Fの部屋 古畑任三郎の続きを勝手に考えるブログ
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2015.9.22  午後2時


松本、稲葉、増田、シェーンは古畑に呼び出された。
東京ドームの、明石が死んだ部屋に。

彼らは事前に六本木のスタジオに集まり作戦を立てた。


松本  「古畑は俺たちの中に犯人がいると思ってる。」

稲葉  「彼はかなりキレるね。」


増田   「どうする?」


シェーン  「ドースル?」


松本   「アリバイをもう少し正確にしよう。増田さんは午後5時10分~30分の間にリハを聞いていたことにしよう。」


増田    「わかった。曲は、、恋心ってことで。」



松本     「OK」



稲葉    「アリバイが完璧なら大丈夫。証拠もないし。じゃあ行こう。」



そうして彼らは現場に向かった。



ー東京ドームー


明石の部屋にたどり着くと、
そこには大音量でベースを演奏している古畑がいた。


古畑  「これはこれは失礼しました。私学生時代はベースをかじってたこともありまして..」



稲葉  「結構派手に演奏なさるんですね。」



松本   「是非今度ウチのサポートにきてください。」



古畑    「アハハ、ご冗談を...」



西園寺が走ってきた。


西園寺   「古畑さん、例の件ですが...」


古畑に耳打ちした。


古畑    「どうもありがとう西園寺君、君は仕事が早いねー」


今泉は嫉妬の目で見つめた。


古畑    「今泉くんは向こうで準備してなさい。」


今泉   「はい。」


古畑   「えー今日みなさんに集まってもらったのは、、みなさんのアリバイを再確認したいと思いまして。私はこの事件は殺人事件と考えています。明石さんは昨日ここで殺されたんです。」


全員息を飲んだ。
これから追及が始まる。


古畑    「みなさん、今一度確認ですが、この部屋に来たのは初めてですか?」


松本    「はい、場所は知ってましたが入るのは初めてです。」


稲葉    「私もです。彼はあまり人を呼びたがらなかった。」


増田    「そうです。思ったより部屋のレベルが高くてビックリです。」


シェーン  「ハジメテデス。」


古畑  「ありがとうございます。では、みなさんのアリバイですが、、増田さん、松本さんと稲葉さんのリハを聞いたんですね?失礼ですが、それはどんな音でしたか?大きかったですか?」


増田   「ええ、音漏れするくらいですから結構大きかったですよ。」


古畑   「そうですか、では増田さん、稲葉さん、その時リハをしていた曲を教えてくれませんか?お二人同時にお答えください。いいですか、さん、はい!」


稲葉&増田  「恋心」


古畑   「ありがとうございます。ちなみにその曲を聞いたのは何時ころですか?」


増田    「午後5時10分~30分頃です。」


古畑     「なるほどー、18時開演ですからそこから殺しに行くのは難しい。2人のアリバイはやはり完璧ですね。」


松本、稲葉は心をなでおろした。
なんとかこれで切り抜けられそうだ。



古畑  「昨日は、私と今泉くんはファンイベントで、昨日稲葉さん、松本さんと一緒に楽屋におりました。えーその節はウチの今泉がご迷惑をおかけしました。」


稲葉   「いえいえ。」


古畑   「実はですねーあの時今泉くんは、ラジカセをいじってしまいまして、実はその時に、、」


古畑は西園寺が持ってきたラジカセを指差した。


古畑  「録音ボタンを押してしまったんです。」


!!??


松本  「なんだって..」
稲葉  「...」


当時あの部屋には誰もいなかった。
音は入っているわけがない。


古畑   「昨日、この録音ボタンが押されたままのラジカセを見つけましたので、お預かりしました。このラジカセは今泉くんが触ってから一度も再生されていない。」


稲葉は心臓の音の高鳴りを感じた。


古畑   「聞いてみましょう。このテープは1時間録音されています。私たちが去ったのが、5時くらいですから、このテープには、大音量の恋心が録音されているはずです。」


古畑はテープを再生した。


ーーーーーーーーーーーーガガッ

古畑 「みっともないことするんじゃないよ!」

松本 「いいんですよ。」

古畑 「最後にもう一度握手をお願いします。今日のLIVE楽しみにしてます。」


.......................


ーーーーーーーーーーーー


音が途切れた。

古畑   「あれ、音が聞こえなくなりましたねー。増田さんが音を聞いたのは午後5時10分からだそうですね。早送りしてみましょう。」


古畑は15分ほど早送りした。
何も音はなかった。


古畑   「何も聞こえませんね。」



松本    「壊れてるんじゃないですか?」


古畑    「いいえ、最初に私の声が入ってました。壊れていません。」


古畑は語気を強めた。


古畑    「これで増田さんの証言も信用できなくなりました、松本さん、稲葉さん、あなた達本当はどこにいらっしゃったのでしょうか?」


稲葉   「...」


古畑は続けた。


古畑   「明石さんの携帯の中身を西園寺君に調べてもらいました。彼はネット銀行で金を管理していました。彼の銀行口座には定期的に大金が振り込まれていた。そしてカレンダーアプリには昨日に振込日と書いてありました。これは推測ですが、明石さんはあなた達の秘密を握っていて、それをネタに揺すられていたのではないでしょうか?その金の振込日が昨日だった。だから昨日殺したんです。」


松本   「違います。それは推測にすぎませんね。」


稲葉   「このラジカセのテープだけで僕たちを逮捕できるんですか?」


古畑    「証拠はまだあります。えー..事件直後のこの部屋に割れた食器がありました。不自然な割れ方をしていたので、鑑識に回したところ、面白い事がわかりまして。割れた原因は、、」


古畑は稲葉の方を見た。


「音だったそうです。」


稲葉は驚きを隠せなかった。
あの数分のリハの声でワイングラスが割れたのだ。


古畑   「鑑識によると、18N/mmの音と適正な周波数を出した時に割れる事があるそうです。非常に大きな音で高いキーだそうです。私先ほどこの部屋にあったベースを弾いてみましたが、できませんでした。」


古畑は測定器のようなものを手に取った。


古畑   「これは鑑識から借りてきました。音圧を測れます。西園寺君、君結構声高いよね?ここに思いっきり叫んでみて。」


西園寺  「わーーーーーっ!!!!」


古畑   「いきなりやらないでよ、びっくりしたよ。」


西園寺   「失礼しました。」


古畑    「たったの5だね。18には到底及ばない。無理だね。」


古畑は松本に測定器を向けた。


古畑  「松本さん、いかがでしょうか。」


松本   「...」


松本はうつむいた。


古畑 「そうですね、あなたにそのキーは出ません。」


古畑は稲葉に歩み寄った。


古畑  「稲葉さん、このキーが出せるのはあなたしかいません。あなたは犯行時刻にこの部屋にいたんです。松本さんらはあなたのサポートにまわった。あなた一人がこの部屋に来て明石さんを殺した。そこで、歌合わせでもしたのでしょう。
そこでガラスが割れた。まさに、見えない力の仕業です。」


稲葉 「ちょっと待ってくださいよ!そんなキーが高いだけで僕が犯人にされるんですか?自然に割れたかもしれないじゃないですか。」


古畑   「証拠としては弱いと?」


稲葉   「ええ、古畑さん、あなたには失望しました。そんなワイングラスが割れたくらいで、犯人に決めつけるなんて。何の証拠にもならない。」


古畑「確かに証拠としては弱いです。しかも、音圧は指紋と違って本人特定ができません。しかしあなた、、」

古畑は稲葉を指差した。

「.....どうして、割れた食器がワイングラスだと断言できるのですか? 私は、今まで食器が割れたとしか言っていません。


稲葉「!!!」

稲葉の頭は言い訳を探した。
稲葉は明石さんがダイニングにワイングラスを並べていた光景がふと頭によぎった。


稲葉 「いや、、ほら現にあのダイニングにワイングラスが...」


稲葉はキッチンに向かって指をさした。


しかしそこには、ワイングラスはなく、
コーヒーカップ、紅茶カップが並べられてあるだけだった。一生懸命並べている、今泉の姿が、稲葉にとっては憎らしかった。


古畑 「えー...どこにワイングラスがあるのでしょうか。」


古畑が畳みかける。


「あなたこの事件現場には一度も入っていないとおっしゃった。我々が現場に到着した時には、
確かに割れたワイングラスがありました。あまりに不自然な割れ方だったのですぐに鑑識に回しました。
つまり、割れたグラスを見たことがあるのは、私と今泉くんと犯人以外にいないんです。
えー...まだ続けますか?」


稲葉は全てを諦めた。
それは、他のメンバーも同じだった。


松本    「明石の口座の入金履歴まで疑いがかかったら、どのみち逃げられないな。」


稲葉 「古畑さん、どこから怪しいと思っていましたか?」


古畑  「えー...私もあなたのファンなので、初めは自殺の線で捜査しようと思っていましたが、実は、、事件が発覚した時から、真っ先にあなたが怪しいと思っていました。」


稲葉    「まさか。」


古畑    「あなたと初めてお会いして握手した時に、あなたの手にマメがありました。ベース特有の。」


稲葉は自分の手を見て苦笑いした。


古畑 「予定通り明石さんを殺害すると、アンコールでの松本さんと明石さんのセッションはできなくなる。ファンをがっかりさせるないためにこっそり練習されていたんですね。
素晴らしい演奏でした。
あの日、明石さんがステージに立てない事を前もって知ってたのだと思いました。
私は最初に握手したとき、単なるサプライズの準備をしているのだと期待していたのですが、、」


稲葉  「あなたには敵わないな。」



松本  「稲葉...」



今泉  「ふ,古畑さん..」


今泉は泣き崩れていた。

松本    「いい曲を書けなくなってしまったんです。最近の曲はほとんど明石のアイディアでした。」


古畑   「残念です。」


稲葉   「あのイベントであなたが来なければな。」


古畑   「時が戻るならそうしたいです。」


増田   「すいませんでした。覚悟はできてます。」


シェーン   「ワタシモデス。」



古畑   「オツカレさまでした。スタッフのみなさんに今後の事を話してきてください。」


板垣   「古畑さん、確保しなくてもよろしいんですか?」



古畑   「彼らは、逃げないよ。あのB'zだよ?」




-完-

稲葉は、控え室のソファに腰掛け、ハーブティーを飲みながら、
ぼんやりとしていた。漠然とした不安や、後悔の念が頭に浮かんでは消えていった。


コンコン


「夜分にすみません、警察の者です。今お時間よろしいでしょうか。」


稲葉  「警察...」


稲葉は一瞬身構えたが、深呼吸をしてドアを開けた。


稲葉 「確かあなたは、今日のイベントで...」

古畑 「はい!覚えていてくださいましたか、私古畑と申します。実は刑事をしておりまして、
この事件の担当になりました。まさかこんな形でまたお会いすることになるとは。」


稲葉 「事件のことは警察から聞きました。とてもショックです。」


古畑 「そんな状況で押しかけてしまってすみません。稲葉さんに確認したいことがありまして。」


稲葉 「どうぞ。」


古畑 「いや綺麗なお部屋ですねーー、吸入器やトレーニング器具もある、テレビで拝見した通りだ。LIVEの前もやられるんですね?」


稲葉 「直前に吸入器は使いますね。」


古畑 「昨日のLIVE前も使いましたか?」


稲葉 「はい、まあ。それで確認したいのはどういった点でしょうか。」


古畑 「ああ失礼いたしました。つい興奮してしまいました、ハハハ。ところで、明石さんの死因をお聞きになりましたか?」


稲葉 「はい、睡眠薬の摂取だと聞きました。」


古畑 「そうなんです、睡眠薬をお茶に混ぜてのんでいたようです。酒好きの彼の最後の行動にしては不自然だと私は考えています。誰かが明石さんの部屋を訪れて殺害した可能性が高い。」


稲葉 「そんな。」


古畑 「あくまで可能性の話ですが。」


稲葉は後悔した。やはり飲み物の選択は間違いだったと。


古畑 「それで、申し訳ないのですが、昨日の午後5時から何をしていたか教えていただけませんか?もちろんこれは形式的な質問ですので、簡潔にお答えくださって結構です。」


稲葉 「昨日はファンイベントの後、ずっとまっちゃんの楽屋にこもって2人でリハしていました。」


古畑 「あのイベントのあった部屋ですね、いや長居してしまいすみません。あの後お二人でずっとおられたのですね。それを証明する人は?」


稲葉 「さあ、それはいないと思います。ずっと二人でやってましたから。」


古畑 「わかりました。それで結構です、ありがとうございます。」


稲葉 「何か犯人に繋がる証拠のようなものはあるのでしょうか。」


古畑 「今の所なにも。私が勝手に気にしているだけかもしれません。」


稲葉 「そうですか。」


古畑 「今日は遅くなってしまいましたが、今夜のご予定は?」


稲葉 「今日はスタッフと打ち上げの予定でしたが、中止です。もう帰りますよ。明日六本木のスタジオに集まって、今後について話し合う予定です。」


古畑 「そうですよね。大変なことになってしまいました。」


稲葉は内心この刑事の尋問に恐怖を感じていた。
一つでもボロを出すと、この刑事は見逃さないだろう。


稲葉 「古畑さん、今日は心の整理がついていませんのでこの辺で帰ろうと思います。」


稲葉は帰るそぶりをみせた。

古畑 「こちらこそお引き留めしてすみませんでした。えーしかし稲葉さん、怖くはないのですか?」


???

稲葉は質問の意図がわからず困惑した。


古畑  「私は殺人事件の可能性があると申し上げました。つまり犯人はまだ外をうろついているかもしれない。しかも明石さんの部屋に簡単に入れる人物です。スタッフの中に犯人がいるかもしれませんよ。」


稲葉は心の動揺を隠そうと必死だった。


稲葉  「SPがいるので、彼らを信じています。」


古畑  「なるほど、さすがにトップアーティストの方は違いますね。」


稲葉  「ありがたいことです。」


古畑  「あーそれから、お茶、飲みかけですよ。」


稲葉  「ああすみません。」


古畑  「さすがの体調管理ですねー。こんな日は普通お酒でも飲みたいものですが。」


稲葉  「B'zのシンガーですから。」


古畑  「素晴らしいです。お疲れさまでした。」


稲葉は逃げるように部屋を出た。
自分の発した言葉で、ボロが出ていないか思い返していた。


古畑は何かが頭にひっかっているような顔で稲葉の後ろ姿を見つめた。


しばらくして、古畑は考え事をしながら歩いていると、
増田とシェーンに偶然遭遇した。


事件の詳細と、稲葉と松本のアリバイについて尋ねた。


増田  「ああ、稲葉と松本はリハしてましたね。音が漏れて聞こえてきました。」


シェーン 「ワタシモキキマシタ」


古畑  「そうですか。お二人は廊下で演奏していたようですし、そのお二人が稲葉さんと松本さんの音を聞いたならば、皆さんは事件とは無関係のようですね。」


増田  「そりゃそうですよ。」


古畑  「失礼しました。しかしどうして突然演奏をなさったのですか?」


増田  「いや、千秋楽だしみんなを盛り上げようと。」

古畑  「なるほど。大切なことです。夜分にお引き留めしてすみませんでした、お話いただきありがとうございました。」


増田とシェーンは肩の荷が下りた気持ちで帰路についた。


西園寺 「B'zの皆さんのアリバイは完璧ですね。さすがに今回は無関係ではないかと。」


古畑  「私も自殺だと信じたいよ。ただね、本当に自殺なら東京ドームのLIVE前という時間帯を選ぶだろうか。これ以上迷惑かけられないって遺書に書いてあったんだよ?
外部犯だとしても、こんな人目に付きやすいタイミングをわざわざ狙う必要はないよ。彼らはこの事件に関わっているんだ。そして、あの時間帯に明石さんを殺さなければいけない動機があったはずなんだよ。」


西園寺  「...」


古畑   「西園寺くん、明石さんの携帯の中身のデータを詳しく調べといて。何かヒントがあるはずだ。」


西園寺  「わかりました。」


今泉    「古畑さん!何言ってんですか!B'zがそんな事するわけないじゃないですか!」


古畑    「じゃあ証拠持ってきてみなさいよ。B'zが関わっていない証拠を。」


今泉    「証拠ならありますよ!今から松本さんの控え室行きましょう!」


古畑    「今から?」



松本は最後まで残り、部屋の掃除をしていた。


古畑  「夜分にすみません。捜査の協力いただけませんか?」



松本    「この中に、稲葉さんと松本さんが犯行時間にこの部屋にいた事を証明するものがあるそうなんです。」


今泉   「松本さん、お願いします。」


松本   「いいですけど、、僕疑われてるんですか?そもそも殺人事件なんですか?」


古畑     「そんな事はありません。ただ、事件に全く関係していない事を確かめたいんです。もちろん自殺の線でも捜査をしています。」


今泉は松本の使っていた楽譜を手に取った。


今泉     「ほら、見てくださいこの楽譜!こんなグシャグシャになるまでメモ書いて一生懸命練習してるんですよ。そんな人が人を殺すわけない!」


古畑     「他にはないの?」

古畑は呆れた声でつぶやいた。
今泉は部屋をあさり始めた。


松本    「あんまり散らかさないでくださいよ。」


!!!

古畑はその光景の中にあるモノを見つけた。
その瞬間頭にひらめきが走った。

古畑      「今泉くんもういいよ、君はよくやった。松本さん、この部屋の中のモノを幾つか証拠として我々に預けていただけませんか?明日必ず元の姿でお返しします。」


松本は、ここで断るのも怪しまれると考えた。
特に犯行と結びつくモノもない。
睡眠薬のビンもシェーンが捨てていた。

松本    「いいですけど、元どおりでお願いしますよ。」


古畑    「もちろんです。このままお帰りいただいて結構です。」


松本は疑いの目で古畑を見ながら去った。


それと同時にあの若手刑事が、古畑の元へやってきた。


板垣   「鑑識の結果出ました。」


板垣は古畑に鑑識の結果を伝えた。



古畑   「材料が揃ったね。ちょっと一人にしてくれない?」



古畑以外の人間は部屋から出た。





えー...今回の事件は残念ながらB'zのメンバー全員が殺人事件に関わっている事は間違いありません。そして全員がアリバイについて嘘をついています。
ただ、仮にアリバイを崩せたとしても、睡眠薬を盛り付けた証拠はありません。

そこで、一つ罠を仕掛けようと思います。

この事件の解決のヒントは、
今泉くんのこの松本さんの部屋での行動と、
割れていたワイングラスです。

もうおわかりですね。
わからない方はこちらをもう一度読んでみてください。

古畑任三郎でした。





パトカーが東京ドームを埋めつくす。
この異常事態に観客達の中には道を引き返して様子を見ようとする者もいた。


あの刑事もその中の1人であった。


古畑 「いやーー帰ってたとこだったのに、こんな事になるなんてさ。人混みの中走ってもう疲れちゃったよ。。」


若手の刑事が古畑を気遣う。

「早急に来ていただけてありがたいです。刑事の鑑ですね。」


古畑 「えーと、君は、確か名前は、、何だったっけ?向島くん?」


刑事は苦笑いした。


「私、板垣と申します。」


古畑  「向島くんじゃなかったっけ、ごめんね、覚えられないよ。」




-----犯行現場-------


今泉は涙をこらえきれず、声が出ていなかった。


今泉  「ひっひがいしゃは、あ..あかしまさおさん57才、しょ...しょくぎょうはミュージシャンで、、」


古畑  「彼の事は知ってるよ。ダメだな君は、西園寺くん、事件の事教えて。」


西園寺 「睡眠薬を大量に呑み込んだことが死因のようです。睡眠薬はお茶に混ざっていました。パソコンには遺書も書かれておりました。
 薬とギャンブルでボロボロだったようです。もう迷惑はかけられないと書かれてありました。」


古畑  「自殺だね。彼もしばらく表に出てこなかったし、大変だったんだね。一応確認だけど、B'zは薬とかやってないよね?」


西園寺  「遺書には書かれていませんでしたし、彼らはLIVE期間中に何度も血液検査をしているのでシロだと思います。」


古畑  「ん、これは...」


古畑は割れたワイングラスを見つけた。

西園寺 「明石さんはワインがお好きだったようです。」


古畑      「でも割れてるね。ワイングラスはもう一個あるのにどうして、お茶にしたんだろう。彼はよくお茶飲むの?」


西園寺     「備え付きでお茶はいくつかあるようですが、今回飲んだものが初めてのようですね。」



古畑は違和感を感じ取った。



チャラリーン!!


そんな中、明石のスマートフォンの受信通知音なった。
古畑は画面を見た。


古畑    「!?」


西園寺   「古畑さん、これは、、」



古畑       「とりあえず、遺書が書かれたパソコン、お茶のコップ、あとワイングラスも鑑識回しといて。今泉くん!それくらいやりなさい。」


今泉       「わ、わかりましたぁ....」


古畑     「西園寺くんは、B'zのマネージャー呼んできて。」


西園寺    「わかりました。」




斎藤      「なんでしょうか。」


斎藤はマスメディア対策に奔走し、疲れ切っていた。


古畑    「この度は本当に残念な事で、お気持ちお察しします。すいませんが、事実確認のために明石さんを見つけた時の状況を教えてくれませんか?」


斎藤     「彼がいつもの集合場所に現れなかったんです、楽屋にも行ったのですが見当たらなくて。アンコール前に松本さんに言われて、セキュリティ部にカギを貸してもらって、部屋に入ったら、、明石さんが倒れていました。」


古畑    「なるほど。その後はこの楽屋には誰もい入ってないんですね?」


斎藤     「はい、救急車が来るまでは、警備員達が封鎖していました。」


古畑    「そうですか、ありがとうございました。それから、明石さんの楽屋ですが、頻繁に人が出入りしていましたか?」


斎藤    「いいえ、入るとしたらB'zのメンバーくらいですが、彼らもあまり入った事はないそうですよ。」


古畑    「そうですか、わかりました。ありがとうございます。」


古畑は苦悶の表情を浮かべ、犯行現場を歩き去った。




松本はリラックスルームでコーヒーを飲んでいた。警察は自殺の線で捜査をしているという話を聞き、安心していた。


古畑     「松本さん、今よろしいでしょうか。」



松本    「はい。。あなたは確か今日のイベントにきてた、、?」


古畑  「覚えていてくれましたか!私古畑と申します。実は私刑事でして、この事件の担当になりました。この度は本当に残念です。」


松本    「ええ。。警察の方から話は聞きました。確かに彼は最近思い詰めてるようで、何をするかわからないような雰囲気でした。まさか自殺するなんて。。」

古畑    「メンバーの皆さんの様子はいかがでしょうか。」


松本    「みんなショックを受けて、部屋に引きこもっています。」


古畑     「お気持ちお察しします。えー実は申し上げにくいのですが、私はこの事件は自殺ではないと思ってます。」


松本    「自殺じゃないんですか?」


古畑     「先ほど彼のスマートフォンにメールが着てました。飛行機の搭乗案内メールでした。明日、明石さんは海外に行く予定のようでした。自殺する人間は普通こんな行動はしません。」



松本   「昔に予約したのを忘れてたとか?」



古畑    「いいえ、一週間前に予約したようでした。さらにおかしいのが、睡眠薬はお茶に混ざっていた事です。彼は酒好きで、お茶なんてほとんど飲んだ事がなかったようです。もし自殺だとしたら人生の最後にお茶なんて選ぶでしょうか。」


松本     「確かに。」


古畑     「ワイングラスは一つは割れていましたが、もう一つありました。なぜワインじゃなくお茶を選んだのか引っ掛かりまして。もしかしたら...」


「誰かを招いていたのではないかと思いまして。2人以上の人間とお茶を飲んでいたのではないかと。」


松本    「じゃあ殺人という事ですか?」



古畑    「その可能性は大きいと思います。」


松本     「そんなバカな。」


古畑     「松本さんは、明石さんのカギを取りに行くよう、指示されたそうですね。もう少し早ければというのが悔やまれます。」


松本    「そうですね。」


古畑    「しかし、松本さんは、明石さんが楽屋にいると確信していたようですね?もしかしたらトイレにいるかもしれないし、誰かと会っているかもしれない。どうして彼が楽屋にいると確信したのですか?」


松本     「それは、、野生の勘ですね。」


古畑     「なるほど!NHKスペシャル拝見いたしましたよ、野生の勘と言われたらなんとも言えません、ハハハ。では私はこの辺で失礼します。」


松本は背中に汗が滲むのを感じた。












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