1万5000点・78億円相当の工具をAirTagを使って窃盗団から取り返すことに成功

 

1万5000点・78億円相当の工具をAirTagを使って窃盗団から取り返すことに成功

1万5000点・78億円相当の工具をAirTagを使って窃盗団から取り返すことに成功© GIGAZINE 提供

アメリカのバージニア州北部で大工として働く匿名の人物が、夜中に続けて工具を盗まれるという被害にあいました。これを受けて、手持ちの工具にAppleの落とし物トラッカーであるAirTagを取り付け、工具窃盗団が盗品を保管していた場所を特定することに成功してます。 Stolen Construction Tools Recovery | Howard County https://www.howardcountymd.gov/police/stolen-construction-tools-recovery

1万5000点・78億円相当の工具をAirTagを使って窃盗団から取り返すことに成功

1万5000点・78億円相当の工具をAirTagを使って窃盗団から取り返すことに成功© GIGAZINE 提供

AirTag crucial to giant tool theft ring break-up in DC Metro area https://appleinsider.com/articles/24/06/01/airtag-crucial-to-recovery-of-5-million-of-stolen-tools-in-metro-dc 2024年1月頃から、アメリカのメリーランド州ハワード郡近辺で建設工具の窃盗事件が多発するようになりました。バージニア州在住の匿名の大工の男性も、自身のバンを破壊され、車内から数千ドル(数十万円)相当の建設工具を盗まれるという体験を2度も経験したそうです。そこで、男性は犯人を特定するために自前の大型工具のいくつかにAirTagを仕掛けました。 その後、2024年1月22日に再び窃盗団が男性の工具を盗み、この時AirTagを仕込んだ工具も盗まれたそうです。なお、これにより男性は計50個もの建設工具を盗まれることとなった模様。3度目の窃盗被害にあったことに気づいた男性は、iPhoneでAirTagを追跡し、盗まれた工具がハワード郡にある保管場所に運び込まれたことを特定します。 男性は自ら保管場所に乗り込むことはせず、警察に通報して捜索してもらうことにしました。警察が捜査令状を取り、保管場所を捜索したのち、計12か所の窃盗品の保管場所を特定。各保管場所で押収された窃盗品の総数は約1万5000点で、300万~500万ドル(約47億2000万~78億6000万円)相当の建設工具が見つかりました。なお、発見された窃盗品はバージニア州北部とペンシルベニア州の一部で盗まれたものと考えられています。

捜査を行ったハワード郡警察のグレゴリー・ダー署長は、「捜査の範囲は広範で、現在も継続中です」「押収された工具は小売店、企業、車両、住宅、建設現場から盗まれたものと考えています」と言及。記事作成時点では窃盗犯は誰も逮捕されていないとダー署長は認めていますが、数人の容疑者を捜査しており、間もなく告訴される予定だと説明しています。 AirTagを仕掛けた大工は、盗まれた工具6点を取り返すことに成功しています。なお、警察は窃盗事件の被害者約80人を特定することに成功しました。

 

※ なおAirTagとは、下記の様な商品・・

Appleの紛失防止タグ『AirTag』はどんな場面で役立つ?使い方や注意点、使用感をレポート

2021年4月、Appleから「AirTag(エアタグ)」が発売された。

AirTag(エアタグ)

これは紛失防止タグと呼ばれるガジェットで、大事なものに付けておけば、近くでも、遠く離れていても、AirTagを付けたアイテムの在りかがわかるというものだ。財布やカードケースに入れておくほか、専用のアクセサリとしてキーチェーンなどもあるため、カバンに取り付けるなど、さまざまな使い方ができる。本記事では、具体的にどう設定して、どんな場面で役立つのかを紹介しよう。

AirTagは世界中のiPhoneが探してくれる

そもそも紛失防止タグとは、スマートフォンなどと通信することで位置情報を検索し、それがどこにあるのかわかるようにするものだ。一般的には、財布やキーケース、カバンなど携行品に付けることで、紛失や忘れ物防止に役立つ。

AirTagを付けたカバン

AirTag自体にGPSは搭載されておらず、iPhoneと通信接続することにより位置情報がわかる仕組みだ。iPhoneなどの「探す」アプリを使って、近距離であればAirTagまでの距離や向きを指し示してくれるほか、AirTagから音を鳴らすこともできる。

なお通信接続には、BluetoothやUWB(Ultra Wide Band:超広帯域無線通信)が用いられている。UWBは広い周波数帯域を使用し、障害物による影響が少ない通信方式なので、より細かい位置を探すことが可能だ。

iPhoneでAirTagの位置を確認

また、Bluetooth接続が届かないほど離れている場合でも安心。世界中に数億台あるといわれるiPhoneやiPad、MacがAirTagの位置情報を拾い、iCloudを通じて匿名で持ち主に在りかを指し示してくれるのだ。

サイズは500円玉よりひとまわり大きいほど(直径31.9mm)で、重さは11g、厚みは8mm。ステンレススチールとプラスチックの組み合わせもあり、ツルッとした触り心地だ。かなり軽いため、携行品に付けて持ち歩いていてもまったく気にならない。

AirTagと500円玉

なお、AirTagは多少磁気を発している。財布に入れておいてもクレジットカードへの影響を心配する必要はないとされているが、気になる人は直接カードに触れないようにしておくといいだろう。

使い方は簡単。なくしてから見つけるまでの手順もわかりやすい

初期設定の方法は実に簡単。AirTag本体に着いている保護フィルム(絶縁フィルム)を引き剥がしたら、iPhoneに近づけるだけでペアリングされる。

iPhoneとペアリングしているAirTag

この手順はAirPodsなどとほぼ同様で、近年のApple純正のiPhoneアクセサリらしい手軽な初期設定といえる。[接続]を選択したら、AirTagのアイコンと名前を設定する。

AirTagの設定画面

「財布」「バックパック」「ジャケット」といった基本的な名前であればプルダウンメニューから選択できるが、「○○の財布」などオリジナルの名称も入力可能だ。また、アイコンはAppleオリジナルの絵文字から選択する。

AirTagの設定画面

あとはアクセサリを使ってアイテムに付けたり、小銭入れに入れたりしておくおくだけ。実際に筆者は普段、AirTagの存在を気に留めることはなく、付けていることを忘れてしまうことがあるくらいだ。

そして、iPhoneの「探す」アプリを開き、下部のメニューから[持ち物を探す]をタップすると、持ち物が地図上にマッピングされる。近くにない場合は、探したいアイテムを選んで[探す]をタップしよう。

「探す」アプリでAirTagの位置を確認

また、万が一紛失したときに備えて、[検出時に通知]をオンにしておこう。誰かのiPhoneが近くを通ったときに、持ち主のiPhoneに位置情報の通知が届くようになる。

「探す」アプリで「紛失モード」

さらに、[紛失モード]の[有効にする]をタップしておくのもおすすめだ。紛失物を見つけてくれた人がスマホをかざしたときに、電話番号やメールアドレス(通知内容を選択可能)が表示されるように設定できる。

持ち物がなくて焦る!という局面がほとんどなくなった

筆者は4個入りパッケージを購入し、日常遣いの財布と、カードや領収書を入れる長財布、自宅のキーケースとクルマ用のキーホルダーに割り当てている。実際の使い勝手はというと、実に快適だ。

キーケースに付けられたAirTag

AirTagのおかげで、出かける間際にクルマのキーや財布が見当たらなくて困る、という局面がほぼなくなったのだ。「どこにいったかな」という疑問がよぎったときは、捜索作業に着手するよりも先に「探す」アプリを開くクセがついた。

もし、AirTagが通信圏外であったとしても、自宅内にあれば少し歩くと、すぐに反応する。大まかな距離が表示され、さらに近づけば方向が示される。その精度は極めて高く、表示は正確そのものだ。また、「Hey Siri、○○を探して」と話しかけて探すこともできる。

加えて筆者は忘れ物をすることが多く、たとえば出先で自宅の鍵などを持っていないことに気づいた際、「どこに置いたかな……」と不安に駆られることがある。その際に「探す」アプリを開けば、最後にどこでいつiPhoneとAirTagが接続していたのかがわかる。そのため、最後に接続したのが自宅だったというログをすぐに確認でき、鍵のありかを特定できることは大きな安心感につながる。

実際に公園でなくしてから、見つけるまでに約30分

幸運なことに、筆者はこれまで外出先でAirTagを付けたアイテムを紛失する……という事態には遭遇していない。そこで今回は、紛失から発見までを疑似体験するために、近所の公園に出かけてみた。家族にAirTagを付けたキーリングを預け、それを公園のどこかに隠してもらい、探し当てるという試みだ。家族の出発を見送って10分後、いざ捜索開始である。

AirTagが付いたキーリングを探す

公園にいる誰かがiPhoneを持ってAirTagに近づいてくれれば、iCloudを通じた匿名の位置情報が手元のiPhoneに送られてくるはずだ。しかし、捜索から10分ほど経ってもまだ反応がない。

AirTagが付いたキーリングを探す

この公園は広大なため、たまたま人の姿が少ない場所に隠されたと考えれば、反応がないのも納得できる。しかし、自分のiPhoneが幸運にも近くを通りがかれば、AirTagの反応を拾って場所が示されるだろう。こうしてさまよい歩くこと30分。遊具エリアから50mほど離れた木陰で、反応があった。

AirTagが付いたキーリングを探す

そこから距離が縮まる方向へと歩を進めていくと、矢印が表示された。

AirTagが付いたキーリングを探す

それに従って移動すると、すぐに在りかが判明した。木の根元に置かれていたのである。

AirTagが付いたキーリングを探す

思わず「あった!」と声が漏れた。擬似的な紛失とはいえ、ひと安心した。広大な公園で自分の足と目だけを使って小さなキーリングを見つけるという芸当は、不可能に近いと言っていいだろう。今回の検証ではiCloudネットワークの恩恵に授かることはできなかったが、AirTagを付けておくだけで、“探す”という行為の難易度は格段に下がるという印象を受けた。

セキュリティにも工夫が。なくして悪用される心配は少ない

このように、AirTagは位置情報を持ち主に伝えることに特化したガジェットだ。それだけに、悪用されないか気になるところ。知らない人のiPhoneやiPadを位置情報の中継に利用するが、そこは徹底的に匿名化と暗号化が施されている。つまり、近くを通りがかったiPhoneユーザーに、AirTagの位置情報が漏れることはないのだ。

そして、拾った人が初期化して持ち去ってしまう心配も無用。初期化するには認証したiPhone本体が必要で、基本的に持ち主以外にはできないので安心だ。

バッテリーは長持ちで耐水性能も備える

気になるバッテリー持ちだが、Appleによると通常使用であれば1年以上持つという。交換時期はiPhoneが教えてくれ、交換する電池もコンビニによっては取り扱いのあるCR2032型のコイン電池なので、手に入れやすい。さらに、IP67等級(最大水深1メートルで最大30分間)の耐水性能を有する。

そのほか、カラフルなキーリングやループなど純正アクセサリも豊富に揃う。エルメスによる高品質なレザー製ラゲッジタグ、バッグチャーム、キーリングもあるほか、各社からさまざまなアクセサリが登場している。

AirTagのアクセサリ

AirTagは安全のための保険

AirTagは紛失防止タグとして非常に優秀であり、セキュリティにも配慮された仕様になっている。筆者自身、AirTagを財布やカバンに付けているだけで、日々絶大な安心感を覚えている。

これまでに一度も、鍵や財布が見当たらなくて困った……という経験がない人なら不要かもしれない。しかし、そんな人は少ないだろう。この先、いつか一度でも手元からなくなって困った局面が訪れた際、「買ってよかった」と感じられるはずだ。忘れ物に困った経験がある人は、日々の生活にAirTagを取り入れることを検討してみてはいかがだろうか。