シュメール人にとって
アヌンナキ (Anunnaki)は「天より地に降り来たりし者」 
アヌンナ(Annuna)五十柱の偉大なる神々と イギギ (Igigi)(小さな神々)によって
シュメール人は知識を得た
天文学 高度な数学 合金技術
黄道十二宮 歳差運動までも計算したシュメール人の暦は
カルデアの羊飼いの星座物語としてギリシャに伝わる

セレウコス朝バビロニアの神官ベロッソスによれば
すべての知識は 怪物オアンネスによって人類にもたらされたという
「人が動物の如くあった時 下の海{ペルシャ湾)から人の頭と魚の体を持ったオアンネスなる者が現れてアロロスと民衆に文明と法律を与えた」

しかし歴史(神話)は 語られる時代の体制によって書き変えられる
語られること 言葉の持つ論理性に裏づけられて 人間は自らを主(あるじ)とする

アルリムは
「エリドウの聖なる掟を守る者」という称号を与えられた人類最初の王
「天から王権が下されたとき 王権はエリドゥにあった」
                ―ギルガメッシュの粘土板 シュメール王名表―
天から王権が下されたとき 
すでにアヌンナキは自己自身(Selbst)の対者ではなくなった
 
アヌンナキは ディンギルの神たちとなり
奉仕させる目的で 粘土から人間を創造した
 粘土から作られた人間を絶対支配するものはディンギルの神であり
王は自らを神との系譜に位置づける
ウルク第一王朝創始者メスキアッガシェルは太陽神ウトウの子とされ
ギルガメシュはウルク王ルガルバンダと女神リマト・ニンスンの間に生まれた

紀元前2350年にシュメール人の王国を武力で征服したサルゴン大王は記述する
「われわれは髪の毛が黒く肌の色が茶褐色の敵を滅ぼした」
サルゴン一世は狩猟民族セム族の父とシュメール人の母を持つ混血児だった
ナラム・シンの時代に 自らの名と 神を表すサインという語が並記され始めた
そして紀元前1830年~紀元前1530年
アムル系王朝古バビロニア帝国が建設されたのであるが
ハムラビ王の肖像は セム族特有のほりの深い顔にアモル人特有のあごひげを蓄え
シュメール人の民族衣装をまとった姿であった

あるシュメール人は書いている。
「私は、涙、悲嘆、激痛、憂鬱とともにある。苦痛が私を圧倒する。邪悪な運命が私を捕らえ、私の人生を取り払う。悪性の病気が私を侵す」
別のシュメール人はこう書いている。「なぜ、私が無作法な者として数えられるのか? 食べ物はすべてあるのに、私の食べ物は飢餓だ。分け前が割り当てられた日に、私に割り当てられた分け前が損失をこうむったのだ。」
ハンムラビ法典の知者は
あとがきに「強者が弱者を虐げないように、正義が孤児と寡婦とに授けられるように」と書いた

           ◇         ◇

ゼウスを讃えるのは ヘーリコン山に住むムーサたちである
「下劣な恥だけで,腹だけの生き物である,野に住む羊飼いたちよ。
私たちは,真実であるかのように多くの偽りを言う術を知っている。
しかし,私たちは,真実を歌おうと望めばいつでも真実を歌うことができるのだ。」
                   ―ヘシオドス『神統記』(24-28 coopa)―

ヘシオドスはムーサたちに導かれて ゼウスの至高神としての正当性と 神々の系譜を語った
ホメロス(ホメーロス)はムーサ神への祈りの後に ギリシャの神々への賛美を歌い
『イリアス』と『オデュッセイア』の英雄叙事詩を残した
ゼウスは語られた
神々は語られるものとなった 
半神半人の英雄も 語られるものであった
語られるなかに 言葉の論理性が語られる神々に優位するようになる
ソフィスト(ソピステース)たちにとって 神々もまた修辞や議論の為の道具となった
やがて人類はソクラテス(ソークラテース)とプラトン(プラトーン}を迎えるのである

           ◇         ◇

イデアの不完全な模写としてある事象又は事物 その相対の横軸を越えてイデアの領域に入ることが
プラトンにとって真であり 善であり 美であったが
それは論理の試行にしか過ぎなかった
しかし彼のイデアは 認識の様相又は道具としての「観念」を人類に与えた

          ◇         ◇

マケドニア王国の侍医の息子 アレクサンドロス大王の家庭教師 アリストテレス
彼のエイドス(形相)とヒュレー(質料)は事物認識のきわめて有効な概念となる
そして彼にとって 地球を中心とし 同心円状の階層構造の 最外層にある「不動の動者」である世界全体の「第一動者」が
すべての運動の究極の原因である

私はプラトンとアリストテレスの観念と概念を借りる
神々はガイヤのイデアから生まれ
人間はガイヤの質料から生まれ その進歩の過程に人間としての形相を形成していった
 そしてそのエネルギーは 同心円状の階層構造の 最外層にある「第一動者」である

イデアは本来円の相である 
神々は本来 ヘルマヘェロドトスのように両性具有であった
   ニンフに犯されたかよわき美少年ではなく ユングが『へルメス黄金論説』から
とりあげた本来円在なるものとしてのヘルマヘェロドトスである
しかし二極対称の揺らぎ 
二重らせんと相補的塩基対
生物は単細胞分裂より 二性による繁殖を選んだ
そして生物は対であり 家族であり 群れであり 種であり 類である

しかし選択は優者と劣者とにわけ 集団は支配者と従属者とを分けた
気ままな神々とともにあったギリシャ市民は奴隷制の上にあった
 アリストテレス程の知者も「奴隷は言葉を喋る道具であり、牛馬と同様に人間に貢献する」と言い切る