「生きてる犬を洗濯機に放り込んだらどうなるんだろう?」逮捕された被害者の交際男が秘めた激情と陰湿「中学時代に警察沙汰」「離れた妻への愛と未練」〈山梨・18歳女性遺体遺棄〉



今年6月に失踪した東京都江戸川区の会社員、野本結梨香さん(当時18歳)が5カ月半後に山梨県小菅村の山中で一部、白骨化した遺体で見つかった事件で、警視庁捜査1課は12月1日、野本さんの交際相手で別の横領事件で逮捕、勾留中の同区、渥美遼馬容疑者(31)を死体遺棄容疑で再逮捕した。すでに同容疑で逮捕している堀俊哉容疑者(30)=千葉県八千代市=と共謀しているとみられる。野本さんは殺害後に遺棄された可能性もあり、同課は両容疑者を厳しく追及している。



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ライターで火遊びをして警察沙汰…施設へ


江戸川区内で生まれ育った渥美容疑者は、子供のころからちょっとした問題児だったようだ。同級生の母親はこう振り返る。

「渥美くんは小学校でもイタズラや暴力沙汰の問題をよく起こしていたし、お父さんがかなり怖い人だということで保護者の間では有名でしたよ。多分、お父さんに手をあげられてたから、家では怒られないようにお手伝いもする“いい子ちゃん”してた反動だったんでしょうね。頻繁に問題を起こすので、先生が親を学校に呼び出したけど、まったく来ないんですよ。それで先生が仕方なく家庭訪問したら居留守を使われたそうです」


業を煮やした被害児童の親が家にのり込んでも、話が通じなかったという。

「お母さんも『家ではいい子なんで』『そんな子じゃないです』って感じで話にならなかったそうですよ。しかも父親は揉めた同級生の家に逆に怒鳴り込んでいったりしたもんだから、家族そろって避けられてましたね」

渥美容疑者は小学校の同級生たちと同じ中学に進学したが、卒業名簿には名前が載っていない。同級生の母親はその理由をこう語る。

「渥美くんは中学3年のころは施設に入ってたみたいなんですよ。当時、ウチの子供から聞いた話によると、ライターで火遊びをして警察沙汰になったんだとか。それのせいで卒業時期にはいなかったようですよ」

中学時代に同級生だったという女性の印象もこれと近しいものだった。

「中学時代はいい印象もまったくないし、よく学校もサボってました。5〜6人のヤンチャなグループにいたけど、親分格ではなかった。そいつらのリーダーが金属バットを持って他校に乗り込んだりするヤバい人で、渥美もその後ろにくっついて、誰も関わろうとはしてなかったですね。そういうグループだからいろいろと怒られるようなこともしてたみたいで、先生から渥美の親に何度も苦情がいってたようです。


中3の後期くらいですかね、『そういえば渥美見ないな』って感じで、後々施設に入ってたって聞きました」


あの子を高いところから突き落としたらどうなるんだろう


渥美容疑者のエキセントリックな性格と言動は、大人になってからも垣間見えることがあった。彼が足繁く通った地元の飲食店の店主にも、忘れられない言動があったという。

「リョーマ……まあ、知ってるわよ。20代前半のころから飲みにきていたから。最初にきたころは友達と一緒にいても一切笑わなくて、心配になるくらいでね。お酒は好きなんだよ。友達と仲よくはしてるんだけど本当に笑わないの。だから私は『リョーマ、あんた笑ったらかわいいんだから笑いなさい』って言い続けたの。

ちょっとね、たまに怖くなることを言い出す子だったから。『生きてる犬を洗濯機に放り込んだらどうなるんだろう?』とか、友達のことを見て『あの子を高いところから突き落としたらどうなるんだろう』とか言い出すことがあって……。酔っ払ってはいるとは思うんだけど。だけどそれでも怖いじゃない。それが20代の前半のころよ」


この飲食店では、後に渥美容疑者が入籍することになる年上の女性Bさんも働いていた。店主が続ける。

「リョーマが明るくなって楽しめるようになったのは、ほんとここ数年のことよ。最近じゃ仕事帰りにワゴンで通りかかると『ママーお疲れー』とか笑顔で言ってくれてね。Bのこと知ってるの? ウチで働いてた九州出身の子だわ。リョーマも自分のところで働かせたり、一生懸命面倒を見ていた。年上なんだけど彼女、東京では1人だからさ。それでお互いに好きになってというか、付き合いだしてさ。最初はいっつも一緒にいたよ。この辺で飲み歩くのもだし、それこそ仕事も一緒にしたりさ」

しかし、Bさんはやむをえない事情で九州に戻らなければならなくなった。

「詳しくは言えないけど家族の事情でBが九州に戻らなきゃいけないことになったの。リョーマも口では言わないけど本当に好きで辛かったんだと思う。ウチでカラオケのオーダーを書くチケットにいつもBという名前を書いていたから。寂しかったんだとは思うよ。Bがいなくなって、しばらく経ったころに10代の子と付き合ってるって話を聞いたけど」


♯2で取材に答えてくれた義父や親族の話と同様、渥美容疑者は今年6月ごろに江戸川の“地元”から姿を消したという。

「そんな話をしてた矢先に半年前からぱったりリョーマは姿を見せなくなってさ。その後にリョーマの周りで警察が動いてるなんて噂も流れてて、そこにこの報道でしょ…。昔に怖いこと言ってたし、フッとそのことが思い浮かんだんだけど、まさかなーなんて思ってたらこうして取材だなんて……」


金に困っていた堀容疑者


一方、死体遺棄事件の共犯関係にあるとみられる堀容疑者の地元は、都内でも西部にあたる豊島区だ。実家にいた母親が、か細い声で取材に応じた。

「息子とはずっと会ってないんで、渥美さんとどんな関係だったか全然わからないんですよ。どんな人かも知らないですけど、水道関係の仕事を友達としてたそうなんで、その関係ですかね。息子は弱虫な子で、人を殺せるような子じゃないから、頼まれて運んだんじゃないかな。

お金にも困ってただろうし。息子は昔からなにかあれば巻き込まれるタイプでした。友達から車を買わされて、どうにもならないから駐車場に置きっぱなしになってたこともありました、断れない性格なんです。昔からいじめられるわけではないけど、グループ内で弱いタイプでした。」


堀容疑者は母親の元にもしばしば金の無心に訪れていたという。

「2年前からお金に困ってたみたいで、何回か助けたんですけどね。一つの仕事を500万円とかで受け持つんだけど、それが支払われなければ当然、行き詰まるんですよ、それが膨れちゃったみたいで、何回か助けてあげたけどダメで、会社が潰れたんですよ。(野本さんの遺体を運んだとされる)6月ごろもお金には困ってましたね」

堀容疑者は7年ほど前に妻と結婚する際に母親に反対されて家を飛び出していったという。

「千葉の八千代台に住んでいたことも知らなかったです。子どもだって作らないほうがいいって言ったんですけど聞かないから。それで会社が潰れて、借金背負って奥さんにも逃げられて、全部イヤになっちゃったのかな。報道で息子は『何かわからないものを運んだだけ』と話していたみたいだし…。とはいえ殺してなくとも運んだのは自分ですからね、罪は軽くないです」

堀容疑者は、その後の警察の調べに対し「渥美容疑者に頼まれ、一緒に遺体を遺棄した」と供述している。


いずれにしても30歳を過ぎたいい大人の男二人の手で、18歳の少女は地元から遠く離れた山梨の山中に遺棄された。捜査は続く。