顧客の定期預金約80万円を不正に引き出したとして、愛知県警は14日、詐欺容疑で、豊橋商工信用組合(同県豊橋市)東田支店の元渉外担当職員熊谷陸容疑者(23)=同市北岩田=を逮捕した。

 
 県警捜査2課によると、熊谷容疑者は2022年5~11月、個人や法人など31の顧客から依頼を受けて預かったり、引き出したりした現金計約1億1000万円を着服するなどした。一部を穴埋めに充てる一方、大半は競艇につぎ込んでおり、実際の被害総額は約7600万円に上るとみられる。

 逮捕容疑は22年11月、70代の顧客からの依頼で解約した定期預金約80万円を、普通預金に移し替えずにだまし取った疑い。

 別の顧客が「払戻金が入金されていない」と申し出て発覚。商工信組は熊谷容疑者を懲戒解雇し、昨年4月に刑事告訴した。被害金は信組側が全額弁済したという。

 豊橋商工信用組合の話 このような事態を招いたことを厳粛に受け止め、深くおわびする。再発防止と信頼回復に取り組む。