この問題を巡っては、精神疾患を抱える容疑者への対応に問題があったことが明らかになり、再発防止策が検討されている。全国の警察も、医療関係者や保健所などとの連携のあり方について見直しを求められることになりそうだ。
男性は22年11月25日に公務執行妨害容疑で逮捕され、岡崎署で勾留されていた。暴れたため保護室に隔離されたが、9日後に息をしていない状態で見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。司法解剖の結果、死因は腎不全だった。
県警関係者らによると、適切な対応を怠り死亡させたとして、留置管理業務に関わった署員数人を業務上過失致死容疑で書類送検する方向で調整している。男性が食事を拒んで約5日間食事を取らなかったのに、署は栄養補給など必要な措置を取っていなかった。
また、「戒具」と呼ばれる手錠や縄で拘束された男性の体を蹴るような様子が監視カメラに映っていた署員らについても、特別公務員暴行陵虐容疑で書類送検するとみられる。
署長ら署幹部は、当時の状況から死亡を予見するのは困難だったとして立件を見送る方針だが、減給など懲戒処分となる見通し。警視正の署長は国家公務員のため、国家公安委員会が最終的に処分を決める。
男性の身体拘束は延べ約130時間に及んだとされる。男性には統合失調症と糖尿病の持病があった。男性の父親は入院させるよう求めていたが、署内で検討しているうちに死亡した。
県警は昨年12月、特別公務員暴行陵虐容疑で岡崎署を捜索。関係した署員から事情を聴くなどして、一連の対応の捜査・調査を進めていた。