怒りのイスラエル大使 演説中に国連憲章をシュレッダーで細断

 

 

毎日新聞

演説中に小型のシュレッダーで国連憲章を細断するイスラエルのエルダン国連大使=米ニューヨークで2024年5月10日、ロイター

 イスラエルのエルダン国連大使は10日、国連総会の壇上でパレスチナの加盟を支持する決議案に反対する意思を示すため、小型のシュレッダーを使って国連憲章を細断した。国連の基本文書である国連憲章は、「国際の平和と安全を維持する」など設立の理念や加盟国の権利などを定めている。 【写真まとめ】イスラエルによる空爆で破壊された建物  エルダン氏は決議案の投票に先駆けた演説で、各国の大使らに向かって「あなたたちは現代のナチズムに国連を開放した」「(イスラム組織)ハマスによる将来のテロ国家に特権を与えようとしている」などと批判した。最後に携帯用のシュレッダーを持ち出して国連憲章の表紙を切り刻むと、「恥を知れ」と吐き捨てるように言って壇上を後にした。  国連のハク副報道官は同日、加盟国大使による個別の言動にはコメントしないとしつつ、「今も昔も加盟国による芝居がかったプレゼンテーションはあった」と言及。国連憲章の冊子を手に取り、「国連憲章の理想は無傷だ。この組織が存在する限り、憲章も存在し続ける」と述べた。  国連総会は同日、パレスチナの国連加盟を支持し、安全保障理事会に再検討を求める決議案を採択した。日本を含む143カ国が賛成し、反対は米国やイスラエルなど9カ国にとどまった。【ニューヨーク八田浩輔】