兵庫県伊丹市の小学生女子バスケットボールクラブで起きた強制わいせつ事件。「まさに自身の指導者としての立場に乗じた誠に卑劣で悪質な犯行」。神戸地裁伊丹支部は13日の判決でこう指摘し、コーチで元校長の相原信也被告(71)の行為を厳しく非難した。
 判決は、被告が2021~22年、所属する小学校高学年の女子児童3人にそれぞれ複数回にわたって胸や下腹部を触ったり、自身の唇をなめさせたり、舌と舌を絡めさせたと認定。懲役4年6カ月の実刑を言い渡した。 事件を機に男性へ嫌悪感や不信感を抱き、うつ病と診断され学校を休みがちになった被害児童もいた。 判決もこの点に触れ「被告を信頼して娘をクラブに預けながら、逆に娘の心に大きな傷を負わせることになった母親らの処罰感情が厳しいのは当然」とした。 被告は公判で「被害者はうそをついている」などと終始否認し、唇をなめさせるなどした行為については「向こうからキスをしてきた」と主張した。 判決は、児童が訴えた被害の一部は「信用できるのではないかという思いもあるが、合理的疑いが残る」として認めなかった。だが証言の多くは信用できるとし、「自身の性欲を満たし続け、常習性が高い」と指摘した。 被告の指導者歴は約50年。性加害はいつからあったのか。 検察側は、約30年前に「練習中に股間を押しつけられ、被告が家に謝罪に来た」という当時の被害者の証人尋問を請求。だが地裁伊丹支部は「30年も前の出来事は立証証拠としての正当性を欠く」として認めず、明確にはならなかった。