【特別記事】 学長先生へのインタビュー | にいみ(新見市)探検隊初陣!Season6

【特別記事】 学長先生へのインタビュー

インタビュアー:津森・小山・上山 


○新見を活性化するためには
 新見のいいところは、新見公立大学・短期大学があるので、比較的若者が多いこと。人口を増やすためには、新見を「住みやすい町」「魅力ある町」にすることが必要である。そのためには、地域の人が地域に関心を持ち、新しいことにチャレンジすることが大切。新しいことに挑戦するとき、必ず反対はある。そういうとき地域の人を説得し、納得させて共に頑張っていく仲間を増やしていけるようなリーダーシップのある人材が必要。小さいことでもいいから、コツコツと続けていくことが大切。魅力ある町にするためには、ある程度の自己犠牲を市民の人達は覚悟しなければならない。
 新見市を魅力ある町にするための試みとして、難波学長は、今までにもみじを4千本ほど植えた。この地域がもみじに適しているので、紅葉を植えて、「紅葉が輝く町」を新見の魅力の1つにすることにした。しかし、あまり市民の理解が得られていない。また、180号の国道沿いのカエデは紅葉するととても綺麗だが、行政は「カエデの落ち葉」を懸念して、紅葉する前に枝を切り落としてしまう。落ち葉の掃除などの紅葉の管理は、地域の人たちの協力が必要であり、こうしたある程度の自己犠牲がなければ、魅力ある町にすることはできない。
 こうした地域の人が努力していくことが必要不可欠であることについて、12月9日(水)に発行された備北民報は、石破地方創生大臣の講演「国を変えるのは常に地方」の記事で触れている。石破大臣による「まち・ひと・しごと創生特別講演会」があり、「地方から創生する我が国の未来」と題して講演があった。石破大臣は「やりっぱなしの行政、頼りっぱなしの民業、無関心の市民が三位一体となった時に地方創生は失敗する」と言っている。また、国の役割として「地方が持っているいろいろな可能性を最大限に生かすために、財政、情報、人材を支援する」、「今を生きる我々が衰退・消滅を止めるのは、次世代や世界に向けて果たすべき責任である」と呼びかけた。そうして「国を変えるのは常に地方の力と知恵だ」と話した。
 新見市の人口は減少傾向にあり、同記事で石垣市長が「このままだと消滅自治体になってしまう。人口減少に歯止めを掛けたい」と挨拶した。人口減少の原因として、働く場の減少だけでなく、土地に魅力がないことや、物価が高く経済的に負担がかかることがある。人口増加のためには、美味しくて安い野菜などの食べ物や豊かな自然など新見ならではの魅力を伝えること、その魅力を県内外に伝えていくような新しい取り組みに挑戦するリーダーとなる人材を育てることなどが大切である。また、新見の人達が土地に愛着をもつことで、人口減少を防ぐことができるのではないか。


○学長先生の思い
 牛丸大山の頂上は新見市を一望できる。しかし、杉が視界を遮っているため、その杉を伐採してほしいと言っているが、なかなか取り組んでもらえないのが現状である。牛丸大山は新見美術館から歩いて往復2時間である。しかし道が整備されておらず、登りにくい。そのため、道を整備してハイキングコースを作ることを提案している。新見美術館で絵画などを堪能した後、牛丸大山に登り、紅葉狩りを楽しみ、頂上で新見市を一望してもらうことで、新見の美しさを感じてもらえるのではないか。
 新見まで来るのに旅費がかかってしまうため、その帰りには、新見の安くて美味しいものを食べてもらうことが「また来たい」と思える町にすることにつながると考えておられた。新見の野菜の美味しさには定評がある。平成27年4月7日(火)の備北民報での、難波学長による「学長室より72」というコーナーのなかで、そういった特産品を県南部の岡山や倉敷で販売できるアンテナショップの開設することが、この地域の活性化に役立つとおっしゃっていた。実際、岡山で新見の野菜のコーナーを作る取り組みをしておられ、野菜を売り出す予定である。新見の味を楽しんでもらうだけでなく、新見の宣伝にもなり、新見を訪れる人が増えるだろう。また、特産品や野菜作りの収入で生活がなりたてば、これらの仕事に携わる人達が増え、人口減少の歯止めに少しでも貢献することになると考えられておられる。こういった労力を要する農業の活性化の重要性を教えていただいた。その他の新見市を活性化するための試みとして、来年度本大学に「地域創生にいみカレッジ」を作り、若者を対象に、リーダーシップをとり地域に貢献する人材を育てることを目標としている。
 他に、提言したいこととして、商店街のシャッター街を再整備して、買い物に便利で住みやすい新しい街をつくるというものがある。そうすれば人は集まり、賑やかになるだろうとおっしゃっていた。


○感想とまとめ
 最後に、地域のなかで働く保育士として、町に関心を持ち、どんな小さなことでもリーダーシップをもって続けていくことが大切だと教えていただいた。大きいことをすることは難しいが、夢(プラン)をもってやることは大切である。何かやろうと思ったら、必ず反対はある。みんなを説得し納得させられるビジョンを作り上げることが大切である。学長先生とのお話を通して、行政だけでなく、地域に住む市民が協力し、努力しないと活性化にはつながらない。先日行われた避難訓練でグランドに出たときに校舎を見ると、とてももみじが綺麗だと感じていた。買い物帰り、綺麗に色づいた落ち葉を見つけ、持って帰りしおりにしたことを思い出した。この時期、地元から新見に私を迎えに来た両親が「紅葉を見に行きたい」と言ったのに対し、「遠くへ行かなくても、新見にはとても綺麗な紅葉があるよ」と、大学や近くの山を指差したものである。「新見は紅葉がきれい」というのは、多くの学生が感じていることである。「新見を紅葉が輝く町にしたい」という学長先生の思いにとても共感した。