お昼前に病室に到着し、母は時折声を上げたり、ハッと目を動かしたり。
つながれた機械からは時々警報みたいな嫌な音が鳴る。父もずっと横に居た
けれど、 さすがに疲れた様子。連絡していた叔父・叔母や、姉の旦那さんや
息子達(私の姉は2年前に他界)も会いにきてくれた。
しばらくすると看護師さん達から痰の吸引などの処置をするので、一旦
病室から出るように言われる。お昼も過ぎていたので、病院内にあるコンビニ
でおにぎりを買い、食堂で軽く食事を取る。処置が終わりましたと声がかかり
再び病室へ。酸素マスクの種類が変わっていた。さらに酸素を送り込めるものに。
一気に母の様子が変わった感じがした。もうハッと目を動かさなくなった。
手をさすっても嫌がって振り払うこともしなくなった。
どれくらい時間が過ぎたか分からなくなってくる。脈拍など表示する機械の
数値がどんどん下がって来たり、警報音が頻繁に鳴るのをぼやっと眺めたり。
父は最初のうちは目に涙を浮かべていたものの、疲れて来た様子で少し居眠り
し始める。
母の呼吸をずっと眺めてみる。段々と変わってきている。一瞬動きが止まった
感じがして、私は思わず声を上げてしまったが、すぐ呼吸が始まって安心する。
でもそれからしばらくして、母の動きが静かになった。先生や看護師さん達が
病室へやって来た。あぁ、ついにこの瞬間が来たのだな、と。
母、15時59分逝去。79歳。体調を崩し緊急搬送されて4日目のこと。