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物性の理法 相印にあり
 相に方位あり 印に縁起あり
 方位に縁起して物象を顕し
 方位傾けば即ち流る 

相あり 印あり 流れて愛憎を生じ 怨念を遺す
 敢えて空諦せず 法を明らかにして 律を行ず
 千日をもって一行となし 千行をもって安立す
 すでに愛憎及ぶことなく 怨念達することなく
 一念に時空を跿駆して自在なり
 
 天晴れ地明らかにして百花野に爛漫たり
 林間一風走りて一枝の揺るる 

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 「無為」の行を以て終わりの行となす
 動かざること岩の如し 蜻蛉のとまりて遊ぶ 
 山 泰然として 四季 あでやかなり

 天の狗 千行を経て安立するといえども
 相の法 印の法 悉皆明らかにして 
 法を利すること自在なりといえども
 天の狗 国津神の分霊にして
 あまつのりにはこと及ばず
 また地の限りの中にあるを知る
 
 狗界に山人あり 人霊また多し
 博覧強記にして 法力をよくす
 時に増長して その威に奢る
 狗賓となりて魔界と隣りし
 天狐 狗魅と並び存す
 狗界は秘界なり
 敢えて 人の前に明らかにせざるは
 その術力を恐るるが故なり

 千行を経て なお坐観する者 
 動かざること岩の如し
 岩その座にありて 山壁安泰なり
 かく固成して 天の狗その位を得
 天輪 可無奈を裁し 天の狗自らに位し
 地神平安にして 花鳥賑わう