この歳になると、将来に望むことは、楽に逝くことをだけ。

   なるべく先のことを想うのは避け、

   昔のことを思い出すようにしている。

   今日も一つ。

 

   校長時代の出来事である。

   ある生徒からの手紙とその返事である。

   (H中、平成三年五月)

   二年生の生徒からこんな手紙が届いた。

   珍しいことである。

   『校長先生へ

   こんにちは、私は二年B組のF・H子です。

   先生に少し聞いて欲しいことがあります。

   去年の文化祭がとてもつまらなくて、

   せっかく楽しみにしていたのにすごく残念でした。

   だから今年は、他の事を取り入れて楽しくやっていきたいなと思って・・。

   それで三年生がバンドをやって、みんなを楽しませたいと言っていたのに、

   先生たちが許可をくれないからできないと言われました。

   そこで私は校長先生の意見が聞きたいと思いました。

   又、校則を改善するということはできないのですか?

   私が必要だと思わない校則はソックスの色、

   下着の色、リボン等髪飾りの禁止、ゴムの色、

   スカートの長さなどです。友達から聞いたのですが、

   西中はつい最近校則が改善されたと・・・

   色とか決めてしまうと返って逆らう人が出てくるし、

   それだったら上に書いた五つ位は改善した方がいい学校になると思います。

   生徒を規則でしばりつけても、本当にいい学校になると思いません。

   文化祭についてと校則についての校長先生の意見を手紙でもいいので

   聞かせてください。

   あと、私がこの手紙を書いたことは他の生徒には内緒にしておいてください。

   では、返事を待っています。 さようなら

   (注)

    生徒から手紙が届いたということは、

    それだけ切実な願いだったということである。

    そして、この願いに、応えることも校長の仕事である。

    また、生徒が校長を、手紙を出せる相手としてくれたことは、

    喜んでいいことではないだろうか。