Welcome
食パン*ン様のような主人
出会う前の壮絶に平凡な過去を赤裸々に
綴ったそこらへんにいる女の話。






涼くんとスタバ行った日の夜。

いつものように出勤した。

その日は金曜日で、華金と言っていた。










































金曜と土曜には予定を入れない。

新規顧客を見つけて

平日にお店へ来てもらうために。





































開店早々

6枚卓、若い男の子グループの

お席へついた。





















 



いつもは聞かない質問を

そのお客様にしてしまった。職業の話。























DOKI

「えっ、電気関係のお仕事を

この辺りでされていらっしゃるんですね!」


















お客様

「うん、そうだよ

電気の話はあんまり興味ないかな?」



















DOKI

「えっと…もし嫌だったら

全然話さなくていいんだけど、もしかして

〇〇会社の方なんですか?」



















お客様

「えっ!よく知ってるね!」


















DOKI

「えへへ。私の父がそこに勤めてて。

〇〇(父親の名前)っていうんです。」




















こんなこと話す方がよくないけど















お客様

「え…!まって、俺の上司だ…」









 













DOKI

「あーそうなんだー✨」




















お客様

「××くんは元気?」












なんの話?















DOKI

「わたしぃ、お酒弱くってー、、

いまちょっと酔っちゃったかも♡

えーっと、なんの話だっけー?」
























お客様

「DOKIちゃんって面白いね!

大丈夫??

もー、弟くんのことだって!

もうすぐ4歳なんでしょ?」


















 

      







は?


弟なんていねーよ

私には妹1人しか兄弟なんていねーぞ



  
































母と離婚した父親は

母と離婚する前に

別の女を妊娠させてた





















私には腹違いの弟がいたことも。



















 

 







今は幸せにくらし

田舎に立派なマイホームを

たてたんだってさ。


























どう計算したって

アウトじゃん、クソ親父が。

親父って言ってあげるだけ感謝しろよ。











 







































ボロボロの汚い荒れたアパートに

住まわせて
























私を中学3年で転校させて。































離婚して母の実家でも

バカみたいに祖父や祖母や

未婚の叔父に出ていけと

毎日暴言吐かれて










































お前が父親としての責任を

しっかり果たさなかったせいで







  















私はこんなにも惨めなのに

何のうのうと幸せに暮らしてるんだクソが

地獄におちろ































と、その1卓は

ちゃんと笑顔で

ちゃんと天然ぶって

その人たちが帰るまで

ちゃんとハッピーな自分を演じた。


































そのお客様が帰ったころ

メイクルームに駆け込んで号泣した

































ボーイは今日はもう帰りなって

営業中だけど家まで送ってくれた。




















金曜日の忙しいときに

わざわざ送ってくれた。























すごくすごくすごく泣いた。
































今となってはその話も

たぶん笑えるけど

若かった当時の私は苦しかった。































家まで送ってくれたけど

そのあとタクシーで

埠頭まで行って柵を越えて

死ぬ勇気がなくって、また泣いた。
































死ぬ勇気がなかったから

みみず腫れしてるんだよね、左腕。

同情してくださいと言わんばかりの跡。























そこをホスラブで突かれなかったのは

ちょっとした特殊メイクもできるから。





























ねえねえお父さん

今どんな気持ち?































私めっちゃかわいそうでしょ?

このカバー力、天才でしょ?

養育費を一銭も出してくれなかったから

ずっと悲惨だったのよ
































母親は統合失調症にもなって

お世話し続けてきたのよ?私





































どうやって復讐しよう。
























そんな激しい感情になって、ちょっと気がすんで









スマホみたら

涼くんからまたラインが来てた。

















ちょっと長い文章で


















涼:

俺はまたDOKIちゃんと

会えたらいいなって思っているし

DOKIちゃんから返事がくると嬉しい。

ラインが来たかなって思って

それがDOKIちゃん以外の人だと

ちょっとショックな気持ちになる。




















そんな文章がきて、

また泣けてきてしまった。

































この人、同じ高校じゃないし




どうやら頭もいいみたいだし




なんか、優しそうだし

























この人が好意に思ってくれるなら

私はそれを

素直に受け取ってもいいのかな、と思った。






















いま、誰かに優しくされたら

そこにつけ込んで甘えてしまいそう
























































友達はどう思うだろう。

















前言撤回しなきゃじゃん。


























私どうしたいんだろう。

と、迷子になったことをすごく覚えている。





\つづく!