テレ東さんの見逃し配信で追いかけました。
『世界が騒然! 本当にあった(秘)衝撃ファイル』の
2024年6月18日の放送分からですが、ここで追いかけた殺人事件以外も結構視聴しております。興味深いものをオンエアしてくれていますので、そちらもやっちゃおうかな、という気にもさせてくれますが――。
UFO&怪奇事件SP
エリート弁護士一家惨殺
仮面家族に潜む悪魔は誰だ
概要は番組サイトからの引用です
地元でも名高いエリート一家が惨殺された。
弁護士の父親、家族思いの母親、元医者の祖父、そして名門大学に通う兄弟。
誰もがうらやむ幸せな家族に何があったのか?
実はこの家族には周囲の人々が知らない恐るべき確執があった。やがてその確執は大きな亀裂に……。そしてそれぞれの思惑が交差する中、悲劇が!
果たして、残忍な殺人鬼の正体とは?
ニューヨーク北部にあるデラウェア郡で衝撃的な事件が起きた。
何者かがショットガンを手に、ある一家を襲ったのだ。
エリート一家として知られた家族が次々と殺害された。
事件の前に起きていた不穏な前兆
裕福で幸せそうな一家が抱えていた知られざる確執
「ただひとつだけ言っておくと……
もし兄さんがいなくなっても、僕がいる限り家のことは心配しなくていいからね」
そして父親のある決断が、家族の運命を狂わせていく。
「ああ、助かるよ」
家族を殺害した犯人はこの中にいた!
4人の命を奪った殺人鬼は一体誰なのか?
警察が犯人を追い詰めていく中、その先待っていた㊙ミステリーな結末とは!
エリート一家惨殺ミステリー
仮面家族の中にいた悪魔
エリート弁護士一家惨殺 知られざる確執
事件のおよそ半年前、
高級住宅が建ち並ぶエリアでそのエリート一家は暮らしていた。
町でもひときわ目を引く豪邸が名家として知られる家族の自宅――
「来週マンハッタンでパーティーがあるんだが。
君も来るだろ?」
「もちろんよ」
法律事務所を経営する57歳の弁護士ジョン・ミラーと48歳の妻サリー。結婚して25年になる夫婦には、成人した2人の息子がいた。兄のスティーブンは23歳。弟ケビンは22歳。共に名門大学に通う自慢の息子だったが、夫婦は兄スティーブンについて最近ある心配を抱えていた。
卒業を間近に控えたスティーブンは突然“大学を中退する”と言いだしたのだ。理由を聞いても答えず、両親は途方に暮れていた。
「しばらく様子を見ましょう。
今は何か悩みがあるみたいだけど、きっと解決できるわ」
「うん、そうだな」
妻サリーの父親チャールズは78歳。地元で医師として多くの患者を診てきたが、現在は引退。孫の顔を見るために頻繁に娘家族のもとを訪れていた。
「そろそろ肉は焼けたか?」
「おじいちゃん!」とケビン。
「さあおいで」
「また来たの?」
「来ちゃ悪いか。お前たちがちゃんと肉を焼けるか心配でな」
「大丈夫だよ。兄さんはバーベキューの達人だよ。ミスるわけないだろ」
「確かにそうだ。
スティーブン、うまそうじゃないか」
「やあ、おじいちゃん」
「お前の焼く肉は最高だ。でもこれはちょっと焼きが甘いんじゃないか? 頼んだぞ」
「任せたよ」
祖父が頻繁に顔を出すようになったのは、スティーブンが大学を中退すると言いだしたことを心配していたからだった。
実際にこの事件を担当したニューヨーク州警察のジョセフ捜査官本人は家族についてこう話す。
「この家族は地元に強い影響力を持っていました。
一方で徹底した秘密主義で周囲の評判を非常に気にしていました。その長男が大学を中退するなんて、絶対に許せることではなかったんです」
「僕らの頃と違って今はいろいろな選択肢がある。
焦らずにゆっくり考えればいいさ」と父ジョン。
「お前どこか就職したいところがあるならいくらでも紹介するぞ。ただ大学は出ておいた方がいいな。
あと少しの辛抱だろ」と祖父チャールズ。
「ちょっとお父さん、やめてよ。スティーブンにも考えがあるの」
「ごちそうさま、先に戻ってるよ」とスティーブン。
「ありがとうね、おいしかったわ」
「うまい肉だったぞ」と祖父チャールズ。
ジョセフ捜査官「家族はスティーブンの抱えていた悩みには、あまり寄り添ってあげていなかったと思います。
ただ家族の名誉のためにも大学中退だけは避けてほしいと考えていたんです」
スティーブンはなぜ突然大学を辞めたいと言いだしたのか?
『みんな……ごめん……』
彼は一体何に悩み、何に苦しんでいたのか?
そして、エリート一家はこの頃から崩壊へと向かって突き進んで行くこととなる。
弁護士として成功していた父親のジョンだが、その野心は止まるところを知らなかった。
「お帰りですか」と事務所スタッフの女性
「お義父さんからパーティーに誘われてね」
「そうですか」
「これからマンハッタンまで行くんだ。お偉方の集まりだよ」
「来週の裁判資料です。目を通しておいてください。それから新聞社から電話がありました」
「選挙に出馬することでか?」
「そうです」
「まだ答えたくないな」
「マスコミとはうまくやっていかないと」
「分かってるよ」
ジョンは今の地位に満足することなく、次のステップとして政界への進出を目論んでいた。
そして義理の父チャールズの人脈で有力者との繋がりを増やしていた。
そんな中――
エリート一家の一人があまりにも不可解でミステリーな事件を起こす。
深夜1時すぎ、自宅からおよそ40キロ離れた民家
その家の前に兄スティーブンの姿があった。
玄関横のドアは鍵がかかっていなかった。
スティーブンはそのドアを開け、寝静まった民家に侵入。
一体ここは誰の家なのか?
2階に上がったスティーブンは何かを探すように部屋を物色して回る。
「おい、何してるんだ!」
「違うんです。僕はただ間違えて……」
「間違えた?」
「そうです。家を間違えたんです。本当にすみません。すぐに出て行きます、だから…落ち着いてください」
「落ち着けだと? お前、何言ってるんだ」
住民は警察に通報。スティーブンは駆けつけた警察官に住居侵入の容疑で逮捕された。
ジョセフ捜査官「警察の取り調べでもスティーブンは知り合いの家と間違えたと主張しました。しかしその知り合いについては名前を明かしませんでした」
夜が明けるころ、父ジョンと母サリーが警察署へ。
「ジョンさんですね、どうも。
息子さんの取り調べが終わりましたので間もなくこちらにお連れします」
「スティーブンはどうなるんですか?」
「家の住民は何もとられてないので訴える気はないと言っています」
「そうか、よかった」
「それと――このことはあまり知られたくないんだが…」
「大丈夫です。署長からもきつく言われていますので、息子さんの件が外に漏れる事はありません」
ジョセフ捜査官「警察署長と知り合いだったジョンは、この件を表に出さない約束を取り付けていました」
「息子さんが来ました」
「あなた落ち着いて」
「落ち着いてられるか」
「あの子にも何か事情があったのよ。
スティーブン、もう大丈夫よ。家に帰りましょう」
「おい、手錠を外してやれ。もう拘束しておく必要はない。
息子さんは今から自由です」
「ありがとう。君に借りができた。
スティーブン帰るぞ」
「お気をつけて」
エリート弁護士一家惨殺 引き金は親子トラブル?
家に帰ると父ジョンは怒りを爆発させる。
「スティーブン」
「お前は自分のしたことが分かってるのか?
警察に逮捕されたんだぞ。こっちを向いてなんとか言ったらどうだ」
「僕はただ…知り合いの家と間違えたんだ」
「家を間違えただと! そんな話、信じられるか」
「信じなきゃいいだろ。大体父さんは僕を信じたことなんか今まで一度もないじゃないか」
「お前は息子だ。そんなわけないだろ」
「そうよ、おかしなこと言わないで。ねぇ、何が不満なの? 何でも言って」
「じゃあ言うよ。大学は昨日辞めたから。
僕はもうあんたらの言いなりにはならない。
父さんと母さんが気にしてるのは世間体だけだ。
周りからどう思われているかだけが重要なんだよ。
これから政治家になろうって男の息子が大学中退の落ちこぼれだと分かったらみんなどう思うんだろうね」
「もうやめろ」
「警察に言ったよね。“事件を外に漏らすな!”
“記録から消せ!”って
息子が犯罪者になったら選挙に影響が出るんでしょ?
全部自分のためなんでしょ?」
「黙れ! お前、俺の足を引っ張るような事をしてみろ! 許さんぞ」
「スティーブン……あの子一体どうしちゃったのかしら…」
「ほっとけ」
だがスティーブンはなぜ、卒業間近の大学を中退したのか?
「兄さん、聞いたよ。警察に捕まったんだって?」
1歳下の弟ケビンはスティーブンの事件を知ってなぜかうれしそうだった。
ジョセフ捜査官「弟ケビンは社交的な性格で成績も優秀でしたが、兄に対しては複雑な感情を抱いていたようです」
「父さんたちはなんで兄さんがあんなことしたのか、何も分かってないみたいだね。でも俺は全部知ってるよ。
大丈夫、安心してよ。誰にも言わないからさ」
「好きにしろよ」
「そんなこと言うなよ。これでも兄さんを心配してるんだぜ」
「嘘つけ。いつからそんな優しくなったんだ?
お前はそんな人間じゃないだろ」
「助けようと思ったのに。残念だよ」
このとき母親のサリーは息子たちの様子を二階から見ていた。
『あの2人、何を話してたのかしら』
「ケビン、お兄ちゃんと何を話してたの」
「大したことじゃないよ。母さんには関係ない話さ」
「本当に?」
「ただ1つだけ言っておくと…もし兄さんがいなくなっても僕がいる限り家の事は心配しなくていいからね。
この家の全てを僕が受け継ぐから安心して眠っていいよ」
「一体どういうこと?」
「おやすみ」
弟ケビンが言った“スティーブンがいなくなる”とはどういう意味なのか?
果たして家族を殺害するのはこの中の誰なのか?
父ジョンは予定通り地元で立候補。
だがその矢先、恐れていた事態が起きる。
「ちょっと待ってくれ、頼むよ。新聞に載せるような事件じゃないだろ。混乱した若者が…ちょっと騒ぎを起こしただけじゃないか」
長男スティーブンが住居侵入で逮捕されたことを摑んだ新聞記者が、事件を記事にすると連絡してきたのだ。
ジョンは事実を認めた上で、記者をこう説得する。
「私が言いたいのはスティーブンは難しい時期にあるということだ。こんなことが世間に知れたら事態を悪化させかねないんだよ。だから家族のためにも記事を取り下げてくれ。お願いだ。これは私の選挙とは関係ない。家族の問題なんだよ。だろ?」
このとき実際にジョンと電話で話した新聞記者のカニンガム本人は
「ジョンはなんとか記事を止めようと必死でした。私はそんなことはとても受け入れられないと答えたので彼は困り果てているようでした」
ジョンは新聞社の上層部にこのことを伝えてほしいと告げる。
新聞記者カニンガム「私が事件のことを新聞社の上層部に報告すると、彼らは記事の掲載を見送ると決めたんです」
上層部はスティーブンの逮捕が微罪だからだと説明したが、彼らがジョンと繋がっていることを知らない者はいなかったという。
「息子さんの事件は記事にしないことになりました」
「ありがとう、助かるよ」
ジョセフ捜査官「この時ジョンは息子に足元をすくわれかねないと強い危機感を覚えていたかもしれません」
予想もできない行動を取り、父親に反発する兄スティーブン。選挙を戦うジョンにとってスティーブンは悩みのタネとなっていた。
そしてこの直後――
家族のさらなる崩壊を招くことに繋がるミステリーな最悪な事態が起きる。
父ジョンの発案で、家族は祖父のチャールズが所有する別荘で過ごすこととなった。そこはスティーブンにとって幼い頃によく来た思い出の場所だった。
「次は負けないわよ」
「ちゃんと切ってよ。さっきから変なカードばっかりだ」とケビン。
「お前が下手なんだよ」とジョン。
「ねえどうしたの?」
「もう年だな。薪を割ってたら腕を痛めたようだ」
「大丈夫?」
「ああ、ちょっと休めば大丈夫だろ」
「無理しないでよ」
「ああ分かってる。あと少しなんだよ」
「ねぇ誰か代わってあげてよ」
「私がやります」
「僕がやるよ」
「そうか」
「できる?」
「うん」
「じゃあ頼む」
「貸して。結構重いね」
スティーブンは斧を受け取り、薪割りに向かった。だが、
いつまでたっても戻ってこない。
「随分時間かかってるなぁ。アイツ大丈夫か」
「もう1時間経つよ」
「薪が上手く割れないのかも」
「大丈夫よ、そんなに心配しなくても」
「何かおかしい」とジョン。
「もうすぐ終わるだろ」
「僕が見てこようか?」
「あ、いや…私が行こう」
「一緒に行くよ?」
「いや大丈夫だ」
父ジョンは裏庭で薪を割るスティーブンのもとへ。
「スティーブン、どうした? 苦戦してるみたいだな」
そして、このあと
「おい、どうした。斧を貸しなさい」
エリート一家はさらに崩壊
家族を殺害するのは一体誰だ
エリート弁護士一家惨殺 仮面家族に潜む悪魔は誰だ
「おい、どうした」
斧を手にしたスティーブン。
「何があったの? ねぇ大丈夫?」
「お前! 父さんに何したんだ!」
「突然スティーブンが斧を……」
父ジョンはこのときの出来事を家族にこう説明した。
スティーブンに声をかけたジョン。薪を割っているスティーブン。
“そんなに張り切るな。少し休んだらどうだ。
おい、どうした”
斧から放そうとするジョンに逆らうスティーブン。
“もうやめておけ”
突然スティーブンが斧で殴ってきたという。そして
“おい、何するんだ。やめろ~っ!”
幸い、斧は顔をかすめただけで大事には至らなかった。
家族が駆けつけなかったらどうなっていたのか?
父ジョンはスティーブンを刺激しないよう慎重に接した。
ジョセフ捜査官「この件の後、父親のジョンは一時的にスティーブンを病院に入院させました」
病院では父ジョンと懇意にしている医師がスティーブンの状態を検査した。
“突然スティーブンに襲われた”という父ジョン。
しかし祖父のチャールズは、ジョンがスティーブンを執拗に挑発したことが原因ではないかと疑っていたという。
ジョセフ捜査官「ジョンは民家への侵入事件を起こしたスティーブンの扱いに困っていました。そこで選挙の間だけ病院に隔離するため、スティーブンが殴りかかってくるよう仕向けたのではないかと考えていたようです」
全ては選挙を邪魔されたくない父親ジョンの狂言だったのか?
しかし政治家への転身を目指したジョンは――落選!
このときのジョンは家族が声をかけられないほど塞ぎ込んでいたという。
一方父親の選挙が終わるのと同時にスティーブンは退院。
母親のサリーは息子が帰ってくることを心から喜んでいた。
「心配したのよ」
「大げさだよ」
「お大事に」とドクターに言われ、スティーブンは「ありがとう」と。
「父さんの落選、残念だったね」
「しかたないわ。相当がっかりしてるけどね。自分の部屋から出てこないのよ」
ジョセフ捜査官「父親は落選しましたが、スティーブンも家に戻り家族はこれで元の生活に戻れると思っていたはずです」
だが、運命の日はやってきてしまう。朝6時――
「今日はずいぶん早起きね」
「おじいちゃんから“今日は別荘で過ごそう”って言われてさ。ちょっと行ってくるよ」
「そうなの」
「“いい魚が釣れたら夕飯にみんなも呼ぶ”って言ってたよ。多分落ち込んでる父さんを励ましたいんじゃないかな。
じゃあね」
スティーブンは祖父のチャールズと別荘に行き、近くの湖で魚釣りを楽しんだ。
「大漁だね、こんなに釣れるなんて」
「お前、魚、さばけるか」
「多分ね。やってみるよ」
「戻ったらこれでうまい料理でも作ろう」
「うん」
「夕食が楽しみだ」
「そうだね」
「お前の父親も、これを食えば少しは元気が出るだろう」
しかし、このあとエリート一家は悲劇的な運命を辿ることとなる。
エリート一家が迎えた怖ろしい最期とは?
釣りをするため祖父の別荘を訪れた兄スティーブン。
一方、出勤した父の事務所スタッフがミステリーなメモを見つける。
“私は死ぬ”?
「大変だわ」
ジョセフ捜査官「メモは父親ジョンが残したもので、そこにはこう書かれていました。
“別荘に警察官を派遣してください 私は死ぬ”」
スタッフから通報を受けた警察官が別荘へ。
「現場に到着しました。これから中を確認します」
別荘に近づいて行く警察官。ノックをして
「警察です。どなたかいますか?」
玄関に鍵はかかっていなかった。
「誰かいたら返事をしてください」
部屋を見回る警察官。誰もいない。
「誰かいませんか? 返事をしてください」
そのとき――
「一体何があった?」
「別荘で2人の遺体を発見。20代男性と70代くらいの男性。2人とも銃で撃たれています」
そして別荘の裏手に出てみると――そこにも遺体が!
「遺体の数が増えました。現在確認した被害者は4人。繰り返します、被害者は4人です」
遺体で発見されたのは祖父チャールズ、弟ケビン、母サリー。そして父ジョン。
エリート弁護士一家惨殺 残忍な犯人は長男?
いずれもショットガンで撃ち抜かれていた。
警察は行方のわからない兄スティーブンを重要な容疑者としてみなす。
デズモンド捜査官「犯人は武器を所持している。全員銃を忘れるな。容疑者はこの家の長男スティーブン。足跡から森に逃げ込んだようだ。できる事なら犯人を無傷でとらえたい。よし行こう」
捜査チームは森の中に逃げたと思われるスティーブンの
行方を追った。
ジョセフ捜査官「現場の状況からみて、4人を殺害したのはスティーブンしかいませんでした。あの日家族が味わった恐怖は想像を絶するものだったと思います」
警察の捜査で見えてきたエリート一家の最期とは?
エリート弁護士一家惨殺 長男に待つ結末は?
運命の日の午後3時
祖父チャールズとの釣りを楽しんだスティーブンは、車のトランクに積んでいたショットガンを取りだした。
ジョセフ捜査官「事件の5日前、地元の銃砲店でスティーブンがショットガンを購入した記録が見つかりました。彼は家族を殺害する目的でショットガンを購入したようです」
最初の被害者は、ついさっきまで一緒に釣りを楽しんだ祖父のチャールズだった。
「おじいちゃん」近づいていくスティーブン。
「何してるんだ」銃を向けられ「頼む、聞いてくれ! おい、やめろ。落ち着け、やめろ!」
スティーブンは祖父を銃撃。そして
「お願いやめて。スティーブン…ねぇ聞いて。
あなたは少し混乱してるだけなの」
エリート一家で起きた惨劇。スティーブンはなぜ家族を殺害したのか? そのミステリーな真相とは?
愛すべき家族を殺害した長男
スティーブンが抱えていた闇とは?
祖父を撃ち殺した兄スティーブンは受話器を取り電話をかけ始めた。
「母さんスティーブンだけど。
落ち着いて聞いてね。あのさ、今おじいちゃんと一緒にいるんだけど釣りから帰ってきたらおじいちゃんの具合が悪くなっちゃってさ。僕どうしたらいいか分からなくて……
父さんとケビンを連れてこっちに来てくれない?
(泣きながら話している。でも嘘泣きでしょうね)
おじいちゃん、相当具合が悪そうだから、今は電話に出られそうにないよ。じゃあ待ってるから」
(やはり鳴き真似のようでした。スティーブンの変わりようが怖いくらいで)
「おじいちゃんよかったね。みんな来るってさ。
すぐにそっちでまた会えるよ」
ジョセフ捜査官「スティーブンから電話を受けた母のサリーは、すぐに夫のジョンに連絡しました」
“それはまずいな”
“大丈夫かしら”
“確かに最近のスティーブンは少し様子がおかしかったが。それよりお義父さんが心配だな。すぐに帰るから一緒に別荘に行こう。とにかく落ち着いて。待っていてくれ。分かったな、大丈夫さ。それじゃ”
“どうしたの?”
“お兄ちゃんが…別荘に来いって”
“分かった。僕も行くよ”
一方父ジョンは事務所を出る時、深刻なメモを残した。
ジョンは息子の行動に違和感を覚え、最悪の事態を予想していたのだろうか?
午後8時――
「兄さんの車だ。おじいちゃん大丈夫かな?
先行ってるよ」
「電気がついてないわ。本当にいるのかしら」
「サリー、ちょっと待て。いいか、万が一のことに備えて君は車に残っていてくれ。分かったな」
「ええ」
「早く」
母サリーを残して父ジョンと弟のケビンが別荘へ。
「兄さん! どこ? いるんだろ?
おじいちゃんは大丈夫なの?」
その時――
「おじいちゃん! そんな」
「おじいちゃんはもう返事をしないよ。僕が撃ったからね」
「兄さん……落ち着いて。こんなことしちゃダメだ。僕と警察に行こう」
「スティーブン、私を見ろ。いいか、その銃を渡せ。
お前を助けたいんだ」
「もう遅いよ」
スティーブンは容赦なくケビンを撃った。
「ケビン、しっかりしろ。なんてことだ。ケビン、ケビン…なぜだ、なぜ撃った」
「こうするしかないんだよ」
父ジョンに向けても発砲するスティーブン。
「逃げても無駄だよっ!」
「サリー、逃げろ! ここから離れるんだ、早く!」
後ろから父を撃ったスティーブン。
「母さん、隠れても無駄だよ。早く出てきて! 母さんどこなの? 僕の声が聞こえてるでしょ!」
「お願いやめて。スティーブン…ねぇ聞いて。
あなたは少し混乱してるだけなの。本当のあなたに戻って、お願い。私をよく見て。スティーブン、あなたの母親なのよ。銃を下ろして…ね? 落ち着いて話を聞いて。
私をよく見て…あなたは今、自分の母親を撃とうとしてるのよ? ねぇどうしちゃったの?」
「僕は、みんなを殺した。あとは母さんだけなんだ」
「かわいそうに、あなたも…つらかったのよね?」
エリート一家殺害事件の謎。
スティーブンはなぜ愛すべき家族を手にかけたのか?
ジョセフ捜査官「スティーブンは幼い頃からエリート一家に生まれたプレッシャーを感じて育ちました」
そのプレッシャーに押しつぶされそうになりながらも、必死に乗り越えようとしていたのだが、優秀な弟のケビンと比較され続けることで劣等感にさいなまれ、やがて家族から孤立してしまう。
そして大学の試験でも落第。このときスティーブンの中で何かが壊れてしまったのか。
見ず知らずの他人の家に侵入するなど危険な兆候を見せ、父親に激しく反発して取り乱すことも多くなった。
だが、周囲の評判を気にする家族は深刻な状態にあるスティーブンを救おうとせず、医師などに真剣に相談することもなかった。
弟のケビンも兄の異変に気づいていたが、彼もまた名家のプライドを守るため見て見ぬふりをした。
ジョセフ捜査官「もし家族が病院などにしっかりと相談していれば、悲劇は防げたのではないかと今でも考えることがあります」
家族4人の命を奪い、森に逃げたスティーブン。
そして事件はミステリーな展開を迎える。
警察とスティーブンの息詰まる攻防。その先に待ち受ける結末とは?
家族4人を殺害した兄スティーブン
その先に待ち受ける結末は?
家族4人の命を奪ったスティーブンは森へ逃走。
捜索を始めて3時間後、警察はついにスティーブンを発見!
警察に向かって発砲。これに対し警察は応戦せずスティーブンの周囲を取り囲んだ。
この時実際に現場を指揮したデズモンド捜査官本人は
「私はスティーブンを無傷でとらえたいと思っていました。彼は罪を犯しましたが、生きて、法の裁きを受けるべきだと考えたんです」
「聞いてくれ、我々は君を傷つけたくないんだ」
警官に向かって発砲するスティーブン。
「君はもう逃げられない。諦めて投降するんだ」
「もう手遅れなんだよ」
「スティーブン頼む。我々は君を助けたい」
「僕は家族をこの手で殺したんだ。
もう死ぬしかないんだよ」
「だからこそ君は生きて罪を償うべきだ。
スティーブン、誰も君の死を望んでいない。
姿を見せてくれ」
スティーブンは捜査官の説得に応じるように立ち上がる。
「それでいい。銃はもう必要でない。さあ、銃を捨てるんだ」
「僕を撃たせてあげるよ」
デズモンド捜査官「スティーブンは初めから我々に撃たれて死ぬ気だったんだと思います。既に結末は決まっていたんです。それを覆す方法が何かなかったのかと今でも悔やんでいます」
家族4人を殺害したスティーブンは警察官に撃たれ死亡。
まだ23歳だった。
こういうのってもうどうしようもなかったのでしょうか。
デズモンド捜査官が仰るとおりで『覆す方法が何かなかったのか』ということ。
そうですよね。20代の前半なんてまだ人生経験がありません。もう少し家族が世間体なんて気にせず、スティーブンに向き合っていたら……もしかしたらここまでにはならなかったかもしれません。
弟のケビンだって22歳でした。
なんだか悲しくて虚しい……実話だけにいたたまれません。
ですが、血が濃いだけに家族間の殺人は多分一番多いのでしょう。
スティーブンにはせめて家族の分も生きて、罪を償ってほしかったです。
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