85回しらさぎ俳句会 2024年5月 鑑賞
小林たけし 2024/5/28
季語を説明する句、季語から連想される現象などの句がめだちました。またひとりよがりで言いたいことが曖昧になっている作品もありました。作者自身が発見し作者自身の体験や思いを表現しましょう
1. 花粉症くしゃみ抑える穀雨かな
花粉症・くしゃみ・穀雨 どれも季語なので整理しますしょう
<緩まりぬむずりしばたき穀雨かな>
2. 鍬を持ち土滲み出す穀雨かな
穀雨のあとの地面はなかなか見ない
<穀雨とや菜園に鍬持って出る>
3. キャンドルを挟み密豆置かれてる
平易な文章になってしまった「置かれてる」が省けそう
<会えば密豆ちゃんづけのの老姉妹>
4. 鉢植えに水玉描く穀雨かな
「鉢植え」「穀雨」が新しい〇
<やんわりと穀雨の雫根分け鉢>鉢植えをもうひとひねり
5. 母ひとり鍬一本の穀雨かな
気丈な母への労わりとと感謝が感じられる〇惜しい
<ひっそりと穀雨の中に母の鍬>
6. 余生とて休みたき日の半仙戯
自句自解 毎日が休日の余生も何かと気忙しい
そんな毎日にぶらここに腰かけてみた
7. 枡酒をぐいと呷ってじゃがまいた
地元ならではの季語「じゃがまいた」が効いている〇
<枡酒に氏子の気勢「じゃがまいた」>
8. 園庭にあまり穀雨のうさぎの餌
自句自解 兎の餌になる園庭に大量の穀雨
あまりの大雨 と言いたかったが空振りだった
9. 甘い香を我に預ける赤き薔薇
中七に作為ありあり 下五が安易
<やんわりと甘き薔薇の香風の道>
10.ゆったりと針仕事の日穀雨かな
穀雨の後は忙しい農作業が待っている
その作業着の繕いでしょうか 言わないのが良い〇
11.柏餅今年も和菓子屋買いに行く
当たり前の報告だけで句意に主張がない
<柏餅愛想じょうずの三代目>
12.旱にて田畑に恵み穀雨かな
穀雨の説明に終わっている
<ざんぶりと穀雨のはげし農休み>
13.クオーツの秒針カチリ穀雨立つ
句意が曖昧 措辞の斡旋の工夫に〇
適当な季語で詠んでみましょう
14.春耕や三里の「つぼ」を刺激せり
俳句は意外性が一番ともいいます〇
<春耕や三里のつぼを褒めてやる>
15.ぞんぶんに日の香潮の香海苔障子
自句自解 当たり前すぎるきらいもある
納得してもらえたようだ
16.大山桜かどにひょっこり岩木山
北国の大山桜に焦点を当てた句にしたかった 中七が平易×
<ふところに大山桜津軽富士>
17.行く道や共に探りつ余花の頃
句意が曖昧で鑑賞不可
句意から映像を浮かべたい
18.サングラス掛け声高く競技場
中七に主張が欲しい 競技場よりはゲーム名が
<草野球金切声のサングラス>
19.朴の花活気溢れて道の駅
朴の花を人混みの道の駅で観たという報告だろうか
季語が何も語っていない
20.若葉雨銀杏大樹が輝けり
雨に濡れた銀杏の大樹が輝いている
<寺社めぐり止めば明るき若葉雨>
21.木漏れ日のいちめん一花獣道
材料が多すぎて句意がぼやけている リズムが良い
<木漏れ日になまめく残花尼僧院>
22.柏餅お酒のつまみ飲み食らう
言葉選びに拘りたい
句意も平易で物足りない
23.折り合いはまず折れることかしわ餅
自句自解 兄弟での争い いつも兄貴が折れてくれて収まった
柏餅を前にすると思い出す
24.薔薇を摘む妻の駄目出し棘の如
語順のリズムが悪い
<棘のある妻の駄目出し薔薇を摘む>
25.春過ぎて皆が集まる菖蒲園
菖蒲の季節になりましたの報告?
<風抜ける四阿に夫菖蒲池>人が多くて連れと逸れた
26.飽満に標持てずか残る雛
句意が不明で鑑賞不可 ご容赦を
<飽満のあとの黙礼かしわ餅>
27.みちのくの桜蘂ふる力車屋根
省略と説明を吟味しましょう 句意は面白い〇
<桜蘂降るみちのくの人力車>
28.早苗田は同じ背丈で整列し
早苗田の説明で終わった
<行儀よく天に近ずく早苗かな>
29.道の駅連休埋めるキャンプカー
道の駅でキャンプする車が多い
<隙間なくキャンプの車道の駅>キャンプは夏の季語
30.茄植えて一段と冴え庭の土間
中七が難しい 庭の土間も?
<茄植えて庭の菜園整いぬ>
31 夏休み教師の書いたポップ文字
魅かれる句〇
<夏期講習教師に書いたポップ文字>
32.観光地五月連休客殺到
作者自身のGWを詠もう
++<五月連休葬儀と見舞いで果つ>
私の作品と成績
余生とて安に滝日の半仙戯 ② |
園庭にあまりの穀雨うさぎの餌 ⓪ |
折り合いはまず折れること柏餅 ③ |
ぞんぶんに日の香潮の香海苔障子 ⑤ |