ついに経済失政を認めた…!習近平の「異例演説」に世界が驚愕…中国が追い込まれた「デフレの正体」

 

習近平が「経済失政」を認めた…!

習近平国家主席の異例の発言が中国経済を揺るがそうとしている。

「一部の企業は苦境に立たされ、また就職が厳しく日々の暮らしに困る人もいた」

中国の習近平国家主席は2023年12月31日のテレビ演説でこのように述べた。2013年以来、恒例となっている新年に向けた所感の中で、習氏が経済的苦境に言及するのは初めてのことだ。習氏が苦境を認めた背景には、企業の景況感を示す指数が最悪の状態を脱せないからだ。

2024年も世界は厳しい中国経済の現状から目が離せない…Photo/gettyimages

2024年も世界は厳しい中国経済の現状から目が離せない…Photo/gettyimages© 現代ビジネス

習氏の演説に先駆けて、中国国家統計局は12月の企業の景況感を示す製造業購買担当者指数(PMI)は49.0になったと発表していた。前月の49.4から低下し、3ヵ月連続で好不況の分かれ目である50を下回った。その水準も過去6ヵ月で最低だ。

事態はいよいよ緊迫の度合いを増してきた。市場では「政府は景気てこ入れに向けて迅速に行動する必要がある」との見方が広がっている。

東京よりも「まだ高い」中国の住宅

ゼロコロナ政策の解除で景気のV字回復が期待された中国経済だったが、2023年4月以降、低迷が続いている。

その元凶が不動産市場の不調にあることは言うまでもない。中国の民間不動産調査企業「中国指数研究院」によれば、年末年始3日間の主要40都市の住宅販売(1日平均、床面積ベース)は前年に比べて26%減少。不動産大手100社の昨年の新築住宅販売額は前年に比べて16.5%も減少した(1月1日付ブルームバーグ)。

政府の支援策にもかかわらず、住宅販売の落ち込みにまったく歯止めがかからない形だ。

ゴールドマン・サックス・グループらは「中国の住宅建設の落ち込みは今年も続く」と予測している。これが正しければ、中国の不動産建設は3年連続で縮小することになる。

中国の住宅はそれでもまだ割高のようだ。最近の東京の住宅価格はバブル期に近い水準に戻っているが、中国メディアは「中国国内の住宅価格に比べると『白菜価格(非常に安い価格のことを意味する)」のように見える」と報じている(12月23日付RECORDCHINA)。

売れないのに高価格を維持しているのは典型的なバブルで、それはいつ値崩れしてもおかしくない状態ということだ。中国の住宅価格は今後、長期にわたって下落することは間違いないだろう。

中国の住宅価格は、まだ「東京より安い」という…Photo/gettyimages

中国の住宅価格は、まだ「東京より安い」という…Photo/gettyimages© 現代ビジネス

人民銀行の「資金投入」も効果なし…

中国で住宅価格を値下げをしても取引が停滞している現状は、1990年前半にバブルが崩壊した日本の住宅市場とまったく同じだ。

住宅バブルの崩壊は家計消費に深刻な打撃を与える。住宅価格が5%下落すると、家計消費は少なくとも4300億元(約8.6兆円)減少するとの試算がある(12月26日付ブルームバーグ)。

11月の消費者物価指数(CPI)が過去年で最大のマイナスを記録したことを受け、中国人民銀行は12月28日、経済を下支えし、物価の上昇を促すため、マクロ経済政策の調整を強化すると発表した。

人民銀行は低コストの資金を市場に投入しているが、民間の資金需要は鈍く、効果は乏しいと言わざるを得ない。中国は一層の「デフレ化」の懸念に苛まれている。

いつ崩れるとも知れない中国の経済状況から目を離せない。

後編『中国の不当廉売にドイツ紙が猛激怒…!習近平が世界に輸出する「デフレ麻薬」のヤバすぎる正体』では、その被害が世界にどのように波及するのかを考えていこう。