芦沢央さんの『魂婚心中』は、先月のミステリカーニバルの1日目の大サイン会のチケットをギリギリで入手し、為書き入りサインをいただきました。
左にうつっているものも芦沢さんからいただいたものです。
きっと同じものはないのでは?
(芦沢さんの新刊イベントはいくつかありましたから、そこでもプレゼントされたのでは? と思います。できれば単独イベントに参加したかったのですが、ことごとく重なっちゃった……)
読んだのもバタバタしている中、既に2週間超えしてしまい、ここに向かうたび、まとまらないのです。
ちなみに表題作の『魂婚心中』は、最初に収録されている作品でして、芦沢さんの本として珍しい“あとがき”もあるのです。似鳥鶏さんの本ならば、当たり前のものですが(笑)。
そこでも書かれていらっしゃいますが、バラバラの短篇集です。全部で6篇。
あたくしはこの中でひとつほど読んだ記憶がありました。
『この世界には間違いが七つある』
人間怖い、不思議、謎、謎、……それぞれの作品にはつながりがありませんから、短く切り替えて。
というより、ひとつ読んだら別の作家さんの作品を読んだり、とか。まあ自分はあちこち読みかけてなかなか最後まで読めていないのがありますから、そうしてました。
ということで、インパクトの強かった表題作、
最初に収録されている『魂婚心中』を
ここ数年で大きく変わった死後結婚のイメージ。
Kon Konがメジャーなアプリとして広がったことで一つの潮流が生まれ、社会における死後結婚の意味合い事態が変化したのです。
愛は死を超えて。
魂が結ぶ、永遠の絆。
運命はもう隠れていない――
主に若者の間から登録者数が増えていったこともあり、魂婚
相手の見つかりやすさに差が生まれる――フォロワー数が多い人ほど死後すぐに相手が見つかるわけです。Kon Konのフォロワー数はステータスの一つになり、有名人の間で競う流れが生まれました。
私の「推し」は神宮寺浅葱ちゃん。
推しは神!
浅葱ちゃんに望むのは、ただ穏やかに生きていてほしい、それだけだった私が知ってしまった彼女の、Kon Konのリア垢!
ここから、この見つけたアカウントが本当に浅葱ちゃんのものなのか、執念の追跡――
浅葱ちゃんが死んだ後すぐに後を追えば――浅葱ちゃんと結婚できる可能性は十分ある――
他には
嘘をつくと消えてしまう私は〈津村の一族の女〉
母から嘘だけはついてはいけない、と繰り返されてきた私は先輩に――(『二十五万分の一』一番短い作品でした
日本では閻魔帳と表現されている「自らがこれまでに積んできた罪業と善行の一覧」。物体としては存在しないため他人から見ることはできず、拡張現実のように当人の眼前にのみ浮かぶ。研究が進み、閻魔帳の解析によって生前の行き先が予測できるようになり……さらに行き先を決める判断材料が閻魔帳に上位表示された罪業と善行のみであることが判明。
過去にどんな罪を犯した人間でも天国に行けると――
(『閻魔帳SEO』)
そのほか『ゲーマーのGlitch』『この世界には間違いが七つある』『九月某日の誓い』収録されております。
今回の作品は、見えない怖さを感じました。
人の心はどうにでもなりますので、歪めばあらゆるところに歪み、かといってそれは自分の心ひとつで修正もできる……かもしれない……。
芦沢さんは見た目、とても穏やかできれいで優しいお姉さまですが、作品を読むと、そんな芦沢さんが消えてしまいます(笑)。そのギャップがなかなかよろしいのかな、と思ってしまうのですけれども、また次はどんな手で襲ってこられるのか楽しみな反面、もう少しこの余韻(底知れぬ不気味さ
)を味わっていたいです。
ジェットコースターで何を叫ぶ?
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