児童が放った弓矢が別の児童に命中して視覚障害を負った――。約4年前に愛知県半田市の市立小学校で起きたこんな事故を巡る訴訟の判決で、名古屋地裁(安田大二郎裁判長)は11日、学校側の過失責任を認め、被害児童側に約3400万円を賠償するよう市に命じた。

 判決によると、事故は2019年11月に校内の保健室で起きた。ベッドの下に潜んでいた小学5年の男児が、のぞき込んだ同6年の男児に自作の弓矢を発射。矢は被害児童の右目に当たり、児童は物が二重にみえてしまうなどの後遺障害を負った。

 市側は、発達障害のあった加害児童が弓矢を放つなどして重大な事故を起こす危険があると予見できたと認容。その上で弓矢を取り上げるなどの措置を怠ったために事故が起きたと過失を認めていた。

 訴訟では被害児童が障害を負ったことによる逸失利益の算定方法などが焦点となった。判決は障害の程度などを踏まえ、児童が将来的に就労できる期間に35%の労働力を失ったと指摘し、逸失利益は約2700万円と結論づけた。市教育委員会は「判決文を十分に精査し対応を検討する」とコメントした。