〈名古屋・クローゼットに全裸死体遺棄〉「稼いで出っ歯を直さなきゃ」容疑者は元人気キャバ嬢(29)で被害者店長(42)とかつて交際…横領した2千万円を月々数万円返済か



名古屋市のブランド品買取店「おたからや名古屋栄店」の店長が自宅で変死体で見つかり、元従業員の女が死体遺棄容疑で愛知県警に逮捕された事件。被害者の阿部光一さん(42)はこの商売には似つかわしくないラフな服装を好み、自分の持ち物や女性にも関心を示さない「物静かな人物」として業界で知られていた。一方、逮捕された元従業員の内田明日香容疑者(29)は、キャバクラ勤務時代には、明るい“イジられキャラ”だったという。接点の見えにくい2人の人となりが、徐々に浮かび上がってきた。


〈写真あり〉シャンパングラスを口元にポーズをとる内田容疑者。SNSにはエコー写真や家族写真、キャバクラ時代のブログも掲載されていた













阿部さんはとにかく寡黙だった

「おたからや」は2000年に横浜市に設立された「株式会社いーふらいん」が同年同市に1号店を開店以来、直営店やフランチャイズ加盟店を瞬く間に全国に広げた。ホームページによると2021年11月段階で直営71店、加盟店1156店に拡大しており、事件のあった名古屋栄店も加盟店のひとつだ。
同業のフランチャイズ仲間はこう証言する。

「阿部さんとは6年前くらいにご飯も一緒に行ったことがあります。自分からはほとんど話をしない物静かな方だったので、私が声かけて食事をご一緒した感じです。ちょっとした用事があって2度ほど阿部さんの店舗に顔を出したことがあり、2度目のときに仕事が終わったあとにご飯に行きました」

食事は近くの韓国料理屋に行ったが、阿部さんは寡黙で自分のこともほとんど話さなかったという。

「この業界は信用商売じゃないですけど、スーツとかかっちりした服装でいるのが普通なんですが、阿部さんのいでたちはスウェットの上下だったと記憶しています。思わず『そんな服装で働いてるんですか?』と尋ねると、『堅苦しいのが嫌なんです』という返事でした。私が見ている限り、服とか自分の持ち物には頓着しない感じに見えましたね。スウェットに関しても、こだわってるブランドとかじゃなくて寝巻きというかそんな風に見えました」

車や女性など趣味にお金を使うタイプにも見えない阿部さんは、とにかく寡黙だったという。

「阿部さんて、本当に話さないんですよ。こっちが聞いたら答えるけど。だからこっちがたくさん話しかける感じになるんです。女性の話も聞いたことないですね。一緒にご飯を食べたときはお酒を少し飲んでいましたが、彼女がいたとかそういう話もしませんでした」

もしかして、あいりじゃねえ?

別の「おたからや」関係者の男性も、名古屋栄店に女性従業員がいたことすら知らなかった。

「阿部さんとは仕事の話は何度かしましたよ。顔をあわせたことも何度かありますが、いつも仕事の話だけです。知り合ったきっかけも阿部さんから『この品物をどこかいい価格で買い取ってくれる業者知ってますか?』と電話もらったことがきっかけです。だからプライベートなことは一切聞いてないです。雰囲気や物腰からは優しい方だというのはなんとなくわかりましたが、少なくとも私は女性の従業員がいたということは、聞いたこともありませんでした。阿部さんの店のあった栄は名古屋市の中でも激戦区です。そんな激戦区で、10年以上お店をやっていたわけですから、やっぱりいい価格で買い取っていたんでしょうね。ただ、元従業員とトラブルになったということや横領の話などは聞いたことがないですね」

2014年ごろから「従業員」だった内田容疑者だが、関係者の多くはその存在を知らなかった。また、内田容疑者は過去には同店で2千万円を横領しており、発覚後は月々数万円の返済に追われていた。その一方で阿部さんとは交際関係になったこともあったという

内田容疑者は名古屋の繁華街ではちょっと知られたキャバ嬢だった。客でもあった知人の男性が語る。

「最初に報道で内田明日香って名前が出たときは、仲間内で『もしかしてあいりじゃね?』って話していました。あいりというのは7年前まで内田明日香が働いていたキャバクラでの源氏名です。報道で北区と出ていたのと、29歳という年齢が一致していましたし、ニュースを見て心配した昔のキャスト仲間たちもいまだに連絡が取れないと言っているので本人かなって思いました。でもテレビで別の人の顔写真が出ていたんで、いったんは『じゃあ違うか』ってことになったんですけど」

X(旧ツイッター)を通じて入手したというその写真を「内田容疑者」と報じた東海テレビは誤報を詫び、訂正した。取材を進めると、やはり内田容疑者はこの男性が知る「あいり」だった。

「あいりだとしたらですが、明るくていい子という印象がありますね。最初は名駅(名古屋駅)近くの中村公園あたりのキャバクラで働き始め、当初は垢抜けないというか田舎っぽさがあったのですが、慣れていくうちにきれいになっていきましたね。本人も化粧を頑張っていましたし、何度も僕の席についたことがあります。いじられキャラというか、みんなに可愛がられるタイプのキャラでした。お金にガツガツしてる感じも当時はなかったですね」

消臭剤が置かれていた阿部さんの部屋

「あいり」は少し出っ歯で、それを話題にされることもあったが、上手に切り返せる器量があったという。

「僕らが、『早く稼いで出っ歯を直さなきゃな』と軽口を言っても、そこでおどけて周りを笑いに変えていましたしね。前職は何をしてたとか、どこが地元とかも聞いたことないけど、キャバクラは7年前に引退したようですね。後から聞いた話では、結婚して子供ができたのが理由だったみたいだけど、キャバ嬢だからさすがにそういうのは言わなかったんでしょう」

キャバ嬢引退後の「あいり」はキャスト仲間とも連絡を取らなかったようだ。後に夫と離婚したことも、最近新しい“彼氏”ができたことも、この男性は知らなかった。

「キャスト仲間に聞いてみたら、その後も一時期は錦のキャバクラで働いていた時期があったみたいだけど、それもコロナ前とかの話だろうしね。お金に困ってるって印象はなかったけど、週5で出勤していたし、夜働くのはお金が欲しいからだろうしね」

阿部さんの遺体は自宅マンションのクローゼットのなかで手首を縛られ全裸の状態で見つかった。部屋は外側からテープで目張りされ、消臭剤が置かれていた。内田容疑者は阿部さんの死亡後もマンションを出入りしていたと見られている。