河川敷で遺体が発見されたというニュースがこの静かな街を包んだ。

遺体は死後半年程経過。腐敗が激しく衣服は身につけていなかったという。

身元は不明だが、年齢は15歳から20歳位。
かなり、暴行された形跡があると言う。


小さな街でこんなニュース。
職員室でももちきりだ。

「身元不明遺体。怖いですね。
小さな街でこんな事があるとは。」
後藤萌咲さんの父親、後藤貴明さんに話しかけられた。

私は相変わらず、「はい」
と答えるのみで会話が弾まない。

ニュース自体は大変興味があったのだが、この人の前では、何故か心が弾まなかった。
なんだかこう言うタイプは苦手である。
しかし、それだけではない何かもあった。

気になる事が他にもあった。
クラスの男子、佐藤隆君が学校を2週間以上休んでいた。
あの、図工室で手を切ったと演技をした少年である。

昼休憩の時、職員室で佐藤隆君の緊急連絡先を見てため息をついていると、後藤貴明さんが話しかけてきた。

「佐藤隆君の事が気なるのですね。
今日の放課後、彼の家庭訪問をするのなら、付き合いますよ。」

私は、始めて後藤さんの顔をしっかりと見つめ返した。



夕方日がくれ始めた頃、私達は佐藤家の前に立っていた。

大きな敷地の家で、家の周囲に生える木々の為、中の建物が見えない程であった。

ピンポンとチャイムを鳴らすも、誰も出てこない。

私達が帰ろうとした時、お隣の奥さんが買い物から帰って来た。

すると突然、後藤貴明さんが隣の奥さんに話しかけた。

隣の奥さんは、私達の質問に合い、少々面食らいながらも話してくれた。

2、3週間前から姿が見えない事。
その前に、夜中大騒ぎしながら車に何か詰めていた事。
家は昔からの大地主で、奥さんとは同級生である事。
父親譲りの大酒のみで、しょっちゅう警察の世話になる事。
若い頃はかなりの悪で、地元の悪仲間と事件を起こしていた事。
地元の暴力団とも、繋がりがある事。
いくつかのアパートを経営し、地元の噂では、1つのアパートで、インターネットで知り合った幾人かの若い女の子を無料で住まわせ、代わりに、客引きをさせていた事。
これらは、警察にも聞かれて話した事
だとわかった。

私達は、噂のアパートに行って見ることにした。



日が暮れた頃、アパートについた。
私は絶句してしまった。
私が、住んでいたアパート。

頭が混乱する。
すべてが飲み込めたようで、まだ、よく分からない。

アパートには、もはや誰もいない。
誰も住んでいない廃墟とかしていた。

私達は、一次帰宅する事にした。

続く