母が前日の夕方に入院。先生からは入院治療の目途は約2週間ですと
説明されました。面会は午後2時から4時までの間と決められていた
ので、午前中は仕事へ行き、午後お休みをもらって面会へ。
病室へ案内されると、母はベッドに横たわり朦朧としていました。
声をかけると私の顔を見て分かった様子。ただ話しかけてもあまり
反応はなく、しばらくするといつものように両手を上げて体勢を
変えて欲しいと訴えてきました。とりあえず向きを変える介助を
手伝ったけれど私にはやはりできず不機嫌そうな顔に。看護師さん
を呼んで体勢を変えてもらいました。点滴をしている手の甲には
血が滲んでいて、頻繁に手だけは動かすので見ていると本当痛々しい。
血が苦手な私は看護師さんに「血がすごく滲んでるけど大丈夫ですか?」
と聞くと「これくらい許容範囲。大丈夫よ。手を動かすのも運動だよね」
と。私が深刻・大袈裟なのだろうかと思ったけれど、手を頻繁に動かす
のはきっと苦しいのだろうなと。
体勢を変えてもらって、少し落ち着いた様子の母に「何か食べたいもの
ある?」と聞いてみた。朦朧とした目で母は「アイスクリーム」と。
アイスが本当に大好きで、いつも食べたがっていた母。こっそり持って
きて食べさせようかな、とも思った。それからしばらくして「柿の種」と。
少し前から施設の面会の時も「柿の種のしお味が出たらしいよ、食べたい」
と言ってた母。テレビのCMで知ったよう。一度スーパーで探してみたけれど、
その時のお店ではしお味の柿の種は売り切れだった。差し入れでこっそり
食べさせるものとしてはリスクもあるから「売り切れだったよ」と母に
伝えたことが。まだ覚えていて食べたかったのだろう。
その後はオムツ交換をするとのことで、私は一度病室の外で待つことに。
カーテンの向こうで母が「痛い~~!」と何度か叫んでいた。その声を
聞くのが辛かった。交換が終わり病室へ再度案内された。相変わらず母の
目は虚ろ。話しかけても答えてくれることはなく眠たいのか目を閉じ始める。
「また来るね!」と最後に声をかけると、痛々しい血の滲んだ細い手を上げて
じゃあねとしてくれた。
どうなるのだろう。次はアイスクリームならこっそり食べさせられるかな
なんて思いながら病院を後にした。