芝居の台本の書き方は“妄想”と“夢”を落とし込む!そして、山内勉が思う“名優”について |  演劇人 山内 勉オフィシャルブログ

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脚本・演出も手がける俳優 山内ツトム、芸能プロダクション ブロードウェイ・バウンズ 社長 山内勉 のオフィシャルブログです。
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正解は夢、妄想の中で見たものを書いてます。人は夢を見ますよね。僕は何故か夢の途中でこれは夢だと気づけるんです。その後はリアルに生々しく体験していきながら、記憶に留めようと努力します。勿論、恐ろしい殺し合いやラブロマンス(残念ながら滅多にない)に翻弄されながらなので時に現実との区別がつかなく激しい感情に襲われます。ええ嘘、夢だよねと言い聞かしたりしとかしているうちに夢から覚めたりしますが、もひとつ得意なのが、うつらうつらしながらもう一度夢の中に侵入して、夢のある程度の完結を見ることができることです。時に書いている芝居の世界が筋とは関係なくリアルに再現されます。日頃、記憶のように頭の中で再現しながら勝手に喋り振る舞う登場人物たちを見たのち、原稿用紙に書いてます。だから、見た世界が夢の中にも現実として登場してくるのかも知れません。だからと言って手懸かりがないと無理なので書物を読んだり、博物館に言ったりしますが、特に現地に行くことを大切にしています。 空気感、漂う気配を一番大事にしたいのです。何年か前、国定忠治を題材にして書いた時も国定忠治の生まれ育った国定村に行き、赤城山に行き、最後に忠治の眠るお墓に行きましたが、何とも言えない感じがしました。生きる迫力、名も無き者の生きる悲しみ、定めに対する惨めさ、苦悩を感じ、逃げ出したくなったのを今でもはっきり覚えています。 人の念を感じて、それを本に落とし込む。これが山内の台本を書く基本です。 ついでにもう一つ。
キャスティングで役者さんと良くお会いしますが、僕にとって念が強い人こそ名優なんですが、つまり、目の前で少し話すだけで役のイメージがどんどん沸いてくる人ということなんですが、逆に何時間話しても全く何も沸いてこない人もいます。だいたい生きる迫力に欠ける人、もっと言えば、何故芝居をやるのか、やりたいのか、自分と向き合って考えてない人は何も感じません。 適当に折り合いをつけてる役者さんからは何も感じられません。
人を感動させるためには一言も言わなくても、舞台に、画面にでてるだけで存在感を示せなくてはなりません。年齢に関係ありません。生き様です。生きることは悲しいこと、苦しいこと辛いこと。でも、逃げない。ぶれない。誤魔化さない。そんな方が素敵な役者になる方だと思います。