たぶん、もっと前から友人に唆されていたのだろうが、

なかなか勇気が出せないままでいた。


卒業式の夜、

やっとの思いで玲子さんに電話をかけた。


「好きです」


おそらく、もじもじしながら

蚊の鳴くような声で言ったに違いない。


もう返ってきた言葉までは憶えてないが、断られたことは確かだ。


実は、好きな人がいることも相手が誰なのかも噂で聞いていた。


1年ではクラスメートだったが、2、3年と廊下ですれ違うぐらいで一言も交わすこともなかった男子から、いきなり告白されたのだから、

さぞかし戸惑っただろう。


こうして3年間の恋は海の藻屑どなった。