楽天G、約2650億円のドル債発行へ-利回り12%超は日本企業最高

日向貴彦

更新日時 

  • 上場する国内事業会社のドル債で最高利回り-ブルームバーグデータ

  • 発行額は当初想定の10億ドルから増額、ジャンク債への需要強く

楽天グループは米東部時間30日午前、18億ドル(約2650億円)のドル建て社債の発行条件を決めた。利回りは日本の事業会社によるドル建て債として過去最高となった。

  事情に詳しい関係者によると、起債したのは償還期間3年のドル建て債で、発行価格と額面価格との差を踏まえた利回りは12.125%に決まった。ブルームバーグのデータによると、日本で上場する事業会社が発行したドル債として過去最高を更新。国内外で今後、巨額の社債償還を控える楽天Gにとって、利払い負担が増すことになる。

Key Speakers At The Rakuten Optimism Conference

カンファレンスで登壇する楽天Gの三木谷浩史社長

Photographer: Keith Bedford/Bloomberg

  S&Pグローバル・レーティングによる格付けが「BB」と投資適格に満たない楽天Gの社債は「ジャンク債」と位置付けられる。ハイリスク・ハイリターンを選好する海外投資家の間では人気が集まりやすく、利回りは当初提示していた12.5%程度を下回った。発行額も当初想定した10億ドルから増額した。

  楽天Gに取材を試みたが、現時点でコメントは得られていない。

  同社は今回調達する資金で2024年に満期を迎えるドル建てシニア債を全額借り換える考え。ブルームバーグ・インテリジェンスのクレジットアナリストのシャロン・チェン氏は、起債で短期的な借り換えニーズは減るものの、ドル建て債の償還時期が27年に後ずれしたことで、同年から可能になるユーロ建て永久劣後債の早期償還は見送りとなるリスクが高まる可能性があると分析した。

  24、25年にかけては楽天Gとグループ会社で総額約8400億円の社債の償還を迎える。信用力評価の改善に向けてモバイル事業の黒字化が喫緊の課題となる中、25日に取材に応じた三木谷浩史社長は今後、法人への積極的な営業に加えて電波がつながりやすい周波数帯「プラチナバンド」を5月から展開していく方針を示した。

(利回りに関するデータや会社コメントを追加して記事を更新しました)

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