楽しいから。嬉しいから。信じているから。
だから、期待する。
でも、がっかりすることもある。
それでも次も期待したい。
楽しいから。嬉しいから。また信じたいから。
あのピラミッドが見れる、スフィンクスが見れる。
謎のベールに包まれた魅惑の国、エジプト。
景色のみならず、当たり前のように、そこに住む「人」にも期待をしていた。
新鮮な景色が溢れている、目に飛び込んでくる。
同時にいつも以上の人と目が合った。
すると、陸上選手のようなスラッとした体型の黒人の男に声を掛けられた。
アジアの文化を学んでいる現地の大学生で、日本人の技術力や他者への気配りに感銘を受け、論文を書いているらしい。
嬉しかった。
何より話をしていて楽しかった。
現地のおすすめスポットも教えてくれた。
仲良くなれそうだと思い、こちらから切り出してみた。
「この後どこか美味しいレストランに連れていってくれない?」
「いいよ!その前にチップをくれない?」
「...なんのチップ?」
「君にエジプトのこと色々教えたじゃないか」
「......」
「チップくれないの?ご飯は行かないの?」
「......」
お金がある、ないとかいう話ではない。
チップ文化は反対だとかいう話でもない。
人と人の繋がりより、お金の方が大事だったという事実にがっかりしてしまった。
その後も小さながっかりが何回か続いた。
もちろん、アフリカということもあり、最初から警戒はしていた。
ただその警戒心に拍車が掛からざるを得ず、少し頭に血も上っていた。
ある時、中学生くらいの男の子にチャイナ?ジャパン?と声を掛けられた。
このパターンも何度目だろうか。
テキトーに話を合わせ、早歩きをした。
5分はついてきていた、しつこい、そしてとうとう言ってしまった。
「お金は渡せないよ」
「そんなものいらない」
「.....」
久しぶりにアジア人を見たから話がしたかっただけだと言っていた。
結局本当にお金は要求してこなかった。
トゲがあったこと、謝罪をした。子供相手に情けなかった。恥ずかしかった。
次の日には別の子供にお金を要求された。
その次の日には地元の子供達とサッカーをした。
楽しかった。嬉しかった。
お金は要求されなかった。
「他人にあまり期待しないほうがいい」とどこかの誰かは言う。
でも、やっぱり期待はしていたい。
期待をすれば、その分確かに傷つくこともある。
ただ、期待をしないということは、心を豊かにするプラスの感情にストッパーをかけることに繋がってしまう気がする。
ただ、やはり隙を見せてはならない。
騙されるから。
要はバランスなどという、そんな言葉で片付けない為に今ここで文章を記している。
でも、正しい答えはきっとバランスなのだということは何となく分かっている。
あとこれはオフレコだが、お金があるないの話ではないと言っておきながら、僕という人間がケチなだけなのかもしれないということも。
メンヘラ男の極みの如く、相反する感情が行ったり来たりしたエジプトでの日々だった。
もちろん、ここでの時間は楽しいことも沢山あった。
たとえ傷ついてもいい、がっかりしてもいい。
どこにいても、誰といても、期待をするという感情を持ち続けていたい。
YS
