宇宙を作り出すのは人間の心だ フランチェスコ・アルベローニ
- フランチェスコ アルベローニ, Francesco Alberoni, 大久保 昭男
- 宇宙をつくりだすのは人間の心だ
今年はどんな年になるのだろうか。テレビやラジオやインターネット、雑誌や単行本までが2007年を占う。
人間には残念ながら未来を予測することはできない。特に自然がもたらす環境変化に対して人間は無力である。雨風は凌げても、大地震を予知することはできない。
もし、明日東京直下型の大地震が起これば、世の中は大きく変わる。その世の中とは、日本人の世の中である。しかし、それは十分に考えられることで、突飛な発想ではない。
世の中が一夜にして変わることを日本人は62年前に経験している。それは、天変地異ではない。人間同士の争いである。
人間は自然の一部である。自然というのは宇宙と言ってもいい。そして宇宙を神とも名付けられる。自然は人間以前に存在したものであり、人間がどうこうできるものではない。その人間がどうこうできないものをどうこうしようとするところに問題が生じる。
地球の歴史を考えると、氷河期の連続である。氷河期と氷河期の間に人間が生息していると考えられるが、それを間氷期と呼んでいる。地球のスパンで考えれば、現在は第四間氷期ということになる。
地球は自転しながら、太陽の周りを回っている。その太陽の周りを回っている星がいくつもあって、それ全体が太陽系といわれているが、その太陽系全体も銀河の中を移動している。その銀河もまた宇宙の中を移動しているというわけだから、全てのものは常に動いているということになる。
宇宙にあるものは全て動いている。それは、人間も同じである。この世に存在するということは、動いているということだ。人間はこの世に生まれてからその生を終わるまで細胞の生滅を繰り返している。細胞は分子の集まりで、分子は原子の集まりである。原子は原子核に電子がくっつき、原子核は陽子と中性子でできている。その陽子も中性子も動いているし、原子核も電子もじっとはしていない。
宇宙にあるあらゆるものがじっとしていない。じっとしていないから、捉えることができない。これが量子力学である。
宇宙にあるもの全てが動いているのだから、この世が無常なのは当然のことで、自然を人間がコントロールしようなどと思うことは傲慢というものだ。自然はそれをコントロールしようと思うものにとっては勝手気ままな振る舞いのように思える。しかし、その勝手気ままな振る舞いこそが、宇宙の秩序である。
時々、こんな声を聞くことがある。
「人間同士の殺し合いなどに興味はない。勝手にするがいい。しかし、神に逆らうことは許さない。」
その神とは、自然であり、宇宙である。