「H3」ロケット2号機打ち上げ成功、計画通り飛行-JAXA

稲島剛史、小宮弘子

更新日時 

  • 第2段機体を所定の軌道に投入、搭載されていた小型衛星2基を分離

  • こうして打ち上げ結果を報告できたことに安堵している-山川理事長

宇宙航空研究開発機構(JAXA)が三菱重工業IHIなどと開発を進める次世代大型ロケット「H3」試験機2号機が17日打ち上げられ、目標の軌道投入に成功した。

  2号機は種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)から午前9時22分すぎに打ち上げられた。JAXAによると、ロケットは計画通り飛行し、第2段機体を所定の軌道に投入。搭載されていた小型衛星2基を分離したことも確認した。

  JAXAの山川宏理事長は会見で、「本日こうして打ち上げ結果を報告できたことに安堵(あんど)している」とし、「引き続き日本のロケット技術の信頼回復に向けて気を引き締め、着実な対応を図っていく」と述べた。

Japan’s Newest Rocket Offers Hope to Battered Space Program

打ち上げに成功したH3ロケット(種子島宇宙センター、2月17日)

Photographer: Nicholas Takahashi/Bloomberg

   先進光学衛星「だいち3号」を載せたH3の初号機は昨年3月、打ち上げ後に第2段エンジンが着火せず、指令破壊された。国産ロケットを巡っては、小型ロケット「イプシロン6号機」が2022年10月に打ち上げ失敗。23年7月には小型固体燃料ロケット「イプシロンS」の燃焼試験で爆発事故が発生して信頼が揺らぐ事態となり、今回のH3ロケット打ち上げの行方に注目が集まっていた。

  JAXAによると、2号機に搭載されていたのはキヤノン電子が開発した地表や天体撮影を行う「CE-SAT-IE」、熱赤外センサーを搭載し、工場などの稼働状況を把握する実証を行う「TIRSAT」の2つの小型衛星だ。

  H3は01年から運用する現行の「H2A」ロケットの後継機と位置付けられており、JAXAはH2Aの高い信頼性を維持しつつ、受注から打ち上げまでの期間を短縮することなどを目指している。打ち上げ価格はH2Aの半分程度の約50億円とすることを目標としている。

  48号機が1月に打ち上げられたH2Aは50号機で運用終了の予定となっており、日本としては早期にH3の安定的な運用を成功させる必要がある。

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(第3段落にJAXA理事長の会見内容を追加し、情報を更新します)

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