気付けば週1で会っていて

君はポチになった。


『え、犬じゃん!』

「そだよ?付き合うまでポチね!」

『くぅーん。』

「( ﹡ˊᵕˋ)ノˊᵕˋ﹡)」そんなやりとりを沢山した。

こんな日が永遠に続けばいいのにと思ってた。


彼は前回買ったNieRのシャツを着て

ヴィヴィアンのネックレスを付けていた。

私の趣味にあわせてくれたのがすぐわかった。

どんどん魅力的になる彼は、

私の中ではポチなんかじゃなかった。

でもそう呼ぶ事で自分の恋に歯止めを掛けた。


食事は前回の和食屋さん。

『ぽち、ここ気に入った!ご飯も美味しい!』


この頃から彼の1人称は自分からポチに変わった。

若いからお肉のほうがいいかなって心配したけど、

気に入ってたみたいでよかったと安堵した。


食事を終えたがカラオケまで少し時間があったので

タリーズに入りキャラメルラテを頼んだ。

ポチは私より子供舌で元々甘いキャラメルラテに対して苦いと言い、更に2つも砂糖を追加した。

『これなら飲める』といいストローでかき混ぜた。


『あ…』

かさが増して溢した。

『はいはい、貸してごらん』

私は少し溢れたキャラメルラテを拭き取った。

まだ子供だな、なんて思いながら

ポチに気付かれず ふっ…と笑った。


寝転がれるカラオケに着いた。

お互い隅と隅…。

何曲か歌った後、ポチは膝枕をねだった。

私はそれを了承した。

『落ち着くけどドキドキする…!』

やっぱり子供みたいで可愛い。

膝枕の時間はものの数秒だったけど、

この感情は母性かな?

好きなのかな?なんて考えた。

でも、付き合ってしまったら

『終わりの始まり』

そう思いながら髪を撫でた。


帰り際にサンマルクカフェに寄った。

ハロウィンフェアがやっていた。

私は目の付いたお芋のクロワッサン。

あとクラムチャウダー。君も頼んだね。

キノコ苦手だから結局残したね。


『匂いが無理だ…』

ポチは頑張って飲んでいたがとても辛そうだ。

『もう ごめんなさい して下げんちゃい?』

『ぅー、ごめんなさい』


私は脳内で彼の嫌いなものリストに

クラムチャウダーを追加した。

君の嫌いな物、きのこ全般と那須と…

好きなものはハンバーグ、だっけ。

少しづつ忘れていく。


『ねね、心理テストしよ?』

「私も心理テスト好きだしいいよ。」

浮気診断とかどんな人に惹かれるかなど、

いくつかしたがWi-Fiがよくなく途中で諦めた。

「私、夢占いが好きなんだよね、深層心理!」

『ぽちもよく夢占いする!』


この頃、私はマッチングアプリをやめた。

ポチがいれば他はいらないもの。


帰りたくなかった私は

『もっと一緒にいたいから遠回りだよ』といって珍しく愛情表現をした。

普段からできてればいいのにね。

ポチはいつも通りの笑顔で

『え!そんなことおもってくれとん?嬉しい!』

と素直に答えた。


人は自分に無いものを持っている人に惹かれる。

私はポチの素直さに惹かれていた。


好きだと感じる度に私の試し行動が現れ始めた。