オバマ演説集 | 今、考えていること

オバマ演説集

生声CD付き [対訳] オバマ演説集/CNN English Express編
 「オバマ演説集」が日本で40万部も売れているというので、買ってみた。昨年行われた大統領選挙で第44代アメリカ合衆国の大統領に選ばれたバラク・オバマ氏の大統領就任式がワシントンD.C.で現地時間の1月20日に行われる。
 オバマさんの人気はJ.F.ケネディー以来といわれている。そのJFKは、ニューヨークの国際空港の名前になっているくらいに有名だが、そのケネディーがどのくらいアメリカ国民に人気があったのかは映画やその時の報道で知るしかない。何しろ、JFKは1963年の11月にパレードの際に狙撃されて殺されてしまったからだ。わたしが小学校3年だか4年の時である。

 アメリカの建国は1776年、イギリスとの独立戦争で勝ち取ったものである。「雛なろう」とその年号を覚えさせられた。その時の第一代の大統領がワシントンで、大統領府のワシントンD.C.の名前に残っている。D.C.というのは、コロンビア特別区のことで、コロンビアとは、アメリカ大陸を発見したコロンバスのことである。ついで、アメリカというのは、どこからきているかといえば、アメリカをアメリカと認識した人、アメリゴベスプッチの名前から来ている。コロンブスは、発見した新大陸をインドだと思っていたのだから。
 最近のアメリカは実に評判が悪い。その評判の悪さに拍車をかけたのが、昨年9月のリーマンショックである。デリバティブなどというわけのわからない金融商品を作って、インベストバンク(投資銀行)というビジネスモデルの元、世界に売りまくったのである。サブプライムなどというのは、ほんのその一部の話に過ぎない。今でも、そのわけのわからない金融商品、証券が世界にどのくらいばらまかれたのか、その総量を誰も把握できてない。
 アメリカが自国のドルを守るために金融で生きていこうと決めたその日から、実はこうなることはわかっていたことである。
 世界大恐慌の引き金は1929年10月24日、ニューヨーク株式市場の株の大暴落である。株が大暴落するためには、その前に暴騰している必要がある。アメリカは第一次世界大戦後「永遠の繁栄」と呼ばれる好景気を迎えたのである。
 それが今回は2008年9月15日のリーマンショックに変わっただけだといわれている。世界大恐慌の再来である。その引き金を引いたのはまたも金融立国を目指したアメリカである。
 そもそも金融が一人歩きし始めるなどということはあってはならないことである。

 金融とは、お金を融通することである。手っ取り早く言えば、金貸しである。その金を貸すという行為が、実体を伴ったものに対して行われるのが本来の金融である。その目的が何であれ、実体経済とセットになっていることが金融の最低限守らなければならないルールである。
 金融大国になるということは、金貸しの親玉になることを意味する。しかしそこにも最低のルールは求められる。投資をしても、投機はしてはいけないのである。
 アメリカの評判が悪いのに、こんど大統領になるオバマさんの人気は異常なほど高い。アメリカ国民だけでなく、世界の国々、日本も含めて気に入られている。WASPではない。ユダヤ系でもない。マイノリティーといわれる、アフリカン・アメリカンである。
 それまでのブッシュがあまりにも評判悪すぎた。その意味では、オバマさんはやりやすいかもしれない。比較される相手がブッシュなら、何をやってもうまく見える。
 しかし、今のアメリカは1920年代に「永遠の繁栄」を謳歌した時の力も第二次世界大戦後の復興に力を入れ、東西冷戦に敢然と立ち向かった威光もない。
 金融立国を目指したくせに、財政破綻と貿易収支の赤字ですでに首が廻らない状態である。

 そんなアメリカをオバマさんは何とかできるのだろうか。イラクからの撤退はすでに命じたと伝えられる。
 演説の中でも、オバマさんは、中東産原油依存から10年以内に脱っするのだという。そして原油依存体質からも抜けていくのだと。
 
 2004年の大統領選挙の時は、まだ一地方議員だったオバマさんが、4年後には大統領になれる国。それがアメリカという国である。
 1929年の世界大恐慌に立ち向かった大統領として有名なのが、32代目の大統領フランクリン・ルーズベルトである。ルーズベルトの推し進めた「ニューディール」政策がアメリカの恐慌を立ち直らせたといわれている。
 また、日本にとっては、もし、ルーズベルトが1945年4月12日、脳卒中で亡くならなければ、8月の原爆投下はなかったかもしれないといわれている。歴史に「もし」は通用しない。しかし、ルーズベルトは歴代2位の人気を博した大統領だったのである。
 それでは、アメリカの大統領人気ランキング一位は誰かといえば、それはもちろん第16代のリンカーンである。今のアメリカがアメリカでありえるのは、南北戦争でリンカーン率いる北軍が勝ったからである。そして黒人が奴隷から開放されたのもリンカーンがいたからである。
 
 オバマさんは、リンカーン、ルーズベルト、そしてケネディーを尊敬している。そして自らをその後継者だとしている。カリスマ性は抜群である。英語の不得意な日本人がその演説集を40万人が買うのである。それこそカリスマ性の証明ではなかろうか。
 CHANGEもYES,WE CANも英語だから、格好いいのである。日本語に訳すと何だかピンとこない。そもそも日本人にも、日本語にも演説は苦手なのである。
 第44代アメリカ合衆国大統領の就任式が後数時間で始まる。何だかワクワクしているのは、きっと私だけではないだろう。日本のテレビ局も異例だろうが、生中継を予定している。
 テレビで見るには、NHK,NHK衛星、その他民放でも予定されている。
 より現場に即してというなら、ケーブルテレビのCNNjあたりがおもしろいと思う。
 ラジオで聞きたいというなら、昔のFEN,今はAFNと呼ばれる、米軍の基地からの放送で生放送される。
 そして、テレビやラジオじゃなく、ネットで見たいんだという方にお勧めは、「ライブステーション」がいい 。専用のアプリをダウンロードしなければならないが、日本の中でネットで生で見るためには、これがいいようだ。
 「オバマ演説集」というのは、この歴史的なオバマさんの大統領就任式を愉しんで見るための資料である。このオバマ演説集をある程度マスターしておけば、彼の話す英語もわかるはずである。

英語で聞く、英語で読む ! オバマ「変革」の時代 2009年 01月号 [雑誌]