政倫審に及び腰の自民、出欠判断議員任せで二階氏らの出席提示できず…野党反発「話にならない」

 

 

記者会見する自民党の森山総務会長(20日昼、党本部で)

記者会見する自民党の森山総務会長(20日昼、党本部で)© 読売新聞

 自民党は20日、衆院政治倫理審査会(政倫審)を巡って焦点となっていた安倍派幹部や二階俊博・元幹事長の出席を提示できなかったことで、実態解明に向けた消極姿勢があらわになった。党内では、指導力を発揮しない執行部や、率先して説明責任を果たそうとしない安倍派幹部らへの批判が強まっている。

■安倍・二階派

 「政倫審は本人(の申し出での開催)が原則だ。その上で野党の要求にどう応えていくかということだ」

 森山総務会長は20日の記者会見で、自身が行っている安倍、二階両派衆院議員51人への出席意向確認について、自主判断が前提だとの考えをにじませた。

 自民が政倫審への出欠を議員個人の判断に委ねているのは、派閥運営への関与度合いや収支報告書への不記載額などに差があり、線引きが難しいためだ。強引に出席を求めれば「当事者の恨みを買う」(ベテラン)との声もあり、執行部が出席要請に及び腰になっているとの見方がある。

 

 結果として出席者が定まらず、野党や世論からの批判は高まる一方だ。安倍派若手は、「早い段階で岸田首相や茂木幹事長が派幹部に出席を確約させていれば、派の議員全員が出席を求められることもなかった」と不満を漏らす。

■説明避けたまま

 そもそも、安倍派の中枢を担った「5人衆」の中には、自発的な出席に後ろ向きとも取れる姿勢を見せる議員もいる。西村康稔・前経済産業相は20日、取材に「説明責任を果たす」として出席する意向を示したが、高木毅・前国会対策委員長は同日、記者団に「党や政党間で検討いただいており、それを受けて判断したい」と述べるにとどめた。二階氏は、出欠については「回答は差し控える」とのコメントを出して以降、公の場での説明は避けたままだ。

 公明党の山口代表は20日の記者会見で「対象者はよくわきまえて、政治の信頼を取り戻すためにどうしたらいいか、大局的な判断が大切だ」と注文した。

 自民が提示した塩谷立・元文部科学相と武田良太・元総務相の政倫審出席について、野党は「たった2人だけでは話にならない」(立憲民主党の安住淳国対委員長)と反発している。立民は、自民から納得できる提示がなければ、2024年度予算案の採決の前提となる中央公聴会の実施には応じない意向だ。

 盛山文部科学相への不信任決議案への対応で20日は予算委員会が開かれなかった。予算案の年度内成立が確実となる衆院通過日のリミットである3月2日は近づいており、与党内からは「自民執行部も対象議員も当事者意識がなく、機能不全に陥っている」とあきれる声が出ている。

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