。



3月18日(金)

早いもので、一週間経ちました。
今日は、家の地区は朝っぱらから計画停電に入ってしまって、午後は買いだしにいってましたので、このメルマガの発行が遅くなってしまいました。
というのは、夕方からも停電が予定されていたからです。ただそれは回避されましたので、書いているところです。

本来であれば、いつも金曜日だけでしたから、昨日までが臨時増刊なんですけど、こういう臨時増刊はあまりしたくないですね。
実は、もう書くこともないし、今日はお休みしようかな、なんて思ってたんですけど、通常発信日の今日、書かないと「安藤、倒れたのか?」との噂が立つといけないので。

普段あまり観ないテレビを見るようになったと昨日書きましたが、やっぱり、今日からは控えようかと思ってます。というのは、観てるうちに腹が立ってくるわけです。これは健康に悪い。ただ、昨日の夜のNHKで警視庁から調達した散水車が放水に失敗したというのを図入りでやってましたけど、不謹慎だとは思うのですが、笑ってしまいました。もちろんあの人たちも命がけなのは本当によくわかっています。でも、わざわざ借りて使った放水車が役に立たない。それをわざわざアニメで再現しなくてもいいんじゃないか?もっといえば、どうして役に立たないものまで、危険に曝すわけ?てなことを観ながら考えてると腹が立ってくるわけです。
ヘリコプターとか、自衛隊の放水車とかハイテク?なものでも、やってるのは、ひょっとしてバケツリレー? あれ観てると、誰でも不安は募りますよね。

元気おばちゃん、勝間和代さんが、「できる人が、できることを、できる限り」っていう3D運動を提唱しています。その通りですね。

ということで、わたしも考えました。
生活の質(クォリティーオブライブ)30%削減運動。
個人も含めた、便利で快適な生活の質を全てが30%削減というか、節約する運動です。個人レベルでは、まず食べるものを30%減らします。歩けるところには歩く。家の電気も30%減らす。
企業レベルなら、手っ取り早く時短です。7時間労働は5時間労働にする。テレビの放送は必ず4時間は放送しない。なにしろ、個人も組織も全てが、30%「便利で快適な生活」を放棄する。
これが徹底されれば、少なくとも現在の発電量で、計画停電は必要なくなります。
つまり、現在事故の起きている、福島のふたつの原発は今後使わなくていい。国内全てが30%削減運動をすれば、たぶん日本の原発は必要なくなるのではないでしょうか。(まだアイデアだけで、計算してませんけど。)

明日から三連休ですけど、気の重いお休みですね。
今日から本来ならお彼岸で、お墓参りなんですけど、もう少し落ち着いてからにしたほうがいいかもしれません。

こんな時になんですが、それなりによい週末を。



3月21日(月)

震災から一週間経って、三連休に突入しました。
土日は天気もよく、気温も高くなりましたから計画停電はありませんでした。
18日の金曜日からお彼岸に入ったので、20日の日曜日午前中に墓参りに行ってきました。寺が羽田にあるので、横浜からは車で1時間ぐらいの距離にあります。久しぶりの遠出?だったのですが、道はがらがら。正月でももう少し車は走っているだろうな。保土ヶ谷バイパス、首都高を使ったのですが、思い出したのは、昭和天皇が崩御されて大喪の礼(葬式)が行われた1989年2月24日のことでした。その日は商売柄、海外出張でNYに行かなければならなかったのです。当日は日本全体に自粛の規制が掛っていて、交通機関も混乱が見込まれていました。成田空港までは、いつものように車で向かいました。混乱を予想して予定より2時間も早く家を出たのです。しかし、首都高、東関東自動車道も混乱どころか、がらがら。まさにその時の風景が今回の風景と重なりました。

朝の30分のテレビ視聴が習慣になってきました。
しかし残念ながら30分以上は観るに堪えない。昨日も書きましたが、だんだん腹が立ってきて体に悪い。だから電気が通じている間は今まで通り、ネットで情報収集することにしました。イタリア在住の方からいただいた「原発」に関するサイト情報です。


http://www.ustream.tv/recorded/13373990


約1時間ぐらいのUStream映像ですが、今ではたぶん一番真っ当な意見です。
この方は、今回の震災での原発事故の前までは、映像でも言ってましたけどメディアからは総すかんを食っていたのでしょう。もしこの方が既存のテレビ媒体に登場するようなことがあれば、きっとそのメディアは信用されるようになるんでしょうけど。しかし、近い将来、この方が登場せざるを得ない状況が生まれるような気もします。外圧で。

「廃炉、不可避の見方」
これ、朝日新聞、朝刊の一面記事です。
違和感ありますよね。この期に及んでまだ原発続けるんですか?
日本人だけじゃなくて、人間て結構忘れっぽいんです。忘れられるから生きていけるってこともあるんですけど。喉元過ぎると熱さを忘れ、っていうことわざもあります。

今回事故を起こした原発は原発として使えなくなってもこれから半永久的に冷やし続けなくちゃいけない。つまり原発は一度稼働したら、もうやめた、壊して終わりにならない。だから、今回の福島第一原発は、壊れて、もう発電には使えないけど核反応して熱を出し続けるので、冷やし続けなければならない。この冷やし続けるのにどのくらいの電力が必要なのかはわかりませんが、その冷やす電力はたぶん東北電力の電力ですよね。福島の人たち、特に原発近隣の人たちは、これから何十年もこの放射能の脅威の中で生活せざるを得ないのです。いやその土地を捨てざるを得ないかもしれない。

「ただちに健康に影響が出るレベルではない。」
これ間違いなく今年の流行語大賞です。
放射能汚染による被害、健康に対する影響は10年後に出ます。だから確かにこの言葉は間違ってません。しかしただちに出なければいいのか?子子孫孫までその禍根を残していのか?
原子力発電所はもう作らない。現在稼働している原発も、徐々に減らしていく。これが真っ当な考え方です。これだけ被害を出した原発を今後どうしようかなどと考えている東電や原発推進派の頭脳構造はどうなっているんでしょうね。



3月22日(火)

もうそろそろ臨時号は止めようと思っているのですが、政府の対応とメディアのいい加減さを見ていると、どうも黙っていられなくなります。それでなくとも、こういう時は何だかしらないけど、気分が落ち込み、イライラ感が増します。

今日の朝日新聞の一面には、早速、東電原発推進派の巻き返し記事が載りました。
「計画停電 今夏・冬も」
昨日も書きましたが、少なくとも日本では原発はもっともリスクの高い発電方法だということが今回証明されたのだから、間違ってもこれから新しい原発を作ってはいけないし、現在稼働中のものも、漸次減らしていくというのが真っ当な考え方です。
しかし今はこの意見が真っ当に思えても、それこそ喉元を過ぎれば、また「便利で快適」な生活を選ぶ人も出てくるかもしれません。
日本政府と原発推進派の人にとっては尚更です。だからすでに、まだ喉元を通らない前から、布石を打ち始めたのです。

東電の現在の最大発電供給量は3500万キロワットだと発表されてます。東電の発表ですからもちろん本当のところはわかりません。しかし今までのこの時期の需要は4200万キロワットなので、それには対応できない。だから計画停電が実施されたわけです。今後4月末までには休止している火力発電所や被災の少ない発電所を復旧して4000万キロワットまで供給能力を上げると言います。しかし夏場の冷房が必要となるピーク時には6000万キロワットにもなる。冬場は暖房器具の使用でピーク時5000万キロワット。今のままでは、この需要に供給が間に合わない。よって、今年の夏、冬にはまた計画停電を実施しなければならない。つまり、今までの「便利で快適な」オール電化の生活がしたければ、もっと発電供給量を増やさなければならないでしょ?そのためにはやっぱり原発が必要なんですよ、という脅しに聞こえてしまう。

朝日新聞4面には、一面記事の補足です。
「東電、供給力に制約」
東電は現在電力供給量の約3割を原発に依存しています。今回事故を起こした福島のふたつの原発で909.6万キロワット、柏崎刈羽で821.2万キロワットです。つまり、現在の供給不足はまさに原発が使えないからです。柏崎刈羽の一部も現在定期検査のため休止しています。つまり、このままではいつまでたっても今までのように最大ピーク時6000万キロワットの供給など不可能だと言いたいのです。

新聞記事を見ていて悲しいのは、どこにも「原発はもうやめよう」という考えがないことです。原発は一度事故が起これば、子子孫孫まで巻き込む一大惨事になるのです。そのことを今回身を持って体験したわけです。放射能の怖さを一番知っている日本国民が、どうして54基を作るまでそれを許してしまったのかは、もちろん国民ひとりひとりにも責任があります。しかし、この期に及んで、これからも原発を作り続けるという発想は決して真っ当とは思えません。

東電及び原発推進派の人たちは、それでも原発を作ろうとするでしょう。政府も原発技術を世界に官民挙げて売り込もうとしていた矢先です。それまでと同じ「便利で快適な生活」と原発を天秤にかけてくるかもしれません。そんな時でも、やっぱりわたしたちは原発に対しては「ノー」を突きつけなければなりません。計画停電でもなんでも甘んじて受けますよ、という態度で臨む覚悟が必要です。

前にも書きましたが、3割の節電が必要なのですから、社会全体が3割ペースを落とせばいいだけの話です。何も常に右肩上がりである必要などないのです。
ただ、電力供給だけ取るなら、足りないのは、ピーク時の電力です。ご存知のように電力は蓄電できません。つまり現在でいえば3500万キロワットという数字を越えなければいいのです。だから企業はこれからはシフト制にして24時間を有効に使えばいいでしょう。個人的にも、同じで、夜中に活動したっていいわけです。まあ、これは今時の若い方たちはそういう生活パターンかもしれませんが。

今日もわたしの住んでいる地域は、12時20分から16時まで停電に入ります。
なので、こんなところで今日はおしまいにしておきます。

みなさんからのご意見お待ちしてます。
返事は後になりますけど。



3月23日(水)

余震なのか、累震なのかはわかりませんが、まだ頻繁に地震があります。福島原発事故も少しづつ前進していることはわかりますが、まだ「冷やす」段階に入っていません。

被災地の復興は急ピッチで進んでいます。電気、水道、ガスといったライフラインも大分復旧してきています。ガソリン、食糧も日に日に入っていくでしょう。物質的なものは時間が経てば解決します。だからこれから必要なのは、被災地の人々の身体的、精神的なケアです。

物質的な供給体制は、行政主導でガンガン行ってゆけばいいでしょう。それは福島原発事故で避難を余儀なくされた方たちや近隣で農業に従事されていて今回放射能汚染で作物を出荷できなくなった方たちも同じです。東電が負担するのか、国が負担するのかは別にして、何しろ、全て、国が補償します、と言えばいいだけです。これで被災者も原発事故の被害者も安心します。また、これで地方を含めた行政も動きやすくなるはずです。政治駆け引きを離れて被災者、被害者のために迅速な行動が取れるからです。

しかし中々行政ではむずかしいのが、被災者、被害者への人的サポートです。まず、医療の問題です。折角助かっても、現在の生活環境では老人やすでにからだの弱っている人、病気を抱えている人は持ちません。限りはありますが、できるだけ多くの方を助けられるものなら助けたい。しかしこれは出来る人が限られている。わたしたちの多くは気持はあってもそういう能力を持ち合わせていません。メンタルケアについても同じです。セラピストのような方たちの力が必要です。

昨日、スポーツ関連の広告代理店を経営されている方からメールをいただきました。
「先ほど、岩手県北上の知人に電話したら、震災後、食べるものや暖房がなくて、家の中で、4日間スキーウェアーを着て、食べ物はリンゴだけで食いつないだと。」

スキーやスノーボーダーなどのウインタースポーツの選手たちがスキーウエア―などを集めて被災地に送る援助を始めたと報道されています。

「避難所でスポーツ活動を」
朝日新聞13面オピニオン欄のコラム記事です。
神戸大臨床教授の賀来先生がこう書いています。
「阪神大震災ではこんなことがありました。震災10日後に外来診療を再開してからのことです。小学生の男の子が医院の前で、ぼーっとたっていたんです。『どうしたん?』と聞くと、『もうサッカー、できへんのやなあ』と暗い顔で答えました。それで、家にあったバレーボールを渡しました。壁当てをして戻ってきたその子は「ああ、すっきりした」と晴れ晴れとしていました。」
「当時、避難所でも治療に携わった経験から言えば、子どもは希望です。こどもに明るさが戻れば、家族や周りの大人たちも元気になり、復興への前向きな気持ちも生まれる。子どもたちへの気配りを忘れないで欲しい。」

わたしはこれを読んで、もしポゴやフライバーの在庫がたくさんあるなら被災地に送ってあげたいものだと思いました。避難所生活をされている方々が代わる代わるポゴやフライバーを跳んでいる姿を想像したのです。
しかし残念ながら、そんなに在庫はないでしょうし、その少ない在庫も被災地の仙台にあります。

もちろん被災地の方が今すぐ運動をしなくても、「ただちに健康に影響はない」かもしれません。そしてこんな状況で運動する、スポーツをするなどと言う気にはならないかもしれません。しかし、賀来先生もおっしゃっているように、「運動による健康効果は子どもだけではありません。救命医療を最優先する時期を脱したら、大人も少しづつ動いた方がいい。」

これは被災地だけでなく首都圏の方にもいえることです。ある地方都市では、先週自転車がいつもの日の百倍売れたそうです。このガソリン不足では、首都圏より、車に依存した生活をしている地方都市のほうが深刻だったのです。しかし、それが結果的には健康に寄与したかもしれません。もちろん「ただちに健康になる」わけではないでしょうが。

昨日も書きましたが、「計画停電」が長期化しそうです。この計画停電で真っ先に煽りを喰ったのが、スポーツや音楽のイベントです。このイベントというのは、特に音楽芸能系のものは、首都圏に集中しています。現在プロ野球、それも東京ドームをフランチャイズとするチームに避難が集中してますが、よみうりの球団社長の気持ちもわからないではない。あの発言の裏には、「本当は東電はもっと電力供給量があるんじゃないのか」っていうことだと思うのです。

現在ヤフーのページでその日の電力の供給量と使用量を一時間毎に図で出してます。

もちろんこれ、東電の発表ですから正しいのかどうかわかりません。
ある情報によると、現在稼働している東電管轄の発電所のマックスの発電量を足すと現在示されている数字よりもっとあるはずとのことですから。

まあ、それはともかく、現在は3750万キロワット、頑張っても4000万キロワットがここしばらくのマキシマムとしましょう。24時間の中でこの4000万キロワットを超えなければいいわけです。ならば社会システムそのものを電力供給量マックス4000万キロワットに変えていけばいいのです。
そもそもこの原発事故の前までは東電は、電力をどんどん使えっていう政策をとっていたわけです。オール電化しかり。そしてもっと発電量を増やそうと、新しい原発も計画してました。
もう世の中、右肩上がりが永遠に続くっていう幻想は止めにしましょう。いっくら物質的に豊かになってもそれと比例して幸せになったわけでもないし、戦争や災害がなくなったわけではない。一度大きな地震や津波が起これば、その豊かさは簡単に崩壊してしまうということを今回学んだのです。

原発事故は、まだもちろんその先も読めない状態ですが、この状況が長期化することは間違いありません。だから、この状況に対して、早くこの状況に合わせたシステムに個人も組織も経済も政治も変わっていかざるを得ません。
首都圏でのガソリン不足は、その変わった物流システムに対応できなくなった結果起きたことで、実際にガソリンが不足していたわけではありません。

被災地も含めた、現在の日本の状況を把握して、その状況に対応したシステムを早急に構築することが、経済活動においても社会生活においても求められているのではないでしょうか。

そこで提案です。どうしても東京ドームで試合をやりたいなら、夜中の12時にプレイオフなんていうのはどうだろうか。もちろんそのためには、鉄道各社が終日運転するわけです。終日運転する代わりに、鉄道は総量規制で、今までの運行の70%に制限する。つまり、昼間のダイヤがかなり削られるわけです。そうなると、他の企業もできるところは24時間で人員配置せざるを得なくなる。いわゆるシフト制ですね。企業が24時間シフト制になれば、飲食や娯楽産業もそれに対応せざるを得なくなる。
夏場なら、夜中にナイターでテニスコート使ったって電力需要的には問題はない。
イベントもミッドナイトイベントで盛り上がるかもしれない。少なくとも交通機関が24時間営業していれば問題はありません。

節減、節電ばかり言ってると、人間の心が萎えてくる。確かに今までが飽食で、アメリカンな生活をしていたので、あるレベルまでの節減、節電は必要でしょう。でも、今問題なのは、電力供給量には限がある。その電力供給というのは総量ではなくて、瞬間のものだということです。この理屈さえわかれば、新しい社会の電力の使い方のシステムを作ればいい。ちょっとしつこくなりました。

最後に昨日の話に戻ります。
以前のようなバブリーな生活に戻りたいから、原発はこれからも作るのだという論理に持っていかせないことです。どんな言い訳をしても、やっぱり原発は作っちゃいけなかったのです。自分の「便利で快適な生活」のためにその災厄を子どもたちに先送りしてはいけません。

今日はわたしの地域は9時20分から停電予定でしたが、なくなりました。その後のグループも第3グループまでは中止です。これって、みなさんの節電の結果?それとも、供給量が増えたから?



3月25日(金)

あっという間の2週間でした。
昨日になって、今回の福島第一原発の事故レベルが「6」であるという報道がなされました。これは決して政府や原子力安全・保安院が発表したわけではありません。オフィシャルには、あくまで現状は「レベル5」なのです。
レベルが5でも6でもいいのですが、この見解の違いは、現状把握能力の違いと考えると、空恐ろしいものがあります。原子力や放射能といったことの専門家ではない政治家が原発事故の現状把握をしろと言ってもそれは無理です。しかるべきプロである人間が現場に赴き、調査して現状把握するしかありません。そのプロが経済産業省原子力安全・保安院の方たちです。そして日本にはもうひとつ原子力に関するプロの方たちがいます。今回の「スピーディー」(緊急時迅速放射能影響予測)の結果報告をしたのが、そのプロ中のプロ、原子力安全委員会です。結果は「スピーディー」に出てたのに、10日以上経ってから発表するっていうのはちっともスピーディーじゃないでしょう。と誰かが突っ込みそうなもんですが、その突っ込みをTV報道で聞くこ
とはありませんでした。


http://www.nsc.go.jp/annai/tsuite.htm


それでは、この原子力安全委員会というのは何ものなのか。
「原子力安全委員会は、『これら』から独立した中立的な立場で、国による安全規制についての基本的な考え方を決定し、行政機関ならびに事業者を指導する役割を担っています。」
『これら』というのは、経産省や文科省といった行政機関のことです。行政機関から独立しているからといって、このような原発事故が起こった時に独立して中立な立場でものが言えるかといえばそれは違います。今回のスピーディーの結果を10日以上も経ってから公表したというのがその証拠です。所詮は御用機関です。モノ言う相手はあくまで行政なのです。だから今回の公表も一応は行政の長である、内閣総理大臣の許可があっての公表でしょう。隠しておくわけにはいかなくなっただけのこと。

原発事故で引き合いに出されるのが「チェルノブイリ」と「スリーマイル島」です。
当初の政府発表は、レベル4、つまりスリーマイル島の事故より低いと看做していました。「事象」なんて、哲学でもやらなければほとんど使われない言葉も出てきました。現在のオフィシャルな認定は「レベル5」です。これが「スリーマイル島原発事故」のレベルです。ちなみに、「チェルノブイリ原発事故」はレベル7です。
もう耳にタコができるほど聞いているでしょうが、もう一度「スリーマイル島原発事故」がどんなものだったのかおさらいしておきましょう。

まず、スリーマイル島はどこにある「島」なのか?正確にいえば、スリーマイル島は、島ではありません。ペンシルバニア州の州都ハリスバーグ郊外を流れるサスケハナ川の周囲3マイルの「中州」です。ペンシルベニア州といえば頭に浮かぶのは、フィラデルフィアでしょう。全米でも有名な「美しい街」です。そのフィラデルフィアから西に100マイル(160キロメートル)にあるのがスリーマイル島です。
そのスリーマイル島は、それではニューヨーク、ワシントンDCからどのくらいの距離にあるのか?直線距離でニューヨークのマンハッタンまで東に280キロ、ワシントンDCだと北東に220キロになります。
距離だけ見れば今回の福島第一原発と首都圏との距離が約220kmから250kmですからスリーマイル島と同じぐらいの位置関係と言えます。

スリーマイル島原発事故は1979年3月28日に起こりました。
事故の約2週間前に「チャイナシンドローム」という映画が公開されたばかりでした。わたしもこの映画もちろん記憶にあります。というより、映画がまさに現実になったわけです。すでに社会人になっていましたが、原発事故というのは、地球規模
の被害をもたらすんだと思ったものです。メルトダウンとか、シンドロームと言う言葉はその時以来一般化したんではないでしょうか。

スリーマイル島原発事故は、ちょっとした人為ミス(非常用炉心冷却装置がご判断で止められてしまった)から炉心溶融(メルトダウン)を引き起こし放射能漏れを起こしましたが、その放射能漏れが何日も続くと言うことはありませんでした。また、事故は97万キロワット出力の原子炉ひとつだけです。

あえて、このスリーマイル島事故をおさらいしたのは、この事故が現在、現実にまだ放射能漏れを続けている福島第一原発と比べていかに「小さい」事故だったかということを知るためです。しかし政府は、現在に至っても「福島第一原発事故」を、この「スリーマイル島原発事故」より「たいしたことのない原発事故」だと言っているのです。

政府の認識、対応もお粗末なら、メディアの対応も情けない。日本にはジェーン・フォンだはいないのか?原発行政を悔い改め、告発するマイケル・ダグラスはいないのでしょうか?(ジェーン・フォンダもマイケルダグラスも『チャイナシンドローム』に出演した俳優です。)

今はどんな手を使っても、まずは「放射能漏れ」を止めることです。もちろんそれを現場の方は死に物狂いでやっているのでしょう。しかし、このままでは、1ヶ月掛っても止まらないのも事実です。

高嶋哲夫さんのHPに下記のような記事がありました。


http://homepage3.nifty.com/Takashima-Tetsuo/index.html


高嶋さんは、日本原子力研究所の研究員もされていた、現在は作家になった方です。
わたしは、1994年に発表された『メルトダウン』を読んでからファンになったのですが、彼はある意味では、「原発推進派」の人だとわたしは思ってます。ただ良識ある人だと思います。もし、今回の福島原発の事故がなければ、たぶんわたしも高嶋さんと同じように考えていたかもしれません。つまり「便利で快適な生活」を捨て切れなかったわけです。
良識ある「原発推進派」は、今回の事故を悔やんでいます。それは、今回の事故が全く「予想もできなかった」事故ではないからです。すでにメディアでも取り上げられている通り、何年も前から対策を講じた方がいいと指摘されていたのです。
しかし、これは「たら、れば」の話です。
「人間が作るものに完全なものはない」
これ、高嶋さんの「風をつかまえて」という、風力発電(風車)を潰れかけた鉄工所で作ってしまうという小説、の中にでてくる言葉です。

人間が作るものに100%安全などというものはないのです。だから、それが99.99%安全が確保されたとしても事故が起きた時、子子孫孫までその禍根を残す可能性があるものは作ってはいけないのです。人はやっぱり謙虚にならなければいけない。これは自分自身にもいれることです。54基もの原子力発電所を作ってしまった責任はわたしにもあるのですから。

原子力発電に関わる人たちだけでなく、また原子力発電を推進してきた人たちだけでなく、今回の原発事故に関しての責めは負わなければなりません。
そのひとつが、何としても「こども」を守るということです。

まだ放射能漏れが止まったわけではありませんから、これから水質汚染や土壌汚染は拡大するかもしれません。それが「ただちに」健康を損なわないとしても、放射能を含んだ空気も水も作物も食べないに越したことはありません。X線だって、CTスキャンだって、放射能を浴びないに越したことはないのです。
しかし、日本に、それも80km圏内の人は今まで浴びていなかった放射能を浴びて生活せざると得なくなりました。
「今日の放射能」をまるで天気予報を聞くように、毎日確認しなければいけない世の中になったのです。「今日の計画停電」と「今日の放射能」は冗談ではなく新聞やメディアの必須情報になるでしょう。

逃げられる所、非難する場所がある人は誰に気兼ねすることなく出て行かれることをお勧めします。これ、冗談でも皮肉でもありません。それから、今回の震災で被災された方は、できれば、関西以西に疎開される方がいいでしょう。(北海道でもいいかもしれませんが)これは、行政が責任を持ってやるべきことです。

しかしほとんどの方はそこを離れることができません。前にも書きましたが、平均余命が40年を切った方がたは覚悟を決めましょう。「希望の星」である子ども、若者をこれからどうやって守るのかを真剣に考えましょう。

何しろ、これから長期戦です。と同時にいつまた考えもしなかった事態が起こるのか想像もつきません。原発がさらなる放射能をばら撒いたり、もっと大きな地震が起こったり、悪いほうにはいくらでも想像が働きますが、今はいい方への想像はできないのが普通です。しかし、世の中何が起こるかわからないのですから、宇宙から「いい」宇宙人が来て、原発をちょちょいのちょいと、直してくれるかもしれない。その代りに自然エネルギーの有効な使い方を伝授してくれるかもしれない。望めば地球を離れて、別な星に連れて行ってくれるかもしれません。

最低限、水のペットボトルを買い占めるのはやめましょう。
ただ、赤ちゃんがいるお母さん、気をつけてください。
コルトレックスみたいな硬度の高い水は駄目ですよ。あれ、ダイエット用ですから。
まずくて(人によってはおいしいって言う人もいますけど)食欲なくしますから。
じゃなかった、赤ちゃんには「ただちに」健康に悪いですから。

本日、わたしの地域は第二グループなもんで、18時20分から22時まで停電です。ということは早めに夕飯にして早寝です。っていったって、夜の7時には眠れないよね。

みなさん、それなりによい週末を。

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