オリンピックまであと一年となった昨日の夜、開会式が行われる真っ暗な

東京の国立競技場に、聖火のランタンを手に白血病を克服したあの女子水泳の

池江璃花子選手の姿があった。

彼女はランタンを掲げながら暗闇の中で、一人世界に向かって口を開いた。

「一年後、五輪とパラリンピックが出来る世界になっていたらどんなに素敵だろう。

でも、それが無くなっても自分はスポーツが好きだと心の底から思ったはずだ。

希望が遠くに輝いているからこそ、つらくても前を向いて頑張れる。もう一度

プールに戻りたい。一年後の今日、この場所で希望の炎が輝いていて欲しい」

この言葉は、まさに水泳に命を懸けて取り組む池江選手ならではの真摯な、

心からの願いであろう。

全国的に増大するコロナ感染の毎日、何の方策も示さず GO TO トラベルを

強行する政府の姿勢や言い訳、ただただ不要不急の外出を控えよというだけの

都知事に、いささかうんざり気味の私たちの胸に感動すら覚える池江選手の

言葉であった。