老後の不安に巧みにつけこむ「偽装質屋」の実態が暴かれました。高齢者の命綱でもある年金が「年金担保貸付」と言う形でヤミ金業者に狙われています。年金は定期的に支給されるためヤミ金業者からすると確実に回収できるメリットがあり、年金を狙うヤミ金業者の手口も年々巧妙化しています。警察が新手のヤミ金業者と見て、各地で摘発に乗り出しているのが「偽装質屋」です。

 その実態とは、財産価値のない品物をを質草として受け取り、多額の現金を貸し付け、返済は年金口座からの自動引き落としというシステムです。たとえば、100円ショップで買った腕時計やベルトを質草に、10万円もの金を貸し付けるという仕組みです。実質的な担保は高齢者の年金です。高齢者の多くは年金からの収入に頼るしかなく通常の融資を受けることができません。業者は「年金担保」や「高齢者でも借りられる」と言った内容を強調して、チラシや看板で勧誘しています。年96%という超高金利ですが、高い利息を払っている感覚を抱かせないように小口の貸し出しを繰り返すことにより、高齢者のリピーターを増やしているようです。しかし、被害者である高齢者の多くは「偽装質屋」を憎むどころか、苦しい年金生活の頼みの綱のように考えていて、お金を借り続けているようです。

 平成24年10月19日、貸金業法違反(無登録営業)容疑で家宅捜索されたのは、福岡市博多区に本社がある「恵比寿」と「ダイギンエステート」です。恵比寿は「えびす」、ダイギンは「アオキ」の店名で営業しており、両社が経営する店舗が計8つあったそうです。問題なのは、この偽装質屋の返済が「年金口座からの自動引き落とし」になっている点です。この摘発された業者は「Qネット代行回収サービス」というものを利用して年金口座からお金を搾取していたそうです。


 これを受けて、「違法質屋被害者弁護団」なるものが発足し、その被害者数が計約1万人、被害総額は約80億円にものぼることが明らかにされました。今回、5月の2日と9日に被害者説明会を福岡市の福岡県弁護士会で開かれるそうです。

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大濠総合法律事務所天神オフィス

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※ 消費者金融などの貸金業者の上限金利は20%に制限されているが、質屋営業法では、質屋はお客の品物を保管したり売却したりするなど多くの手間とコストがかかることから、上限金利を年109.5%まで認められている。

※ Qネット代金回収サービスとは、北部九州(福岡・佐賀・長崎)の55の金融機関が提携して金融機関から自動的に引き落とし代金の回収を行うサービスの事です。習い事の月謝や家賃、月極駐車場代金などをスムーズに回収する為にあるサービスで、クレジットカードの口座振替と同じ仕組。