中東。

といえばオイルマネー。

サウジアラビアやUAEを筆頭に膨大な石油埋蔵量を活かし、資金を手にする国が集まる地域。

そんなイメージの中東だが、今回2ヶ国目として訪れた「ヨルダン」は中東なのに石油が湧き出てこない国。

砂漠地帯なので農業も出来ない、海もほぼ面していない。

稼げない。観光する場所もない。何もない。

あるひとつの場所を除いては。


「ペトラ遺跡」

インディ・ジョーンズのロケ地としても有名な世界遺産。

ヨルダンを訪れる外国人観光客がほぼ100%足を運ぶという。

驚愕なのが入場料。

昼間の入場料が約10,000円、夜の入場料が約2,000円。

世界遺産で最も高い入場料だそう。

許されないことにヨルダン国民の入場料は昼間が約150円、夜間が約30円。

何故か。

ここで外貨を稼ぐしかないから。

事実として、これだけの高額な入場料金を設けておきながら、世界中からの観光客が絶えない。

「ペトラ遺跡に全てを懸ける」

彼らのこの思いは並大抵のものではなかった。


メインスポットの「エル・ハズネ」のイメージばかりが先行していたが、




そこに至るまでの道のりが素晴らしかった。

高さ約100メートルの岸壁に囲まれた道のりは、まるで自分自身が自然と一体化したような感覚だった。


夜の道のりは違った表情を魅せる。

ロウソクの数だけ心に温かい気持ちが灯った。



地面に広がるロウソク、それらに照らされたエル・ハズネ、見上げれば無数の星。

ただただ圧倒された。



真隣りに腰を下ろすカップルが素敵だった。

休暇が取れたので、オランダからはるばるヨルダンに来たのだそう。

この美しい光景を前に言葉はいらない。

僕も彼らもしばらく黙っていた。

そんな矢先に彼が彼女に向かって口を開いた。

「君と結婚したい。と思う。いつか。」

「うん。出来たらいいわね。」

彼は恐らく幻想的な雰囲気に包まれ、少し舞い上がって口にしたのだろう。

憶測だが、そうだとしても嬉しいわ、ありがとうといった雰囲気を彼女から感じた。


「是非とも結婚式に僕を呼んでくれ」

という絶望するほどダサくて、この雰囲気を全て破壊するであろう台詞を飲み込み、この素敵な場所を後にした。



YS