Netflixに上がっていたので、先の連休中に観てみた。
鑑賞後、テレビ画面から写真を撮りながら、ぐずぐずやっていたら・・・ようやくアップです (;^_^A
仏・独・ベルギー・伊・日の5カ国合作。フランス人監督による。全編、オール日本人キャストで、日本語で放映されていることに、共感。
戦後、30年もの間、フィリピンのルバング島で生き抜いた小野田さんのお話。
彼の優秀さが認められ、陸軍中野学校(スパイ養成校)に請われ、諜報員としての教育を徹底的に叩き込まれ、戦地でゲリラ作戦を遂行する任務を任され、日本劣勢だったフィリピンのルバング島に小野田が着任したのは1944年のこと。
「玉砕は一切まかりならん。3年でも、5年でも、頑張れ。必ず迎えに行く。必ず行く。ヤシの実を食ってでも、木の根っこでも土でも食って、生き残るんだ!」と教官(=谷口少佐)が言うこのシーン・・・教官役のイッセー尾形の力演が見事。
さらに谷口少佐は「誰も知らない秘密の任務であり、名誉なのだ」「君たちには死ぬ権利はない。何があっても必ず生き延びろ!」とも言い放ち、シツコイほどの台詞が散りばめられ、選ばれし若者たちが、どれだけ強烈にその意義を叩きこまれたかが、作中で表現されていました。作者も、ここは、強調したかったのでしょう。これがないと、後の小野田の行動の意味づけが弱くなるから・・・。
このあたりで、観るのを止める若者も、いるでしょうかしら・・・と思ったりした。
(略)
現地では、小野田の戦略に賛同し、付いてきた兵士は三人だけ。
四人で行動を共にするも、援軍も来ぬまま、食料も底をつき、農作物などを盗まざるを得ないことになる。
結果、農民と殺りあうこともあった(映画の中でも、小野田さんたちは、人を殺しているシーンあり)。
地元民も、「許すまじ日本兵!」となっていた・・・そりゃそうです、モノを盗まれたり、殺されたりしたら・・・。
やがて仲間の1人が殺られ、1人は投降し、小野田と小塚の二人が残るも、(すでに戦争は終わっているが)この両人にとっては、未だ戦争中であり、鼓舞し合いながら、生きていたが、小塚がやられ(殺され)た以後、小野田は、ジャングルで独り生き抜く。
小野田が独りになるまでの経過を、はしょらずに、丁寧に描いてあるので、3時間という長尺だけれど、脚色はあるにせよ、私は一気に観られました。ダラつくという人もいるかも知れませんが。
👇仲間の墓(遺体を埋めた場所)に花を手向けるシーン
「生き抜く」ために、現地の農民を殺すこともあったこと、やらなければ、やられるという時、人はどうするでしょう。
ある日、「小野田さんを探す」という意気込みを持った冒険家の鈴木紀夫(仲野太賀)が、島に訪れて小野田に出会ってから、日本帰還までを終盤に持ってきて、小野田物語を締めくくる。
「小野田さん、戦争は終わりました。あなたはここで、どうするおつもりですか? 僕と一緒に日本に帰りませんか?」
このシーン、なかなか良いです。この役の仲野太賀(←私は知りませんで)、この人、いいですね、ちゃんと味が出てる!
「谷口少佐を連れて来て下さい。どうすればよいかを仰ぎたい」と答えるONODA。ふむ~。
鈴木さんのお陰で、小野田さんは、日本に戻れたわけです・・
👆小野田&鈴木の実物写真
この冒険家鈴木紀夫さんは、「雪男を探す!」というテーマで活動している姿を、テレビで観たことがあります。雪男捜索に情熱を燃やし、ヒマラヤで遭難し、37歳で亡くなるという、冒険家魂を貫いた、こういう人が居たのです。
👇映画の中ではこれ
仲間を失い、たった独りで(それは2~3年かな?)ジャングルに潜み、生き続けた・・・。
小野田の戦争は、「死ぬな!」という谷口少佐の命を、守り抜いたということでしょうか……。あるいは、ひたすら生への渇望のみだったのでしょうか……。
いずれにしても、戦時下に於ける洗脳もあり、戦時下は、このようなことが起こる・・・。
実は、日本を離れる前には「お前の命はお国のもの。もし捕虜になったら、これで自決しろ!」と、父親から短刀を手渡されていた小野田。「天皇陛下のために命を捧げる覚悟は出来ているのだろうな!」と、父親は言い放っていました。
鑑賞後、
本作は、極力客観的な視点で、描かれているように思えました。
オーバーな小野田賛美でもなく、強烈な反戦映画だ!という着地点もなく、浪花節にもなっていなく、
「戦争とは、これです」ということ。
「あなただったら、どうします?」と問われもします。
青年の頃の小野田役から変わり、後半の小野田役の津田寛治が、肩に力が入らず、臭くない演技は、好感が持てましたが、ぼそぼそ喋るので、聴き取りにくい場面多し(><;
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1974年、飛行機のタラップから降りてくる小野田さんの姿を、TVの前で、家族全員で観たのを、はっきり覚えています。小野田さん帰還の二年前には、グアムで生き延びていた横井さんの、日本帰還のニュースも衝撃でしたが(横井さんの場合は、魚を獲るためのしかけをするため、海に行ったところを、現地民に見つかったわけですが)、それから二年後に、小野田さんが・・・。
私は、「え!? もう一人居たの!?」「何てことでしょう!」と、様々な思いが交錯したのを思い出しました。
いずれにしても、心身ともに、強靭であったことだけは確かであります
理由はどうであれ、サバイバル!
おわり